話題の事例をより深く。歴史ある判例実務誌
1 株主平等の原則の趣旨は株主に対して新株予約権の無償割当てをする場合に及ぶか(積極) 2 株主に対する差別的取扱いが株主平等の原則の趣旨に反しない場合 3 特定の株主による経営支配権の取得に伴い,株式会社の企業価値がき損され,株主の共同の利益が害されることになるか否かについての審理判断の方法 4 株式会社が特定の株主による株式の公開買付けに対抗して当該株主の持株比率を低下させるためにする新株予約権の無償割当てが,株主平等の原則の趣旨に反せず,会社法247条1号所定の「法令又は定款に違反する場合」に該当しないとされた事例 5 株式会社が特定の株主による株式の公開買付けに対抗して当該株主の持株比率を低下させるためにする新株予約権の無償割当てが,会社法247条2号所定の「著しく不公正な方法により行われる場合」に該当しないとされた事例
1 日本国法人Xが,台湾法人Y 1及び米国法人Y 2に対して提起した債務不履行,製造物責任,不法行為等に基づく損害賠償請求訴訟について,不法行為地の裁判籍等を認めた上で,日本の国際裁判管轄を否定すべき特段の事情は認められないとして,日本の国際裁判管轄を認めた事例(①事件) 2 米国法人Y ’1及び甲が日本国法人であるX ’らを被告として不法行為等に基づく損害賠償等請求訴訟を米国の裁判所に提起した後に,X ’らがY ’1及びY ’2(甲の破産管財人)を被告として日本の裁判所に提起した上記損害賠償等債務の不存在確認訴訟について,普通裁判籍,不法行為地の裁判籍等を認めた上で,日本の国際裁判管轄を否定すべき特段の事情は認められないとして,日本の国際裁判管轄を認め,併せて,民訴法142条の「裁判所」は外国の裁判所を含まないというべきであるとした事例(②事件) 2 国際裁判管轄の決定基準 「我が国の民訴法の規定する裁判籍のいずれかが我が国内にあるときは,原則として,我が国の裁判所に提起された訴訟事件につき,被告を我が国の裁判権に服させるのが相当であるが,我が国で裁判を行うことが当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があると認められる場合には我が国の国際裁判管轄を否定すべきである。」(最二小判昭56.10.16〔マレーシア航空事件〕民集35巻7号1224頁,最二小判平9.11.11民集51巻10号4055頁) 3 国際的二重起訴について,民訴法142条(重複する訴えの提起の禁止)と同一の効果を認めることの可否(②事件中間判決,消極)
武蔵野市長交際費事件 1 資金前渡を受けた職員のする地方公共団体に債務を負担させる行為及び債権者に対する支払いと住民訴訟の対象となる「公金の支出」 2 資金前渡を受けた職員と地方自治法(平成14年法律第4号による改正前の)242条の2第1項4号にいう「当該職員」 3 資金前渡に関する住民訴訟における当該地方公共団体の長と地方自治法(平成14年法律第4号による改正前の)242条の2第1項4号にいう「当該職員」 4 資金前渡に関する住民訴訟における地方公共団体の長の損害賠償責任 5 地方公共団体の長その他の執行機関が一般的な友好,信頼関係の維持増進自体を目的として各種団体等の主催する会合に出席し,祝金を交付するなどの交際をすることの適否