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包括根保証人の地位に変更があった後に主債務者が負った債務につき、信義則上、債権者が保証責任を追及することができないとされた事例
金田洋一
東京地裁平11.3.31
事業共同出資者が操業資金又は開業当初の運転資金に充てる目的で会社に貸し付けた金員は資本金に準ずるものであるから、会社が大幅な債務超過の状況にある時点において、当該貸金の返済を求めるのは信義則に反し権利濫用であるとされた事例
萩原秀紀
東京高裁平12.3.29
権利能力なき社団の構成員から同社団に対する会計帳簿等の閲覧謄写請求が認められた事例
男澤聡子
東京地裁平11.4.26
総会屋関係者に対する銀行融資につき名義貸しを理由に民法93条但書の適用が認められた事例とこれが否定された事例
西森みゆき
東京地裁平11.10.25
相続放棄の申述における動機の錯誤が要素の錯誤に該当するとして、相続放棄が無効とされた事例
安部勝
福岡高裁平10.8.26
後順位抵当権者による先順位抵当権の被担保債権の消滅時効の援用
市川正巳
最高裁第一小法廷平11.10.21
1 極度額を超える金額の被担保債権を請求債権とする根抵当権の実行がされた場合に被担保債権について消滅時効中断の効力が生じる範囲 2 不動産競売の申立ての取下げがなされた場合における被担保債権の消滅時効中断の帰すう
大沼洋一
最高裁第一小法廷平11.9.9
1 過去3回の強姦を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求に、強姦を含む継続的なセクシャル・ハラスメントや誹謗中傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求を追加することは、請求の基礎の同一性がなく、訴えの変更の要件を欠くとされた事例 2 強姦を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求について、宗教団体の呪縛による権利行使の不能性、不法行為の継続性の主張が排斥され、消滅時効が完成しているとされ、これを援用することは信義則違反・権利濫用に当たらないとされた事例
中本敏嗣
東京高裁平11.7.22
建築請負人からの注文者に対する請負契約に係る建物の所有権保存登記抹消登記手続請求訴訟の提起及び右訴訟の係属と請負代金債権の消滅時効の中断
金築亜紀
最高裁第一小法廷平11.11.25
1 被保険者が高度障害者になったときに保険金が支払われることを内容とする保険契約に基づく保険金請求権の消滅時効の起算点 2 右の場合に民法158条の時効の停止の規定の類推適用を認めた事例
大工強
東京地裁平11.5.28
主債務につき更生計画認可決定確定時に更生担保権確定訴訟が係属していたときは、主債務の更生手続参加により中断した保証人に対する請求権の消滅時効は、更生担保権確定訴訟の終了時から進行を開始するとされた事例
松本清隆
名古屋地裁平11.9.16
1 夫婦の一方と同棲関係を継続させ離婚に至らしめた第三者は他方配偶者に対して不法行為責任を負うか(積極) 2 右不法行為に基づく慰謝料請求権の消滅時効の起算点
檜山麻子
東京高裁平10.12.21
1 訴えの提起が不法行為にあたるとしてそれによって生じた損害の賠償請求が認められた事例 2 不当訴訟を原因とする損害賠償請求権の消滅時効の起算点は当該訴訟の判決が確定した時点である
中野哲弘
東京地裁平11.5.27
いわゆるみなし道路の敷地所有者が右道路内に設置した金属製ポールにつき、右道路に接する土地の所有者からの撤去請求が棄却された事例
今泉秀和
最高裁第一小法廷平12.1.27
宗教法人の代表者(住職)として寺院の土地建物の所持を開始した後、僧籍はく奪の処分を受けた者が右土地建物の所持を奪った右法人に対して占有回収の訴えによりその返還を求めることができるとされた事例
前島勝三
最高裁第二小法廷平12.1.31
1 民法194条に基づき盗品等の引渡しを拒むことができる占有者と右盗品等の使用収益権 2 盗品の占有者がその返還後にした民法194条に基づく代価弁償請求が肯定される場合
濱口浩
最高裁第三小法廷平12.6.27
1 不動産の共有者が当該不動産を単独で占有する他の共有者に対し不当利得返還請求ないし損害賠償請求をすることの可否 2 請求の一部についての予備的な請求原因となるべき相続取得の主張を原告がしていなくても裁判所は被相続人の死亡等の事実をしんしゃくすべきであるとされた事例
日野浩一郎
最高裁第二小法廷平12.4.7
マンションの特定の専有部分から流れる汚水の排水管の枝管が区分所有者全員の共用部分に当たるとされた事例
玉越義雄
最高裁第三小法廷平12.3.21
1 区分所有法61条5項所定の復旧決議がされた場合における同条7項の区分所有権等の買取請求権の法的性質と同項所定の時価の算定基準時 2 右時価の算定方法
宮﨑謙
大阪地裁平10.8.25
転貸賃料債権に対する抵当権の物上代位権行使の可否
冨田一彦
最高裁第二小法廷平12.4.14
買戻特約付売買の目的不動産に設定された抵当権に基づく買戻代金債権に対する物上代位権行使の可否
桐ヶ谷敬三
最高裁第三小法廷平11.11.30
建物明渡しまでの賃料債務と敷金返還請求権との相殺合意が建物の抵当権者の物上代位による差押命令に優先するとされた事例 根抵当権設定登記後にされた賃貸人と賃借人との間の将来の賃料支払債務と従前の保証金返還債務との相殺合意が根抵当権者の物上代位による差押えに劣後するとして取立訴訟が認容された事例
西口元
東京地裁平12.3.27
帰属に争いがある貯金債権の払戻請求に対して弁済供託を怠っていた金融機関について、履行遅滞の責任を免れないとされた事例
𠮷原省三
最高裁第三小法廷平11.6.15
根保証により責任を負うべき金額が200万円にとどまるものと誤信して、連帯根保証契約書の保証限度額欄に1000万円と記載した事案において、右錯誤は要素の錯誤に該当し、表意者に重過失はなかったとして、右連帯保証契約は無効であると判断された事例
和久田斉
高松高裁平11.11.18
会社が関連会社支援のために融資元の銀行に差し入れた「経営指導に関する念書」と題する書面の保証予約等の効力の有無(消極)
中野宏一
東京地裁平11.9.30
集合債権の譲渡と債権の特定
塩崎勤
最高裁第二小法廷平12.4.21
変額保険契約を解約していない以上、払込保険料と解約返戻金の差額に相当する額の損害が発生しているとはいえないとされた事例
前田郁勝
最高裁第二小法廷平12.3.17
会員募集用パンフレットに記載された高級ホテル等の施設が設置されなかったことを理由とするゴルフクラブ入会契約の債務不履行に基づく契約の解除を認めなかった原審の判断に違法があるとされた事例
佐藤武彦
用途指定のある買戻特約付き土地売買契約において、買主の用途違反を理由として売主が買い戻した際に買主が支払うべきとされた違約金が信義則により減額された事例
光吉恵子
東京高裁平12.7.5
1 被相続人に帰属していた土地とその上の建物が遺産分割等により異なる相続人の所有に帰し、相続人間にあった良好な親族関係等の特別な事情が消滅したときは、土地の賃貸条件は他人間で定められる賃貸条件に準じて改定される 2 右の場合の地代額の算定方法
永井崇志
東京高裁平12.7.18
1 建物賃貸借契約において、賃料減額請求がなされ、当事者間に協議が整わない場合、減額を相当とする裁判が確定するまでの間、賃借人が、賃貸人が支払を請求した「相当と認める額」の賃料の支払をしないことは、債務不履行となるとされた事例 2 右「相当と認める額」とは、社会通念上著しく合理性を欠くものではない限り、賃貸人が主観的に相当と判断した額をいうとされた事例
種村好子
東京高裁平10.6.18
いわゆるサブリース契約は建物賃貸借の法形式を採っているが、実質は事業委託的無名契約であり、当該契約の目的、機能及び性質に反しない限度においてのみ借地借家法の適用があるとされた事例
澤野順彦
東京高裁平12.1.25
いわゆる総合事業受託方式のサブリース契約につき、建物所有者兼賃貸人(Y)の承諾の下に建物が転貸されている場合において、賃借人兼転貸人(A)の債務不履行を理由に賃貸借契約が解除されたとしても、賃貸借契約が終了した場合は、賃貸人(Y)が転貸借契約を承継する旨の特約があるときには、賃貸人(Y)は転貸人の地位を承継し、転借人(X)が差し入れた保証金の返還義務を負うとされた事例
大竹昭彦
東京高裁平11.12.21
クレジットカードを使用してキャッシングを受けた者がカード契約者本人若しくはその家族又はこれらの意を受けた者と推認されるとしてカード会社のカード契約者本人に対する支払請求が認められた事例
小林正
東京高裁平12.2.29
預金払戻請求と信義則
最高裁第一小法廷平12.3.9
定期預金の預金者の期限前の中途解約を理由とする払戻請求の可否
本田敦子
東京地裁平10.12.24
1 顧客から小切手の取立てを依頼された弁護士が、右小切手を自己の銀行預金口座に入金し、右小切手が不渡りとなったにもかかわらず、銀行の入金取消処理が遅れたために右小切手金相当額を払い戻して右払戻金を顧客に交付した場合に、銀行の弁護士に対する不当利得返還請求が認容された事例 2 銀行が右顧客への事情説明を求められながらこれに応じなかったことが不当利得返還請求権の消長に影響しないとされた事例
佐久間弘道
東京高裁平11.9.22
1 後見人が禁治産者の不動産を廉価で売却したことなどが、後見人の善管注意義務に違反するとして不法行為責任が認められた事例 2 依頼者が弁護士に対して支払った報酬の不当利得返還請求権の消滅時効について、民法172条は適用されず、同法167条1項が適用される
齋藤憲次
東京地裁平11.1.25
深刻な骨髄抑制の副作用を伴う先端的治療方法であったアクノマイシンDの投与を含む化学療法を実施するに当たり患者に対してなされた説明に説明義務違反が認められた事例
吉井隆平
東京高裁平11.9.16
1 現場の定期健康診断において撮影された胸部レントゲンフイルムの読影を担当する医師に課せられる注意義務の程度 2 不誠実な医療自体についての損害賠償請求の可否 3 従業員に対する定期健康診断の際に求められる企業の安全配慮義務の程度
増永謙一郎
東京高裁平10.2.26
司法書士が、遺産共有状態にある複数の不動産についてそれぞれの持分を相互に移転する旨の所有権移転登記手続を受任した際、登録免許税が安価である「共有物分割」を登記原因とせず、より高額の登録免許税を課せられる「交換」を登記原因としたことにつき、登記手続委任者らに対する調査義務違反及び説明義務違反はないと判示した事例
前田英子
東京地裁平10.3.25
銀行とその系列ノンバンクが、当該銀行の発行する割引債を担保とする融資を繰り返した場合に、その取引が、融資利息が割引債の利息を常に上回り借主に逆ざや相当分の損失を生じさせる不合理な取引として、借主に対する不法行為を構成するか(消極)
伊藤由紀子
大阪地裁平11.3.4
1 変額保険の勧誘について保険会社の従業員に断定的な判断の提供があったとして違法な勧誘行為に該当するとされたが、契約者にも過失があるとして6割の過失相殺を認めた事例 2 変額保険が解約されていない場合、財産上の損害を否定した事例
浦木厚利
東京高裁平12.4.27
宗教上の信念からいかなる場合にも輸血を受けることは拒否するとの固い意思を有している患者に対して医師がほかに救命手段がない事態に至った場合には輸血するとの方針を採っていることを説明しないで手術を施行して輸血した場合において右医師の不法行為責任が認められた事例
最高裁第三小法廷平12.2.29
離婚後親権者とされなかった父親とその子との面接交渉を妨げた母親につき、父親に対する不法行為責任(慰謝料支払義務)が肯定された事例
西森英司
静岡地裁浜松支部平11.12.21
医師の過失による患者の相当程度の生存可能性の侵害
加藤新太郎
最高裁第二小法廷平12.9.22
旧住宅・都市整備公団(現都市基盤整備公団)が公団住宅を値下げ販売したことについて、値下げ販売以前に公団住宅を購入していた原告らの旧住宅都市整備公団(現都市基盤整備公団)に対する、譲渡代金清算義務履行請求権及びその不履行による損害賠償請求権、説明義務違反による損害賠償請求権、隠れた瑕疵による損害賠償請求権、不当利得返還請求権、所有権侵害による損害賠償請求権、不法行為による損害賠償請求権、期待権侵害ないし信義則違反による損害賠償請求権に基づく請求がいずれも棄却された事例
今中秀雄
東京地裁平12.8.30
マンションの建築により住居からの眺望が阻害されたことを理由とする慰謝料の請求が認容された事例
山之内紀行
大阪地裁平10.4.16
1 石灰石鉱山での粉じん作業とじん肺罹患との間に因果関係が認められた事例 2 請負企業等の従業員がじん肺に罹患したことについて、注文企業に安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任が認められた事例 3 複数の使用者等に安全配慮義務違反がある場合に、民法719条1項が類推適用された事例 4 安全配慮義務違反の債務不履行によりじん肺に罹患し死亡したことに基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点
天川博義
浦和地裁熊谷支部平11.4.27
交通事故の被害者が事故のために介護を要する状態となった後に別の原因により死亡した場合に、死亡後の期間に係る介護費用を右交通事故による損害として請求することはできないとされた事例
最高裁第一小法廷平11.12.20
1 不法行為により死亡した者の相続人が被害者の得べかりし障害基礎年金及び障害厚生年金を逸失利益として請求することの可否 2 不法行為により死亡した者の相続人が被害者の得べかりし障害基礎年金及び障害厚生年金についての各加給分を逸失利益として請求することの可否 3 障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が不法行為により死亡した場合にその相続人がする損害賠償請求において当該相続人が受給権を取得した遺族基礎年金及び遺族厚生年金を控除すべき損害の費目
佐々木宗啓
最高裁第二小法廷平11.10.22
損害賠償請求訴訟の逸失利益の算定における中間利息の控除割合は民法404条及び419条に所定の年五分を不合理不公平であるとすべき顕著な事由が存しないかぎり右の割合によるのが相当であるとした事例
細矢郁
東京高裁平12.9.13
名誉毀損の行為者が刑事第一審判決を資料として事実を摘示した場合における名誉毀損の成否
金子順一
最高裁第三小法廷平11.10.26
少年(行為当時19歳)の犯罪行為につき、実名・顔写真等により少年本人を特定できる内容の記事が雑誌に掲載された場合における雑誌発行所等に対する損害賠償請求が棄却された事例
齋藤大
大阪高裁平12.2.29
一私人をモデルとしたモデル小説について、モデルの障害の事実等の記載がプライバシー侵害及び名誉毀損等にあたるとして、モデルに対する損害賠償、当事者間の合意に基づく小説の公表差止めが認められた事例
本山賢太郎
東京地裁平11.6.22
交通事故の被害者の保有者に対する損害賠償請求権が第三者に転付された場合と自動車損害賠償保障法16条1項に基づく被害者の保険会社に対する損害賠償額支払請求権の帰すう
安永武央
刑訴法39条3項本文は、憲法34条前段・37条3項・38条1項に違反しない
佐藤陽一
最高裁大法廷平11.3.24
弁護士となろうとする者からの被疑者の逮捕直後に初回の接見の申出を受けた捜査機関が接見の日時を翌日に指定した措置が違法とされた事例
鈴木拓児
最高裁第三小法廷平12.6.13
1 無罪判決が確定した者からの国家賠償請求訴訟における検察官の公訴提起の違法性の主張立証責任 2 同訴訟における検察官の控訴提起の違法性の判断基準
宮﨑牧子
東京高裁平11.4.26
1 区道の不法占拠者に対して区が道路法71条1項の監督権限を行使しなかったことが違法とはいえないとされた事例 2 都が所有する道路敷上の道路の不法占拠者に対して都が所有権に基づく妨害排除請求権を行使しなかったことが違法とはいえないとされた事例
江原健志
東京地裁平10.2.23
一方配偶者が死亡する四日前で、同人が判断能力を喪失しているときに届出がされた婚姻について婚姻意思が肯定された事例
岩木宰
東京地裁平11.2.25
婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合に子と同居していない親と子の面接交渉について家庭裁判所が相当な処分を命ずることの可否
吉田彩
最高裁第一小法廷平12.5.1
1 離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意が詐害行為に該当する場合の取消しの範囲 2 離婚に伴う慰謝料を支払う旨の合意と詐害行為取消権
飯原一乗
離婚による財産分与として、夫の年金と妻の年金の差額の4割を、妻の死亡迄支払うことが命じられた事例
大津千明
横浜地裁相模原支部平11.7.30
1 6年以上先の定年退職予定日に受領予定の退職金を、離婚時点で財産分与の対象にし、 2 債務自体を財産分与の対象にして、主文で特定の借入債務の負担を借入名義人自身に命じ、 3 清算すべき財産を列挙して、個別財産ごとに現実的に相当な分与方法を検討し、主文で名義人自身への分与も命じた、離婚判決の事例
山田徹
東京地裁平11.9.3
死亡による内縁関係解消の場合には財産分与規定は類推適用されないとされた事例
二宮周平
最高裁第一小法廷平12.3.10
「エホバの証人」に入信している妻に対して、婚姻生活が回復し難いまでに破綻しているとして、夫からの離婚請求が認容された事例
清水節
名古屋高裁平10.3.11
婚姻関係が終了し家庭が崩壊していることと嫡出の推定を受ける子に対する親子関係不存在確認の訴えの許否
梶村太市
最高裁第三小法廷平12.3.14
死後認知の訴えの提訴期間の計算につき、民訴法95条3項を適用あるいは準用することの適否
坂梨喬
大阪高裁平12.2.4
1 禁治産宣告の申立人は、禁治産宣告の審判に対し即時抗告することはできないとされた事例 2 後見人選任の審判に対し独立して不服申立てをすることはできないとされた事例
稲田龍樹
東京高裁平12.4.25
いわゆる性同一性障害の治療としての性転換手術を受けた場合に、戸籍法113条による戸籍訂正が認められなかった事例
石井美智子
東京高裁平12.2.9
甲名義の不動産につき乙、丙が順次相続したことを原因として直接丙にしてされた所有権移転登記を甲の共同相続人丁及び乙に対する所有権移転登記並びに乙から丙に対する持分全部移転登記に更正することの可否
名越聡子
祭祀財産の承継者の指定申立事件において、被相続人の亡夫が創業した会社の経営の任に当たる三男を、祭祀財産の承継者に指定した事例
高橋朋子
東京家裁平12.1.24
民法900条4号ただし書前段と憲法14条1項
村重慶一
88歳の老人が公証役場に出頭して作成した公正証書遺言について、遺言当時重度の痴呆状態により、遺言能力がなかったとして、右遺言が無効とされた事例
河田貢
東京高裁平12.3.16
公正証書遺言が、遺言者に遺言能力がなく、口授もないとして、無効とされた事例
上原裕之
東京地裁平11.9.16
いわゆる危急時遺言にあたり民法976条1項にいう遺言の趣旨の口授があったとされた事例
東條宏 齋藤巌
最高裁第三小法廷平11.9.14
特定の不動産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言がなされた場合において他の相続人が相続開始後に当該不動産につき被相続人からの所有権移転登記を経由しているときの遺言執行者の職務権限
竹下史郎
最高裁第一小法廷平11.12.16
死因贈与は、遺贈に次いで、生前贈与より先に、遺留分減殺の対象となる
松原正明
東京高裁平12.3.8
遺贈の対象不動産についてされた共同相続登記を遺留分減殺請求による持分の相続登記に更正することの可否(消極)
松田亨
最高裁第三小法廷平12.5.30
1 遺留分減殺の対象とされた贈与等の目的である各個の財産について価額弁償をすることの可否 2 共有株式につき新たに単位未満株式を生じさせる現物分割を命ずることの可否
田中恒朗
最高裁第三小法廷平12.7.11
遺留分権利者が遺贈の無効を信じていたため遺留分減殺請求権を行使しなかったことがもっともと首肯し得る特段の事情が認められないとして、遅くとも右遺贈に係る遺言の無効確認訴訟の一審判決敗訴時から右請求権の消滅時効の進行が開始するとされた事例
西野喜一
東京高裁平12.7.13
ドイツで登録され、イタリアで窃取され、中古車として日本に輸入された自動車について、即時取得の成否を判断するにあたり適用される国際私法上の所在地法が、登録地法であるドイツ法とされた事例
原啓一郎
東京高裁平12.2.3
アメリカ合衆国カリフォルニア州へ出張を命じられた日本人の運転する加害自動車が、過失により道路脇の電柱に衝突して、後部座席に同乗していた日本人被害者(男・自転車競技者)が傷害を受けた交通事故につき、同州法を適用して損害賠償を命じた事例
小野寺規夫
大阪高裁平10.1.20
1 渉外的な法律関係においてある法律問題を解決するために不可欠の前提問題の準拠法を決定する方法 2 渉外親子関係の成立の判断方法 3 平成元年法律第27号による改正前の法例の下における出生以外の事由により嫡出性を取得する場合の嫡出親子関係の成立の準拠法 4 平成元年法律第27号による改正前の法例の下における血縁関係がない者の間における嫡出以外の親子関係の成立の準拠法
河田充規
内地人女子の嫡出でない子が現行国籍法施行後平和条約発効前に朝鮮人男子により認知された場合における日本国籍の喪失の有無
南敏文
大阪高裁平12.1.28
不動産に対する商人間の留置権の成否(消極)
小林昭彦
東京地裁平11.6.7
航空会社が目的地以外の空港に降機させた国際航空便の旅客に対し目的地までの代替的交通手段等の説明・案内をしなかったことにつき航空会社の損害賠償責任が認められた事例
武田美和子
大阪高裁平10.11.17
1 保険金請求事件で、火災の原因が地震とは認められなかった事例 2 火災が地震以外の原因で生じたが、地震のために消防車が不足していたこと等のため、消防力が低下していたことにより全焼に到ったときの免責約款の運用について
石岡忠治
大阪高裁平11.11.10
保険契約者、被保険者等の関係者の故意もしくは重大な過失または法令違反によって生じた損害または傷害に対しては、火災保険契約による保険金を支払わない旨を定める火災保険普通保険約款2条1項(1)中の「保険契約者、被保険者の法定代理人(法人であるときは理事、取締役又は法人の業務を執行するその他の機関)」には、保険契約者である会社が破産宣告を受けた場合における破産宣告前の取締役は含まれない、とされた事例
太田剛彦
大阪高裁平11.9.30
被保険者の医療過誤による死亡が生命保険契約の災害割増特約及び傷害特約にいう「不慮の事故」に該当しないとされた事例
森純子
名古屋高裁平10.6.30
商法203条2項による指定及び会社に対する通知を欠く株式の共有者につき会社の側から議決権の行使を認めることの可否(消極)
山口和男
最高裁第三小法廷平11.12.14
裁判上の和解による会社の自己株式の取得が無効とされた事例
藤井正夫
東京高裁平11.6.30
代表取締役を解任された者が提起した取締役会の決議無効確認を求める訴えが、現存する紛争の直接的かつ抜本的な解決のために有効・適切かつ必要であるとはいえず、確認の利益がないとして却下された事例
丸地明子
名古屋高裁平10.7.8
証券会社の顧客に対する損失補填が、独禁法には違反するものの取締役に過失はないとして、株主に対する取締役の賠償責任が否定された事例
寳金敏明
最高裁第二小法廷平12.7.7
経営破綻の危機状態の下での買い掛け取引につき、代表取締役の注意義務について経営判断の原則を適用せず任務違背行為があったとし、取締役について、その代表取締役の業務執行の監視監督義務違反を理由として商法266条ノ3第1項に基づく損害賠償請求を認容した事例
安藤範樹
福岡高裁宮崎支部平11.5.14
株主代表訴訟に勝訴した場合の株主が会社に対して支払請求できる弁護士報酬額
中村一彦
商法280条ノ5ノ2により新株引受権を有する株主に対し同法280条ノ5第1項に規定されている事項についての通知(割当の通知)をせずに行われた新株発行が無効であるとされた事例
山田知司
東京高裁平12.8.7
新株発行不存在確認の訴えにおける出訴期間の制限(積極)
佐茂剛
高松高裁平12.1.20
特許法167条の趣旨は、文理に則して解釈されるべきであり、甲無効審判請求がされた後に当該特許について同一事実及び同一証拠に基づく乙無効審判請求が成り立たない旨の確定審決の登録がされたとしても、甲無効審判請求が不適法となるものではないとされた事例
富岡英次
無効理由が存在することが明らかな特許権に基づく差止め等の請求が権利の濫用に当たり許されないとされた事例
八木貴美子
最高裁第三小法廷平12.4.11
米国特許権に基づく日本国内における行為についての差止請求及び損害賠償請求の可否(消極)
森義之
東京高裁平12.1.27
曲線を多用して丸みを帯び、外装に半透明の白色と青色のツートンカラーのプラスチック素材を使用しているなどの特徴を有するパソコンの形態が、商品表示として周知性を獲得しており、債務者の製造販売するパソコンの形態がこれに類似し、需要者が両者を誤認混同するおそれがあるとして、製造譲渡等の差止めが認められた事例
中平健
東京地裁平11.9.20
1 土地の共有者のうちに隣地との間の境界確定の訴えを提起することに同調しない者がいる場合、その余の共有者は、隣地所有者と共に非同調者を被告として訴えを提起することができる 2 右の訴えについての判決の主文 3 右の訴えについての判決に対し、隣地所有者たる被告のみが上訴した場合の効果及び非同調者たる被告の地位
最高裁第三小法廷平11.11.9
契約に基づく請求権について訴訟上の和解をすることの委任を受けた弁護士が同契約の債務不履行に基づく損害賠償請求権について和解をすることの具体的委任を受けていなくても右訴訟上の和解において右損害賠償請求権を含めて和解をする権限を有するとされた事例
遠藤東路
最高裁第二小法廷平12.3.24
教科用図書検定調査審議会が作成した審議結果を記載した文書及びその審議結果を文部大臣に答申した内容を記載した文書の民事訴訟法220条3号後段にいう「法律関係文書」該当性
滝澤孝臣
1 民事訴訟法220条4号ハ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たる場合 2 銀行の貸出稟議書と民事訴訟法220条4号ハ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」
岩田眞
最高裁第二小法廷平11.11.12
1 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下した決定に対する不服申立ての許否 2 民事訴訟法197条1項3号にいう「技術又は職業の秘密」の意義
白﨑里奈
上告状及び上告理由書提出期間内に提出された書面のいずれにも民訴法312条1項、2項に規定する事由の記載がない場合に原裁判所の執るべき措置
倉地康弘
最高裁第二小法廷平12.7.14
1 訴えの提起が訴権の濫用となる場合 2 訴えの提起において、提訴者が実体的権利の実現ないし紛争解決を真摯に目的とするものではなく、被告に対し、有形、無形の不利益・負担を与える不当な目的を有し、提訴者の主張する権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くなど、民事訴訟制度の趣旨・目的に照らして著しく相当性を欠いて信義則に反し、訴権を濫用するものとして、訴えが却下された事例
後藤勇
東京地裁平12.5.30
民訴法338条1項5号に規定する刑事上罰すべき行為の公訴時効が完成したとしても、同条2項に規定する有罪の確定判決等を得ることができないときに当たらないとされた事例
西田隆裕
競売不動産(建物)を債権回収目的で賃借した第三者に対して民事執行法55条1項に基づき建物退去及び占有移転禁止を命じた売却のための保全処分について、これを不服とする請求異議が排斥された事例
萩本修
東京地裁平10.3.30
1 不動産競売において対抗問題が生じる時期 2 借地上の建物の滅失と抵当権者および買受人に対する借地権の対抗力の帰すう
村上正敏
東京高裁平12.5.11
最低売却価額が、その決定後に生じた事情により著しく不当になった場合、その変更をすることなく売却を実施したときは、最低売却価額の決定に重大な誤りがあるとした事例
上田正俊
仙台高裁平10.8.25
滞納処分による差押えの後強制競売等による差押えまでの間に賃借権が設定された不動産が強制競売手続等により売却された場合には、右賃借権に基づく占有者に対し引渡命令を発することができるとされた事例
三輪方大
最高裁第三小法廷平12.3.16
不動産競売の目的土地上に競売対象外の不動産が存在する場合にその土地全部につき引渡命令を発付することの許否
廣田民生
実行抵当権の設定前から当該不動産を賃借している者がその後設定された他の抵当権の抵当債務者となっている場合において、右賃借権者に自己の抵当債務の不履行がないときは、右賃借権者は引渡命令の対象とはならないとされた事例
宮尾成明
東京高裁平12.4.5
競売の申立債権以外の債権の被担保債務者が、抵当権の設定登記前から抵当不動産を賃借使用している場合でも、賃借権を買受人に主張し得ないとされた事例
秋本昌彦
東京地裁平11.7.27
1 貸金庫の利用者は銀行に対して貸金庫契約に基づく内容物引渡請求権を有しており、利用者の債権者は、右引渡請求権を差し押さえる方法により、貸金庫の内容物について強制執行をすることができるとされた事例 2 右引渡請求権に係る取立訴訟においては、貸金庫内の個々の動産の特定及びその存在を立証する必要はないとされた事例
山門優
最高裁第二小法廷平11.11.29
債権に対する仮差押えがされても、仮差押債務者は、当該債権に基づいて、第三債務者に対し差押命令の申立てをすることができるとされた事例
志田博文
東京高裁平10.8.7
質権が設定されている金銭債権の被転付適格
綿引穣
競落人に対し、競売不動産の所有者であった者が、所有権の存否・根抵当権の有効性を争うことは、民事執行法184条に照らし許されないとされた事例
城所淳司
東京地裁平12.6.14
借地上の建物の競売において、地主から建物所有者に対する建物収去土地明渡の判決が確定したことを前提に売却が実施され売却許可決定がされたが、その物件明細書に借地権付建物との記載があったうえ、最低売却価額が借地権価格の10パーセントを加算した評価に基づいて決定されていた場合、物件明細書の作成及び最低売却価額の決定に重大な誤りがあるとして、売却許可決定が取り消された事例
大澤晃
東京高裁平11.11.26
債務弁済協定が民事調停規則六条による競売手続停止の制度を悪用した違法なものとはされなかった事例 調停事件の係属する原審裁判所が調停終了まで不動産競売手続を停止した判断に違法があるとされた事例
小野寺忍
東京地裁平11.6.30
動産売買先取特権に基づく物上代位による債権差押命令の申立てについて資料の追完等をしているうちに債務者につき会社更生手続開始決定があったため申立てが却下されたことを違法であるとする執行抗告が棄却された事例
畑一郎
東京高裁平10.6.19
1 一般の仮処分の方法により確定判決に基づく強制執行を停止することは許されないとされた事例 2 将来取得するであろう金銭の所有権ないし占有権を被保全権利として強制執行の事前禁止を求めることは許されないとされた事例
藤原俊二
東京高裁平11.11.2
全員に電子メールの送受信サービスを提供しているインターネットプロバイダーが、わいせつ極まりない内容のビデオ販売に関する電子メールを右全員に送信するものに対し、電子メールによるダイレクト・メールの送信禁止を求めた仮処分が認められた事例
小池あゆみ
浦和地裁平11.3.9
マンション販売業者が、建設に反対する住民らに対して、名誉権及び営業権に基づき、掲示物の撤去等を求めた仮処分命令の申立てが却下された事例
齊藤顕
横浜地裁平10.11.16
マンションの区分所有者が、建物の区分所有等に関する法律57条に基づき求めた暴力団事務所の使用禁止等の仮処分命令の申立てが認容された事例 周辺住民が人格権に基づいて求めた暴力団事務所の使用禁止の仮処分命令の申立てが認容された事例
山本剛史
東京地裁平10.12.8
預託金会員制ゴルフクラブの会員のゴルフ場施設利用料金支払義務と破産法59条1項の未履行債務
坂倉充信
1 破産法59条1項に基づく破産管財人による契約解除権の行使が制限を受ける要件 2 年会費の定めある預託金制ゴルフ会員契約の破産管財人による解除(破産法59条1項)が制限された事例
野村直之
破産財団から放棄された財産を目的とする別除権につき放棄の意思表示をすべき相手方
草野真人
最高裁第二小法廷平12.4.28
破産者がクレジットカードを利用して商品等を購入したことが、破産法366条ノ12但書2号にいう「悪意ヲ以テ加ヘタル不法行為」を構成し、これに基づくカード発行会社の破産者に対する損害賠償請求権が非免責債権に当たるとされた事例
井田宏
最高裁第三小法廷平12.1.28
免責決定が公告がされた場合、送達を受けた破産債権者の即時抗告期間
河合裕行
最高裁第三小法廷平12.7.26
日本に本店のある法人と米国に移住する日本人との間で締結された自動車売買契約解除に基づく代金返還請求訴訟について、日本の国際裁判管轄を否定すべき特段の事情があるということはできないとして、日本の国際裁判管轄を肯定した事例
花村良一
東京高裁平11.3.24
仲裁応諾義務不存在の主張と国際裁判管轄権(消極)
小田敬美
東京地裁平11.10.28
日本に居住する日本人のアメリカ合衆国に居住する日本人に対する離婚請求訴訟につき日本の国際裁判管轄が肯定された事例
本吉弘行
東京地裁平11.11.4
韓国ソウル家庭法院の離婚審判について、外国判決の承認要件を満たしており、有効であるとされた事例
山﨑勉
横浜地裁平11.3.30
1 アメリカ連邦民事訴訟規則37条に基づいてされた懈怠判決が民訴法118条にいう「外国裁判所の確定判決」に当たるとされた事例 2 右懈怠判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序に反しないとされた事例
井戸謙一
水戸地裁龍ケ崎支部平11.10.29
中国法人と日本の会社との間に締結された仲裁契約に従って中国でされた仲裁判断に基づく強制執行の許可請求が認容された事例
木村元昭
横浜地裁平11.8.25
1 中国民事訴訟法に則って成立した「調解」の効力が日本において有効と認められた事例 2 中国で成立した保証契約が中国民法により有効とされた事例
福岡高裁平10.5.29
民法上の組合の組合員が、組合から委嘱された作業に従事したことの対価として得た収入について、所得税法上の給与所得に該当するとされた事例
森冨義明
盛岡地裁平11.4.16
同一当事者間において売買契約の形式で相互にされた不動産の譲渡が交換に当たるとしてした譲渡所得に係る課税処分が違法とされた事例
谷口豊
東京高裁平11.6.21
文化財保護法57条の2に基づく発掘調査が行われたことにより特別土地保有税の納税義務免除の認定が受けられなかった場合について、東京都都税条例及びその施行規則に定める減免事由に該当するとされた事例
田口直樹
東京地裁平11.7.14
消費税額の算出方法についての消費税法の規定が、租税法律主義(課税要件明確主義)に反しないとして、単品ごと積上計算方式によって納付消費税額を申告した小売業者に対し、同法45条1項による総額計算方式により納付税額を算定した消費税の更正処分が、適法とされた事例
高須要子
東京高裁平12.3.30
市から社会福祉法人を経由して市遺族会に対し配分された補助金の支出及び右会に係る書記事務への従事が憲法20条3項により禁止される宗教的活動に該当しないとした事例
佐久間健吉
住民監査請求が地方自治法242条2項所定の監査請求期間経過後に行われている点につき、右監査請求期間の制限を定めた規定は適用がないとされた事例
内田義厚
東京高裁平11.12.20
固定資産税の賦課及び徴収を怠ったことについての違法確認請求が損害賠償請求権が存在しないのにもかからず認容された事例
太田幸夫
東京高裁平11.9.21
市議会議員の出張に対する議長の承認の適法性
中込秀樹
大阪高裁平11.4.16
自殺した市立中学校生徒の父親からの市の個人情報保護条例に基づく当該自殺に関する全校生徒の作文の開示請求に対して非開示とした教育長の決定が相当とされた事例-中学生自殺事件作文開示訴訟控訴審判決
東京高裁平11.8.23
県知事の交際費に係る交際費経理簿の開示請求に対し、会費、香料、購読料、祝儀、見舞、賛助、生花及び餞別の各項目につき、交際相手先に関する事項が記載されている「件名」欄を非開示とした公文書一部非開示処分が適法とされた事例
團藤丈士
東京高裁平11.9.8
日本人女性と婚姻関係にある不法残留者のした出入国管理及び難民認定法49条1項の異議申出を棄却し、同法50条1項3号の在留特別許可を与えなかった裁決を裁量権の逸脱・濫用があるとして取り消した事例
近田正晴
東京地裁平11.11.12
風俗営業の名義貸しと風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(平成10年法律第55号による改正前のもの)26条1項に基づく風俗営業の許可の取消し
加藤正男
建築基準法42条2項にいう「現に建築物が立ち並んでいる」との要件について、当該道によって公道へ通じる建築物は1棟であったが、当該建築物の状況等を総合的に判断して、右「建築物が立ち並んでいる」との要件を満たしていると認められた事例
杉山正己
東京地裁平12.3.17
協業組合に対して適用すべき課徴金の算定率
東京高裁平11.1.29
告示によって処分の効力が生じる場合であっても、行政不服審査法14条1項の主観的審査請求期間は、処分の効力を受ける者が実際に当該処分を知った日の翌日から起算される
宇賀克也
東京高裁平12.3.23
墓地経営許可処分取消訴訟における周辺住民の原告適格
白石研二
1 都市計画法に基づく道路拡幅事業の認可及び地下道路事業の承認に対する取消訴訟で、事業地内の土地所有者等の原告適格を肯定し、周辺住民等の原告適格を否定した事例 2 道路拡幅事業及び地下道路事業に関する都市計画に違法はないとして、認可及び承認の取消請求を棄却した事例
山下竜一
1 原子炉設置許可処分の無効確認訴訟における審査の方法及び証明責任の所在 2 原子炉設置許可処分が手続的に適法であり、その安全性の判断に重大かつ明白な瑕疵といえるような看過し難い過誤、欠落があるとは認められないとされた事例 -もんじゅ行政訴訟差戻後第一審判決
福井地裁平12.3.22
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律8条1項所定の認定の要件である放射線起因性の意義及び立証の程度
最高裁第三小法廷平12.7.18
1 住民監査請求に関する一件記録に含まれる関係人の事情聴取記録の逗子市情報公開条例(平成2年逗子市条例第6号)5条(2)ウ該当性 2 同条例五条(2)ウに該当することを理由として付記してされた公文書の非公開決定の取消訴訟において実施機関が当該公文書に他の非公開事由があると主張することの許否 3 住民監査請求に関する一件記録に含まれる関係人の事情聴取記録の同条例5条
山田真依子
最高裁第二小法廷平11.11.19
1 衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条の衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの基準を定める規定及び公職選挙法13条1項、別表第一の右区割りを定める規定の合憲性 2 公職選挙法が衆議院議員選挙につき採用している重複立候補制の合憲性 3 公職選挙法が衆議院議員選挙につき採用している比例代表制の合憲性 4 公職選挙法が衆議院議員選挙につき採用している小選挙区制の合憲性 5 衆議院小選挙区選出議員の選挙において候補者届出政党に選挙運動を認める公職選挙法の規定の合憲性
林俊之
最高裁大法廷平11.11.10
1 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭49千葉県条例55号)において、特例選挙区を存置したことの適法性(積極) 2 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭49千葉県条例55号)の議貝定数配分規定の適法性
加藤就一
確定判決により被選挙権を失ったということはできないと判断された市議会議員選挙の当選人について、右確定判決後に選挙会がした同人を当選人としないなどの旨の決定が違法とされた事例
長屋文裕
東京高裁平11.1.28
男性上司の女性従業員への強姦及び強制わいせつ行為を理由として、使用者に対し民法715条所定の使用者責任に基づく損害賠償請求が認容された事例
東京地裁平11.10.27
不当労働行為救済命令を踏まえた協定違反を理由に提起された訴訟で成立した和解上の義務の不履行を債務不履行に当たるとし、新たな差別行為を含めて不法行為と認め、得べかりし賃金相当額と慰謝料の支払を命じた事例
松本光一郎
福岡地裁平11.10.18
転勤によって労働者の負うことになる保育の支障等の不利益が通常甘受すべき程度を著しく越えたとまでいえないなどとして東京都内の事業所間での異動を命じる異動命令が権利の濫用にならないとされた事例
松尾嘉倫
北九州市において採用され、長期間勤務していた従業員に対する千葉県富津市への転勤命令について、労働契約上、勤務地を限定する合意が成立したとは認められず、権利の濫用にも当たらないとして、その無効確認請求等が棄却された事例
中園浩一郎
福岡地裁小倉支部平11.9.16
1 いわゆる整理解雇の事案につき、人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、労働組合との協議がいずれも認められるとして、解雇が解雇権の濫用に当たらないとした事例 2 債権者のうち1名については、人選基準の具体的適用を誤ったとして、その解雇は解雇権濫用に当たり無効であるとした事例
松本哲泓
東京地裁平12.1.12
1 労働基準法上の労働時間の意義 2 作業服の着脱、移動等に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当するとされた事例
吉田肇
1 使用者がした降格や等級の引き下げによる賃金減額の効力が否定された事例 2 降格、減給や諸手当の減額を新たに認める就業規則変更の効力が否定された事例
長久保尚善
東京地裁平12.1.31
1 私立大学側の大学教員に対する当分の間教授会への出席を停止する処分及び授業の担当からはずす処分に関する訴えが司法審査の対象になるとされた事例 2 私立大学側の大学教員に対する当分の間教授会への出席を停止する処分が違法であるとして、教授会への出席妨害に対する妨害排除請求が認められた事例 3 私立大学側の大学教員に対する当分の間教授会への出席を停止する処分及び授業の担当からはずす処分が違法であるとして、慰謝料請求が認められた事例
仙台地裁平11.12.22
新聞への投書により使用者の事業活動を批判したことに基づく業務遂行への支障等を理由としてなされた懲戒停職処分が適法とされた事例
山川隆一
東京高裁平11.10.28
長年にわたり粉じん作業に従事し、じん肺及びこれに合併する肺結核にり患した労働者の原発性肺がんによる死亡が労働者災害補償保険法にいう業務上の死亡に当たるとはいえないとされた事例
仙波啓孝
最高裁第三小法廷平11.10.12
出奔して所在不明となった地方公務員に対する懲戒免職処分が効力を生じたとされた事例
林豊
最高裁第一小法廷平11.7.15
1 救済申立資格を欠く労働組合の救済申立てを拒否することは、使用者の法的利益の保護の保障の見地から要求される意味において、使用者に対して負う義務ではない 2 利益代表者ではない団体交渉を拒否すれば、団体交渉拒否の不当労働行為が成立する
慶谷淑夫
東京地裁平11.6.9
1 救済命令申立てが労働組合法27条2項の除斥期間を過ぎてされたものとされた事例 2 労働組合内の少数派に対する昇格・昇給差別に関し、労働組合法7条1号及び3号の不当労働行為が救済対象者の一部について認められた事例 3 救済対象者の格付けが不当に低い場合、救済命令において同期・同学歴者の職員の中位者と同等の格付けを命ずることは適法であるとされた事例
井上泰人
東京地裁平12.2.2
労働協約が失効しても、労働契約の内容を規律する補充規範たり得る合理的基準がない限り、旧労働協約が労働契約を補充して労働契約関係を規律するとして、使用者に旧労働協約と同一内容の月例賃金、一時金の支払を命じた事例
山下満
札幌地裁平11.8.30