最も長い歴史をもつ判例実務誌
カードリーダー事件最高裁判決 (1)特許権の効力の準拠法 (2)特許権に基づく差止め及び廃棄請求の準拠法 (3)米国特許法を適用して,米国特許権の侵害を積極的に誘導する我が国内での行為の差止め又は我が国内にある侵害品の廃棄を命ずることと法例33条の「公ノ秩序」 (4)米国特許権の侵害を理由とする損害賠償請求の準拠法 (5)米国特許権の侵害を積極的に誘導する行為を我が国内で行ったことを理由とする損害賠償請求について法例11条1項にいう「原因タル事実ノ発生シタル地」が米国であるとされた事例 (6)米国特許権の侵害を積極的に誘導する行為を我が国内で行ったことと法例11条2項にいう「外国ニ於テ発生シタル事実カ日本ノ法律ニ依レハ不法ナラサルトキ」
音楽ファイル交換事件(ファイルローグ事件)(中間判決〉 (1)ピア・ツー・ピア方式による電子ファイル交換サービスの提供者が,利用者により同サービスが市販のレコードを複製した音楽電子ファイルの交換に利用されることを予想しながら,音楽電子ファイルをパソコンの共有フォルダに蔵置している利用者のパソコンを,サーバに接続させる行為は,自己の営業上の利益を図り,自己の管理の下に,送信者に音楽電子ファイルの自動公衆送信及び送信可能化を行わせるものであり,当該サービス提供者は,自動公衆送信権及び送信可能化権の侵害の主体に該当すると解することが相当である (2)前記サービスの提供者である会社及び同会社の取締役は,前記の著作権侵害が行われることを防止するための適切,有効な措置を講じる義務を怠った過失により,不法行為による損害賠償責任を負う (3)前記サービス提供者はプロバイダ責任法2条4号所定の「発信者」に該当し,同法3条1項によりその責任を制限することはできない
(1)旅客自動車運送事業も経営する鉄道会社が,自動車事業部に属する労働組合員に対し,鉄道部門への転勤を命じたことが不当労働行為に当たるとされた事例 (2)転勤命令後に設立された自動車運送事業会社は,転勤命令を受けた者との関係では,労働組合法7条にいう「使用者」に当たらないとして,同社に対して出向受入れ等を命じた救済命令及び鉄道会社に対して自動車運送事業会社への出向を命じた救済命令が違法であるとされた事例 (3)鉄道会社の自動車事業部の営業所長が,労働組合員に対し,労働組合からの脱退を慫慂したことが不当労働行為に当たるとされ,同部の社員全員が自動車運送事業会社に出向した後も,鉄道会社は労働組合法7条にいう「使用者」に当たるとされた事例