最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 首相訪米阻止闘争に参加し逮捕起訴された反戦青年委員会所属の従業員に対してなされた起訴休職処分が、保釈され出社した後は無効であるとされた事例 2 組合員としての地位に基づく事業場への入構請求権が認められた事例
1 山林内の雑木を、その搬出等のため林道使用を許諾する条件を付し売渡した場合と、右雑木の転得者に対する右林道使用許諾義務の存否 2 請負人の不法行為につき、注文者に使用者責任(715条)が認められた一事例
農地の買主から右買主たる地位の譲渡を受けた者が、直接当初の売主に対し右許可申請をなすについての協力を訴求することが認められた事例
1 除名処分取消の訴えがけいぞく中に提起された地方自治法255条の3に基づく審決申請に対する不作為違法確認の訴えの利益の有無(積極) 2 右法条に基づく審決申請に対する行政庁の不作為が違法と認められた事例
被解雇者が使用者に対し「解雇問題に関して紛争並に迷惑を及ぼすような行為を行なわない」旨約し、係争訴訟等をすべて取り下げ、退職金等を受領した場合、不起訴の合意ありと認定した事例
造船所ドックにおける下請業者の被用労働者の作業事故につき、右造船所で船舶修理業を行なう被告会社をもって労働者災害防止団体等に関する法律施行規則13条所定の元方事業主で、労働災害防止の措置を講ずる義務をもつ安全責任者としたうえ、右事故につき、固有の過失責任を肯定した事例
イ 道路交通法72条1項後段にいわゆる交通事故報告義務 ロ 道路交通法72条1項後段所定の報告義務と物件損壊の程度との関係
1 犯人の意図した誘拐の目的の点が記載されていない告訴状による告訴の効力が、猥褻誘拐と強制猥褻の両公訴事実に及ぶとされた事例 2 猥褻誘拐と強制猥褻とが牽連犯の関係にあるとされた事例
無罪の一審判決を破棄して有罪を言い渡すに足りる事実の取調が事実上不可能となったこと等を理由として検察官の控訴を棄却した事例
1 岡山市売春等取締条例3条は売春防止法附則4項により失効するか 2 同性間の性交類似行為は右条例にいう性交類似行為にあたるか
1 宗教法人令施行当事所定の手続を経ないでなされた境外地の賃貸借契約の効力 2 宗教法人法施行後になされた右賃貸借の暗黙の承認の効力
建物買取請求権行使後土地賃貸借当事者間に裁判上の和解が成立した場合これが買取請求権行使の効果に及ぼす影響と建物賃借人に対する関係
土地と建物が同一所有者に属する場合に地上建物にのみ抵当権が設定されかつ代物弁済予約がされて予約完結権が行使されたときに成立する土地使用権の性質
土地賃料の客観的相当額が従来の賃料額に比して多少高額であるが、未だ両者が平衡を失うには至っていないとして、賃料増額請求を認めなかった事例
1 不渡異議申立提供金預託手続をしたに止り、手形所持人の手形金支払請求のない段階における振出人の手形横領者に対する損害賠償請求の当否 2 手形の裏書譲渡と共同不法行為の成立
1 自衛隊員が帰営後自衛隊の車を洗車の際起した事故につき国家賠償法1条の適用を否定した事例 2 停車寸前に後部荷台に登ろうとして、背後の塀と後部荷台との間にはさまれた後退誘導者に約5割の過失相殺をした事例
1 屋台のラーメン屋の逸失利益算定例 2 横断しようとする車に道を譲っているバスの脇を通り抜けたため、横断してきた車と衝突した足踏式自転車に約4割の過失相殺をした事例 3 慰藉料の減額事由として、激務に服さずに多額の休業損害が認容されたことを斟酌した事例
大型トラックの休車損害の算定にあたり、保険毎日新聞社発行のノンマリン査定ガイドにしたがって日収の35%が利益であるとした事例
1 自動車登録原簿上の所有名義人に反証のないことをもって運行供用者責任を認めた事例 2 個人タクシー業の休業損害算定例 3 自賠法施行令2条別表14級の後遺障害を認定したが、同後遺障害に基づく収入減はないとして逸失利益を認容しなかった事例
Y字形交差点での自動二輪車と軽四輪乗用車の衝突による二輪車後部座席同乗者傷害事故につき、事故は二輪車運転手の一方的過失に基づくとし、乗用車側の免責を認め、なお、受傷者は、事故地点に至る迄の間、右二輪車を走行させながらその運転を、事故時運転手と極めて危険な方法で交互に替って当るという曲乗りをしていたことを認定のうえ、右行為を事故の潜在的な原因と評価し、20%の過失相殺をした事例
両側にガードレールで区切られた歩道のある幅員14.4米の車道を安全を確認せず横断中普通乗用車に跳ねられた61才の老人の過失割合を30%とした事例
1 交差点内に信号が黄であるのに進入のうえ停止したところ、被告車のスリップするのを認めたので、これとの衝突を避けようとし、判断を誤りさらに前進したため衝突するに至った原告の過失を70%と判定した事例 2 登録名義人の運行供用者責任を否定した事例
1 改築許可に伴う附随処分として、更地価格の0.3%に相当する金銭の支払いを命じた事例 2 改築許可と賃料改訂の要否
事情の変更を認めた事例 1 都心に近い地域では、家屋の密集化と土地価格の騰貴に伴ない建物の不燃化・高層化は不可欠の要請であり、事情の変更を認めることができる。 2 附近の建物の状況、申立人の改築計画、隣地に対する日照を考慮し、4階建以上の建物の建築については、相手方の承諾を要する旨の特約を付した事例。
1 再更正処分がなされた場合、当初の更正処分の取消しを求める訴えの利益の有無(消極) 2 再更正処分に対する所定の不服申立手続を経ないことにつき正当な理由があるとされた事例 3 税務署長の推計課税が適正を欠くとされた事例 4 審査庁の審査担当協議官が所得調査書あるいはその要点を写した調査メモは、行政不服審査法33条2項の閲覧を請求しうる書類その他の物件に該当する
1 審査請求人が弁明書副本の送付方を請求した場合に、審査庁は処分庁に対し弁明書の提出を要求する義務があるか(消極) 2 所得調査書の閲覧請求につき、これを拒否する正当な理由がないとされた事例 3 所得調査書の閲覧拒否と裁決の取消事由 4 原処分の取消請求を棄却する場合において、裁決を取り消す利益の有無(積極)
不変期間の懈怠と当事者の責に帰すべからざる事情 税法関係事件について、審査請求における裁決に対し、国税局長に陳情をなし、同局長が考慮しておくとの回答をした場合、その回答があるまで出訴期間の進行が阻止されるか(消極)
差押または仮差押をうけた債権についての給付請求訴訟における判決如何 差押または仮差押の効力消滅を条件とする給付判決をすべきである
薬剤に関する「BRITEX」という商標の登録出願について、既登録商標である「BLISTEX」に類似し、登録の拒絶を相当とした事例
「ペースト状切削油」に関する特許無効審判において、潤滑油に関する引例から容易に推考しうるものとして無効とする結論を是認した事例
「繊維特にガラス繊維の製造法及びこの方法の実施装置」に関する発明の特許出願について、抽象的な温度条件の表現からは出願人主張の作用効果は認められないとして拒絶相当とした事例
「繊維特にガラス繊維を製造する装置」に関する特許出願について拒絶理由とされた引用例との相違点が出願人の指摘する通りであっても、なお出願前周知の技術を参酌すれば引例から容易推考とした拒絶理由が正当であるとした事例
「炭素被膜抵抗器用特殊磁器素体の製造方法」の発明に関する特許出願について、出願人側が拒絶理由である文献に示されたところに従って作成された試験品の性状に劣るところがあったといって、引用例から容易推考の結論を左右しえないとした事例
特許を無効とする審決がその取消訴訟係属中、誤って訴取下げがあったものとして、その特許発明に関する訂正審判の請求を却下した審決が違法とされた事例
「ボイラースケール中の銅を除去する方法」の発明に関する特許出願について使用する酸洗液に添加するチオ尿素の濃度につき出願過程からみて限定がないとして出願人の主張を排斥した事例
「液体定量吐出装置」に関する実用新案登録出願について、審決が前提とした周知技術の認定が誤っているとして審決を取消した事例
「アセチレン類含有ガスよりアセチレン類を回収する方法」に関する特許出願について爆発危険の防止の効果を期待しうるという出願人の主張が認められないとして拒絶相当の結論を是認した事例
1 刑法126条1項の「破壊」にあたる事例 2 殺人の故意(未必)をもって電車を破壊し、よって人を死に致した場合の擬律 3 電車内で時限爆破装置を爆発させ、電車を破壊すると同時にその爆体の破片によって乗客を死亡させた場合の罪数
殺人罪のいわゆる承継的共同正犯にあたる事案につき、後行行為者の介入前における先行行為者の暴行のみが被害者に死因を与えた場合であっても、後行行為者が先行行為者とともに殺人罪の共同正犯として罪責を負うべきものとされた事例
被告人らから採取した尿を薄層クロマトグラフィー法および呈色反応法により検査した結果、ジアセチルおよびモノアセルモルヒネを検出した旨の鑑定を信用できないとして、被告人らが麻薬ジアセチルモルヒネを自己の身体に施用したという訴因について被告人らに無罪の言渡をした事例
自動車により婦女を他所へ連行したうえ強姦しようと企て、同女を自動車内に引きずり込もうとして加えた暴行は、いまだ強姦行為の着手とはいえないとされた事例
現に親権者である父の弟夫婦が養子とする目的で実親同様の愛情をもって養育している事案について、まだ幼児の域を脱しない子の監護養育は片親であっても実親のそれにまさるものはないとして、自ら監護養育をなすべきことを熱望し、その能力資力において何ら欠けるところのない母に親権者を変更した原審を維持した事例
申立人は、夫との離婚により復氏したが、旧夫が病臥したのでその許に戻って看病し、その死後も引続き子供らと同居し10年余の長期間にわたり婚姻中の氏を称して社会生活をしている等判示事情のもとにおいては、戸籍法107条1項により申立人の氏を婚姻中の氏に変更するやむを得ない事由があるというべきである
非摘出子から父に対する扶養申立事件において、扶養を免れる目的で、遺産分割協議等を通じて農業資産等を相手方の母、弟および妻子の名義としたものと窺い得る余地があり、右農地からの収益の大半が相手方夫婦の労働力によるものであって、その農業経営の主導権が相手方にあり、その寄与率が80パーセントに達しており、毎月剰余若しくは蓄積となるべき所得、収入についてこれを利用処分しうる自由ないし利用処分についての強い発言力がある等判示認定事情のもとにおいて、相手方の母、弟および妻子名義になっている右農業資産等を基礎として相手方の扶養能力を認定のうえ要扶養金額を算定した事例
扶養権利者と扶養義務者の一部の間で扶養協定がなされた場合、それが合理的な特別事情にもとづくもので、他の扶養義務者がそれを承諾しているときは、右協定にしたがって具体的な扶養義務関係が扶養関係者において形成されているものとみるべきであって、その協定時の事情に変更がない限り、右具体的扶養義務関係は維持されるべきである
夫婦共同縁組の原則に反し、その一方のみが他人夫婦の養子となる旨の届出がなされたところ誤って受理され、養親の一方が死亡後に右養子の配偶者において、養子とともに養親夫婦の養子となる旨の縁組追完届出がなされ、それが受理されたとしても、右追完届出当時の生存者間で養子縁組が成立することは格別、養親夫婦と養子夫婦との間の縁組が有効となるものと解することができないとして、右縁組が有効であることを前提とする戸籍訂正許可申立を却下した事例
遺産分割による分割が未だなされておらず、しかも実体法上の権利関係である相続権、相続財産等の存在について争いがないような事案における共同相続財産の分割は、家庭裁判所における遺産分割の手続によるべきであって、民法258条に基づく共有物分割の訴を提起することは許されない
被相続人に財産があって特にその生前、金銭的な世話をした事実がない場合でも、幼少時より身近な親族としてたえず交際し、死亡後は葬儀、納骨、法要等遺族同様の世話を行ない、今後も被相続人の祭祀回向を怠らぬ意向である者は、民法958条の3にいうその他特別の縁故があった者に該当する
遺言執行者の選任は遺言の成立あるいは効力の問題ではなく、遺言によって発生すべき相続財産の移転という実質的法律関係、すなわち相続に関する問題であるから、法例25条により被相続人の本国法が準拠法となる