《解 説》
1 本件は,A運転の自動二輪車とパトカーとが衝突し,自動二輪車に同乗していたBが死亡した交通事故につき,Bの相続人であるXらが,パトカーの運行供用者であるYに対し,自賠法3条に基づく損害賠償を請求する事案である。
AとBは,中学校時代の先輩後輩の関係であり,事故当日の午後9時...
《解 説》
1 本件は,被告人が,3軒長屋の西側部分を所有して1人で居住していたところ(その他の部分に他の居住者もいた。),平成15年9月,自宅が火災になったことから,2つの損害保険会社に対し,火災による焼損を原因として火災保険金を請求し,そのうちの1社から保険金の支払を受け,もう1社からは支...
《解 説》
1 事案の概要(判示事項に関するものに限る)
原告は,被告から購入した宅地の中に埋設物及び汚染土壌が存在したとして,瑕疵担保責任に基づき,被告に対し,損害賠償を求めた。
被告は,これに対して,上記埋設物及び汚染土壌はいずれも本件土地の瑕疵にはあたらないと反論した。
2 本...
《解 説》
1 本件は,業務上横領の事案である。原審で,被告人は事実を争わず,即決裁判手続により審判され,有罪判決を受けた。被告人が控訴し,他の主張とともに,被告人には業務上横領の故意がなく無罪であるとして事実誤認を主張し,即決裁判手続による判決に対し,犯罪事実についての事実誤認を理由とす...
《解 説》
1(1) 本件は,Xらの所有する土地(本件土地)上に植栽されたXら所有の樹木(本件樹木)について,Yの申立てに基づき仮差押命令が発令され(本件仮差押命令),その執行がされた(本件仮差押執行)ことについて,Xらが,本件仮差押命令の申立ては違法なものであり,本件仮差押執行により,県...
《解 説》
1 本件は,発明の名称を「発光ダイオードモジュールおよび発光ダイオード光源」とする本件特許(平成5年9月17日優先権主張,平成15年6月20日設定登録)の特許権者であるXが,特許異議申立事件につき特許庁がした本件特許の取消決定の取消しを求めた事案である。
2 本件の手続経過は...
1 権利能力なき社団の代表者の構成員に対する行為が「職務を行うについて」(平成18 年法律第50 号改正前民法44 条1 項)した行為に該当しないとされた事例 2 権利能力なき社団の被用者の構成員に対する行為が「事業の執行について」(民法715条1項)した行為に該当しないとされた事例
《解 説》
1 本件は,X1~X7が,権利能力なき社団であるY1に対し,会員としての地位の確認を求めるとともに,Y1の代表者及び被用者並びにY1を指導援助する立場にあって権利能力なき社団であるY2の理事及び被用者によって行われたX1の除籍処分等及びX2~X7の除名処分が違法であるとして,Y1及...
《解 説》
1(1) 本件は,原告が被告文京区の管理する公園で子どもの世話をしていたところ,Y1(当時12歳10か月)が不安定な状態にあった標識(以下「本件標識」という。)を倒し,これが原告の後頭部及び背部に当たった(以下「本件事故」という。)ことから,傷害(PTSDを含む。)を負ったとし...
《解 説》
1 移転価格税制度について
移転価格税制度は,一般に,企業が国外にある親会社,子会社といった関連企業との間の取引を通じて所得を国際的に移転させることに対処するための税制である。すなわち,多国籍企業は,ある程度集権化された経営の下でグループとして活動するとともに,個々のメンバー...
《解 説》
1 本件は,当時14歳の少年が,成人2名,少年2名と共謀の上,平成16年2月,徒歩で帰宅途中の被害者(当時の大阪地裁所長)に対し,後方から体当たりして路上に転倒させる暴行を加え,周りを取り囲んで脅迫し,その反抗を抑圧して現金を強取するとともに,骨盤骨折の重傷を負わせたとされた強...
生海苔異物除去機再審事件 特許無効確定に基づく特許権侵害差止認容確定判決に対する再審請求において,再審該当性が問題となった事例
《解 説》
1 事案の概要
(1)特許権者である再審被告(原判決における被控訴人〔1審原告〕。以下「X」という。)は,海苔異物除去機(以下「Y製品」という。)を製造販売する再審原告(原判決における控訴人〔1審被告〕。以下「Y」という。)に対し,Y製品がXの本件特許権の請求項1及び2記載の特許...
《解 説》
1 本件土地は,土地上にある本件建物とともにYを含む3人の共有であったが,担保不動産競売手続によってXが取得したことにより,本件土地には本件建物のための法定地上権が成立した。
XY間で地代についての協議が調わなかったことから,Xは,Yを被告として地代確定訴訟を提起し,同訴訟の...
《解 説》
1 本決定は,いわゆる布川事件といわれる強盗殺人被告事件に関する第2次再審請求につき,水戸地方裁判所土浦支部がした再審開始決定に対する検察官の即時抗告を棄却した抗告審の決定である。
事件の捜査経緯等は,本決定に判示されているが,昭和42年8月30日,独り暮らしをしていた当時6...
《解 説》
1 本件は,自動車及びその部品の開発,設計,製造,売買等の事業を営む被告会社の従業者である被告人3名が,他の従業者と共謀の上,国土交通省の職員から,道路運送車両法(平成14年法律第89号による改正前のもの)63条の4第1項に基づき,大型車両の前輪のタイヤホイールと車軸を結合する重要...
[解 説]
1 事件の推移等
(1)本件は,業務上過失傷害罪(当時)と道路交通法違反罪(救護・報告義務違反)で起訴された被告人が,外形的な事実関係としては,後記のような事故があったこと自体に争いはなかったものの,以下に紹介する経緯で全公訴事実について無罪とされた事案である。
被害者が負っ...
入会集団の一部の構成員が訴えの提起に同調しない構成員を被告に加えて,構成員全員が訴訟当事者として第三者に対する入会権確認の訴えを提起することの許否(積極)
展覧会のために無償で貸し出された美術品について,「ドア・トゥー・ドアの過程において生ずる全ての事柄は美術館が保証」する旨の保証条項のある「貸し出しに関する要項・同意書」が作成されているときであっても,貸出前に発生していた損傷又は経時劣化による損傷若しくは修理の必要のない損傷に対しては,借主は責任を負わないとされた事例