1 日本国法人Xが,台湾法人Y 1及び米国法人Y 2に対して提起した債務不履行,製造物責任,不法行為等に基づく損害賠償請求訴訟について,不法行為地の裁判籍等を認めた上で,日本の国際裁判管轄を否定すべき特段の事情は認められないとして,日本の国際裁判管轄を認めた事例(①事件) 2 米国法人Y ’1及び甲が日本国法人であるX ’らを被告として不法行為等に基づく損害賠償等請求訴訟を米国の裁判所に提起した後に,X ’らがY ’1及びY ’2(甲の破産管財人)を被告として日本の裁判所に提起した上記損害賠償等債務の不存在確認訴訟について,普通裁判籍,不法行為地の裁判籍等を認めた上で,日本の国際裁判管轄を否定すべき特段の事情は認められないとして,日本の国際裁判管轄を認め,併せて,民訴法142条の「裁判所」は外国の裁判所を含まないというべきであるとした事例(②事件) 2 国際裁判管轄の決定基準 「我が国の民訴法の規定する裁判籍のいずれかが我が国内にあるときは,原則として,我が国の裁判所に提起された訴訟事件につき,被告を我が国の裁判権に服させるのが相当であるが,我が国で裁判を行うことが当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があると認められる場合には我が国の国際裁判管轄を否定すべきである。」(最二小判昭56.10.16〔マレーシア航空事件〕民集35巻7号1224頁,最二小判平9.11.11民集51巻10号4055頁) 3 国際的二重起訴について,民訴法142条(重複する訴えの提起の禁止)と同一の効果を認めることの可否(②事件中間判決,消極)
《解 説》
1 本件は,X社(日本法人)がY1社(台湾法人)の製作した部品(光モジュール)をX社の製品(メディアコンバータ)に搭載して我が国で販売したところ,この部品の欠陥により,上記製品に故障が生じ,損害を被ったと主張して,X社からY1社に対し,瑕疵担保責任,債務不履行責任,製造物責任な...
《解 説》
1 本件は,暴力団組長である被告人が,配下の組員らと共謀の上,(1)みかじめ料を支払わない会社が経営するパチンコ店において,けん銃から弾丸を発射して店の天井を損壊するなどし,(2)けん銃5丁をそれらに適合する実包168発及びそれらに適合しないけん銃用実包2発と共に保管して所持し...
《解 説》
1 本件は,東京都中野区の住民である原告が,住民基本台帳法の平成11年改正により導入されたいわゆる住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)が,憲法13条により保障されている原告のプライバシー権(自己情報コントロール権),氏名権及び公権力によって包括的に管理...
《解 説》
Xの夫A(昭和17年生)は,B社からC社の福岡事務所に出向し,九州全域及び沖縄の携帯電話中継所及び基地局において復変調装置(MDE)のトラブル対応等の仕事に従事していた。Aは,平成7年10月12日早朝,出張先のホテルビル1階の床上で死亡しているのを発見された。Xは,Aの死亡はそ...
《解 説》
1 本件は,平成15年8月4日,青森県にある十和田八幡平国立公園の奥入瀬渓流の遊歩道において,折から同遊歩道を訪れていた女性X1が,石に腰を掛けて昼食をとっていたところ,地上約10メートルの高さから,長さ約7メートル,直径約20センチメートルの大きさのブナの枯れ枝が落下し,これ...
〔1〕いわゆる仕手筋として知られるAが、大量に取得してB会社の株式を暴力団の関連会社に売却するなどとB会社の取り締まりであるYらを脅迫した場合において、Aの要求に応じて巨額の金員を交付することを提案し又はこれに同意したYらの忠実義務、善管注意義務違反が問われた行為について過失を否定することができないとされた事例 〔2〕会社からみて好ましくないと判断される株主が議決権等の株主の権利を行使することを回避する目的で、当該株主から株式を譲り受けるために対価を何人かに供与する行為と商法(平12法90号改正前)294条ノ2第1項にいう「株主ノ権利ノ行使ニ関シ」利益を供与する行為(積極)
《解 説》
1 本件は,被告人が友人らと共謀の上ガソリンスタンド店員を欺いてガソリンを詐取(判示第4の1)し,その代金支払を免れるために同店員に暴行を加えて反抗を抑圧し傷害を負わせた強盗致傷(判示第4の2)事件について,判示第4の2の成立罪名及び判示第4の1及び2の罪数関係が争点となった事...
《解 説》
1 Aは,I社の代表者であり,著名なグリーンメーラー(株式を大量に取得し,高値で売り抜け又は発行会社にこれを高値で買い取らせて利益を得ようとする者)であった。B社(蛇の目ミシン工業)は,ミシン等の製造及び販売を目的とする株式会社であり,当時C銀行をメインバンクとしていた東証一部...
《解 説》
1 本判決による事実関係は,次のとおりである。
Xは,韓国籍女性であるが,早朝5時ころ自宅マンションに帰宅したところ,潜んでいた男性2人と女性1人の外国人風の強盗に襲われ,2通の預金通帳(Yの恵美須支店開設のもの)とその届出印,キャッシュカード,外国人登録証明書,自動車運転免...
《解 説》
1 本件の事実関係の概要は,次のようなものである。
被告住友軽金属工業(Y)は,複数の生命保険会社との間で,保険金受取人をY,被保険者をYの従業員全員とする団体定期保険(以下「本件各保険契約」という。)を締結していた。この保険契約のように被保険団体が全員加入団体の団体定期保険...
《解 説》
1 本件事案の概要は,次のとおりである。
Xは,建材店に勤務しており,自宅から徒歩で通勤していたが,勤務日(週5日)のうちの4日程度,その妻の父(義父)であるAの介護のために,帰路にA宅へ立ち寄った上で帰宅していた。ところが,Xは,A宅に立ち寄った後徒歩で帰宅途中に,原動機付...