《解 説》
本件は、控訴人Xがもと所有していた不動産につき、被控訴人Y1が無断で売買を原因とする同人名義の所有権移転登記を経由したうえ、これを被控訴人Y2に売却し、同人名義に所有権移転登記を経由したと主張して、不動産所有権に基づく妨害排除請求として、被控訴人らの名義の右各所有権移転登記の抹...
《解 説》
一 第二小法廷の平成一五年三月二八日判決(同一四年(オ)第一六三〇号)と第一小法廷の平成一五年三月三〇日判決(同一四年(オ)第一九六三号)は、当事者も重複しており、最高裁が判断した論点も同一の憲法問題であるので、両判決について、まとめてコメントする。
二 両事件とも、平成一二...
《解 説》
1 X1は,平成6年8月上旬ころから,頸の後部の痛みや右手指の痺れ感を覚えるようになったため,同年9月13日,Yの開設する病院で診察を受けたところ,頸椎症性神経根症と診断され,A病院に入院して治療を受けていたが,同年10月23日,四肢麻痺が出現し,尿閉となったため,他の国立B病...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである(なお,丙事件の不当利得返還等請求事件は,サブリースの論点には直接関わらないので,説明を省略する)。
本件は,いわゆるサブリース契約において賃貸人と賃借人との間で賃料増額を巡って争われた事案である。すなわち,Xを賃貸人,Yを賃借人とする建物...
《解 説》
本件は、他人の住居に侵入して金品を窃取した被告人が、その居住者の孫に発見されて逃走したが、近くの路上で追い付かれたため、逮捕を免れるべく、住居侵入のために所持していたバールで同人の胸を突くなどの暴行を加えて、全治約一〇日間を要する前胸部打撲等の傷害を負わせたという事案につき、事...
《解 説》
一 本件は、債務者が、江戸時代の武家屋敷の古き町並みの面影等の残る住宅地域であることから名古屋市教育委員会から町並み保存地区に指定されている白壁地区等内にマンションの建設工事をせんとしたのに対し、近隣住民等である債権者らが、高さ二〇メートルを超える部分の建築工事の差止めを求めた...
《解 説》
1 本件は,亡甲の妻子が原告として,建物の増改築工事(リフォーム工事)等を営業目的とする被告会社乙で稼働していた亡甲の業務は長時間に及ぶ過酷なものであって,特に,亡甲は,基礎疾患として,拡張型心筋症に罹患していたので,その長時間に及ぶ過酷な業務による心身への過重負荷が同人の拡張...
第1 問題提起
第2 民法第478条沿革小史
1 原型
2 旧民法財産篇第457条の母法
3 法継授による変容
4 判例・通説
第3 債権者の帰責事由
第4 CD,ATMを利用した預金取引における民法第478条の適用
1 CD,ATMを利用した預金取引の現状
2 免責約款と民法第478条との関係
3 CD,ATM取引における民法第478条,免責約款の適用が問題とされた具体例
4 平成5年判決及び平成15年判決を前提とした 「債権者の帰責事由」 の位置付けの検討
5 平成15年判決の別の理解─過失相殺の可否
第5 預金者保護法沿革小史
1 立法に至る背景事情
2 金融庁スタディグループによる検討・中間取りまとめ
3 議員立法による預金者保護法の制定
4 偽造カード等を用いて行われた機械式預貯金払戻し等の規律の概要
第6 預金者保護法第4条により機械式預貯金払戻し等が有効となるための要件の検討
1 主張責任・立証責任の所在
2 客観的要件
3 主観的要件
4 預貯金者の重大な過失
【追記】
《解 説》
一 本件は、盗まれた預金通帳が使用されて機械払の方法によりATM(現金自動入出機)から預金の払戻しがされた場合に、銀行が預金者に対して民法四七八条による弁済の効力を主張することができるか否かが問題となった事案である。
二 事実関係の概要は、次のとおりである。
1 Xは、福岡...
《解 説》
1 本件は,Xが,中華人民共和国(以下「中国」という。)に設立された合弁会社A公司に30万ドルを拠出したが,Yらが,これを争うので,Xがこれを拠出したことの確認を求めるとの訴えを提起したところ,これに対し,Yらが,本件訴訟物,すなわち30万ドルの拠出者については,既に中国人民法...
《解 説》
被告人は、多数の事件で起訴されたが、このうち強盗強姦未遂罪の訴因について、その成否が問題となった。この事案の概要は、共犯者三名と強盗の範囲で共謀の上(被告人のみは強姦の意図もあった。)、被告人において被害者(二三歳の女性)に暴行を振るってかばん等を強取し、その際、被害者に加療約...
《解 説》
一 本件①、②事件はいずれも、被告人が、香港及び台湾の犯罪組織関係者ら多数の者と共謀の上、営利の目的で約五六五kgという大量の覚せい剤を密輸入したという覚せい剤取締法違反、関税法違反被告事件であり、①事件の被告人(被告人①)には控訴審で無期懲役刑等が言い渡され(判時一七五七号一...
《解 説》
一 本件は、共有の性質を有する入会権(民法二六三条)の対象地の売却代金債権について、入会権者らが分割債権を取得するか否かが争われた事案である。
二 事実関係の概要は、次のとおりである。
1 本件入会地は、本件部落に居住する三三名の本件権利者らの入会権の対象地であり、その地盤...