最も長い歴史をもつ判例実務誌
ネドロイド交際費課税訴訟第一審判決
子会社である日本法人の海運代理業者が支出した交際費を親会社であるオランダ法人の船会社が負担した場合において、右交際費を税法上、子会社の支出に帰すべきであるとした事例
退職金支給規定に退職後六か月以内に同業他社に就職した場合には退職金を支給しない旨の不支給条項がある場合において、退職従業員に会社に対する顕著な背信性は認められないとして、右従業員に対する右不支給条項の通用を否定した事例
純然たる金銭債権の訴求に対して、他から債権譲渡を受けた慰謝料請求権をもってする訴訟上の相殺が、相殺制度の目的を逸脱するなどの理由で権利の濫用とされた事例
部下の私的な生活範囲に対する会社上司の介入の限度(部下の借家紛争につき、会社上司が一定の節度をもって和解解決を説得しても違法ではないが、部下の確定的決断後に、会社における職制上の優越的地位を利用して執拗に和解を強要することは不法行為となる)
香港等での海外先物取引において、取引会社が顧客に虚偽の取引結果報告をして損害を被らせたとして、取引会社、代表取締役、取締役に不法行為責任が認められた事例
一、プライバシー侵害と民法七二三条の類推通用の可否 (積極)
二、大手消費者金融業の会長が病院内の廊下で車椅子に乗った姿を撮影して写真週刊誌に掲載したことが肖像権及びプライバシー侵害
に当たるとされた事例
一、昭和四七年四月出生の極小未熟児が未熟児網膜症で失明した事案につき、担当医に酸素管理に関する義務違反があるが、本症の最新研究成果に照らし、右義務違反と結果発生との間に相当因果関係は認められないとされた事例
二、医師が、学会出張のため五日間患者を看護婦任せにしていたこと、及びカルテに改宜の疑いのあることが、医師・患者間の信頼関係を損なう不誠実診療として債務不履行を構成するとして、慰謝料の支払いが命じられた事例
高齢の胆のう癌患者が、手術後に縫合不全による腹膜炎を起こし、手術二五日後に大量出血で死亡した事案につき、手術前からの一連の医師の措置(判文参照)にいずれも過失はないとして、患者遺族の請求が棄却された事例
殺人事件につき、犯行時に側頭葉てんかんによるもうろう状態にあったとして、心神耗弱が認められた事例 (懲役三年、保護観察付執行猶予)
沼津セクシュアル・ハラスメント訴訟第一審判決
宿泊施設勤務の女性に対する上司のセクシュアル・ハラスメントについての損害賠償として二〇万円が認容された事例