最も長い歴史をもつ判例実務誌
航海中の遠洋鮪漁船に補給された燃料油や食料等の代金債権がわが国において船舶所有者が締結した契約に基づいて生じたものである場合に右債権が商法842条6所定の債権にあたるとされた事例
推定相続人廃除の審判前にその推定相続人の持分を差押えた債権者に対して、相続財産の受遺者は、その遺贈による取得を登記なくして対抗することができるか(積極)
無効票1票を見落した開票管理者の過失により落選者とされたが、後日、くじで当選者となった町議がなした当初よりの議員歳費等の損害賠償請求について、右損害は、右過失と相当因果関係がないとされた事例
一般には建設機械の所有権留保の有無の調査義務が強く要求される場合のある金融業者が当該機械を担保に供されあるいはこれを買い受けるにつき、その相手方に対し質問するなど以上に調査すべき義務はないとされた事例
銀行が船会社から、抵当物件である砂利採取船の権利証と船舶の検査合格証を取り上げ、第三者に融資してその船舶を別用途に供する計画をたて、代物弁済予約を原因とする所有権請求権仮登記を受け、第三者をしてその船舶を回航させその鍵を取り上げるような事実があるときは、銀行がその船舶を代物弁済としその船舶に付けられた抵当権の被担保債権を消滅させたものとみるのが相当であるとされた事例
賃貸家屋が老朽化して行政庁から除却、改築等を命ぜられている等の諸事情を考量し、150万円の立退料の支払によって、賃貸借の解約申入につき正当事由が具備されたと認められた事例
交通事故によって大腿骨骨幹骨折の受傷をしたが、この髄内固定観血手術をなした医師の過失により大腿骨骨長短縮の後遺症を蒙ったとして、医師及びその雇用主たる病院に対してなされた損害賠償請求が棄却された事例
1 ホテル経営を目的とする建物賃貸借契約の際支払われた賃料の11.5か月分に相当する金員が敷金でないとされた事例
2 保証金の没収特約が有効とされた事例
1 同和地区住環境整備事業として建設された改良住宅の家賃値上げを認容した事例
2 公営住宅法13条に基づく家賃値上げと借家法7条2項の適用の有無(消極)
3 忌避権の濫用が明らかであるとして、民訴法42条の適用を否定した事例
国税調査官が、税務調査のため店舗に臨場し、不在を確認する目的で、内扉の止めがねを外して作業場内に入ったことが、国賠法1条1項上、違法な職務の執行にあたるとした事例
1 請負契約において注文者が解除権を行使するにあたっては、自己の利益のために解除するものである旨を明らかにしてなすことを要する
2 注文者のなす右解除権行使は、注文者の便宜に従ってこれをなすことができるから、銀行取引停止処分を受けた請負人が履行が可能であるとしても、それだけでは権利の濫用となるものではない
1 請求の基礎に変更ありとして請求原因の追加的変更が許されないとされた事例
2 一審有罪判決による週刊誌の記事と名誉毀損の成否(消極)
砂糖の先物取引の勧誘行為が社会通念上商品取引における外務員の行為として許容される範囲を逸脱した違法なものであるとして使用者責任が認められた事例
名勝松島海岸の眺望を生命とする料理飲食店が、隣接飲食店の改築工事によって右眺望が阻害されるとして、右工事禁止を求めた仮処分申請が認容された事例
1 被告国には、予防接種により発生する障害等の結果につき、被接種者に対し、いわゆる安全確保義務があると認めることはできない。また、本件予防接種当時、厚生大臣には、接種による障害等の結果発生を認容する「未必の故意」または接種にあたっての具体的過失の存在を認めることはできない。従って、被告国には、民法上の債務不履行責任または厚生大臣の公権力の行使についての国家賠償法上の責任のいずれの責任もこれを認めることはできない。
2 被害児梶山桂子(15の1)については、予防接種の実施主体である東京都中野区長及び接種担当医師が、被害児河又典子(34の1)については、接種担当医師が、いずれも予防接種実施規則に定める接種方法に違反して、複数ワクチンの同時接種の立案、その実施と過量接種をした過失が認められる。右実施主体は、被告国の機関委任事務の遂行として、また、各接種担当医師は、いずれも特別公務員の立場にあったものであるから、被告国は、国家賠償法1条による責任がある。
3 被告国には、被害児梶山桂子(15の1)、同河又典子(34の1)を除く、その余の被害児らとその両親等に対し、憲法29条3項の類推適用により、損失補償すべき責任がある。