最も長い歴史をもつ判例実務誌
催告および右催告期限徒過を停止条件とする契約解除の意思表示が右期限後に到達した場合に催告および解除の意思表示が有効とされた事例
債権の一部を被保全債権として仮差押のなされた不動産の譲渡を受けた第三者が本差押手続中に被保全債権の弁済をした場合における強制執行の許否
電電公社近畿電気通信局職員宿舎内に設けられた物資廉売所の「近畿地方生活必需品販売部」という名称の使用とそのなした取引につき日本電信電話公社近畿電通局の責任
鉄道の踏切に保安設備を欠いたことが土地の工作物の設置に瑕疵がある場合にあたるとして電鉄会社に踏切事故の賠償責任を認めた事例
1 小作農地の小作農又はその世帯員以外の者に対する競落の許否 2 自作農地を小作農地と誤認すべき事項を記載した競売期日の公告に基づく競落の許否
労組青年婦人部長の役職にあり、かつ会社から職場の班副担当者に任命されていた従業員に職場の秩序をみだした者に準ずる行為があるとして懲戒解雇が是認され、不当労働行為および懲戒権の濫用が排斥された事例
1 所有権移転登記を抹消する旨の裁判上の和解条項と、右登記原因不存在についての既判力の有無 2 予備的請求を認容した判決に対し、右敗訴者のみが上訴した場合と、一次請求についての移審の効力 3 被保全権利の不存在と、処分禁止仮処分の第三者に対する効力
いわゆる他局加入の電話を本来の加入区域内にある電話局に所属替をする旨の電電公社の通告の性質とこの通告実施の停止を民訴法上の仮処分で求めることの適否
1 麻薬取締法第3条第1項第2号にいう「当該麻薬診療施設の開設者が譲り渡した麻薬」の意義 2 同法同条同号と同法第41条の関係
1 不法行為または犯罪行為の証拠保全のための写真撮影と肖像権との関係 任意捜査の方法としての写真撮影が許容される限界 2 いわゆる実質的違法阻却事由を認めた事例
借地上の建物の完成、利用が許されないことによって生ずる借地人の損害が、右建物の完成利用によって生ずる土地賃借人の損害に比して著しく多大であることが民事訴訟法第759条の特別の事情にあたるとして、建物の建設工事を禁止する旨の仮処分決定を取消した事例
会社更生計画の条件において、代表取締役たる一般更生債権者が他の一般更生債権者と別異の取扱いがなされていることが、衡平を害しないとされた事例
賃借地上の建物の所有者が売買代金分割支払の約定で建物を売渡す際、買主の代金支払を担保する目的で代金完済まで建物の所有権を留保した場合の土地の使用関係
1 郵便契約の性質 2 郵便物配達当時、名宛人がすでに死亡している場合、郵便官署はいかなる処置をとるべきか 3 右の場合に相続財産管理人が選任されているときは、郵便官署はその者に郵便物を転送すべきか
1 工事下請人の不法行為につき工事元請人にたいし民法第715条の責任を認めた事例 2 ビル建築とこれによって蒙る隣人の精神的苦痛に対する慰藉料 3 ビル建築注文者の不作為と民法第716条の但書の責任
滞納処分の続行停止の申立が、その続行により回復が困難な損害を蒙り、かつその損害を避けるための緊急必要性の疎明がないとされた事例
1 即決和解における合意の有無の認定と民訴法147条の証拠方法の制限 2 和解の効力の及ぶ範囲を確定するための資料は和解調書に記載された「和解の原因」に限られるか
1 路面電車運転者の注意義務 2 ホフマン式計算について単利年金現価表率を使用した例 3 財産的損害についてのみ過失相殺を適用した例
1 労働者災害補償保険法に基く障害補償費の支給決定の違法事由として傷病の未治癒を主張することの可否 2 同法第12条第2項の定める災害補償事由のうち業務上の傷病が「なおったとき」の意議
訴状に虚偽の被告住所と請求原因を記載して民事訴訟を提起し、裁判所を欺罔て欠席判決を得たうえ、財産上不法の利益を取得した事例
睡眠薬を多量に服用し交通量の多い道路上で自動車を運転した結果、意識が朦朧とし、交通事故を起して人を死亡させた場合に、なお傷害の未必的故意なしとした事例
妻から夫に対する婚姻費用分担事件において、未成年の子の生活費も含めて定めたとして、先に子と父(夫)との間に成立した扶養料支払の調停を、審判確定を条件として失効する旨の審判をした事例
財産分与制度の本質が、夫婦財産関係の実質的清算のほか、離婚後の扶養的機能と有責配偶者への制裁的機能もあるとして、離婚に至る一切の事情を考慮して、妻に対し、夫の所有宅地の分与を命じた事例
非親権者たる母から父に対してなされた親権者変更事件において、母に経済的な面で不安は残るが、父の許で養育されている未成年者の精神生活その他人格形成の面における現状は、甚だ不安定な要素を包含しているとして、変更を認めた事例
いまだ民法第958条の3第1項所定の特別縁故者に該当するものとは認められないとして、相続財産処分の申立を却下した事例
離婚復氏した者にのみ離婚原因ある場合には、原則として婚姻中の氏への変更は許すべきでないとしながら、特別の事情を認定して申立を許可した事例
教護院から無断外出を繰り返す10歳の少年に対し、3カ月を限度とする強制措置を許容して、事件を児童相談所長に送致した事例
1 実父に殴打されたため、興奮のあまり発作を起し、同人を殺害した間脳性てんかん病の少年を不処分に付した事例 2 保護処分は刑罰と異なり、非行に対する制裁ではないので、少年の非行が心神喪失中の行為であっても、少年法第3条第1項第1号の「罪を犯した少年」に該当する
少年法第54条は憲法第14条第1項に違反するとして、少年に対し労役場留置の言渡しをした原判決を控訴審において破棄、自判した事例
1 「鉄筋コンクリートの補強鋼材」の特許請求範囲中、「比較的高度の産出度の鋼鉄」、「棒の間の距離を超えて」、「正常に」及び「正常なる」の語の解釈 2 前記発明が公知引用例から出願当時の技術水準に照して容易に想到できるものとされた事例
1 大学図書室、部内者のみの閲覧可能と記載内容の公知(肯定) 2 「捲縮擬毛ナイロン糸の製造方法」の発明がパーロン糸を原料とする同種の方法から容易に推考し得るとされた事例
1 代理人の過失によって期間の懈怠を生じた場合には、当該手続行為の追完をなし得ない。 2 旧特許法第25条の追完事由は、当該手続行為をなした後に主張立証しても差支ない。
「PERLON」なる商標が糸類について特別顕著性を有し、かつイー・ゲー社製の合成繊維以外の商品についても品質誤認を生ぜしめないとされた事例
「SANYO SCOTCH」「サンヨースコッチ」なる商標が、商品「コート」について、品質の誤認を生ずるおそれのある商標とされた事例
1 立法行為たる性質を有する行政庁の行為が取消訴訟の対象となりうるものと判断された事例 右の場合に取り消すべき行政庁の行為の範囲 2 健康保険法第43条の9第2項に基づき厚生大臣がなした診療報酬の改定増額行為の効力停止申立てと健康保険組合連合会の当事者適格(消極) 3 右診療報酬の改定増額行為が中医協の答申を得ずになされたことを理由に違法とされた事例 4 行政処分の効力停止決定の効果は遡及するか(消極)
1 公職選挙法第221条第1項第1号の金銭供与の幇助の訴因に対し共同正犯の事実を認定するには訴因変更手続を要するか 2 訴因変更命令には、いわゆる形成的効力が認められるか