最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
第1 争点整理手続
1 口頭議論の活性化
(1)争点整理手続導入の趣旨
(2)「膝を突き合わせた議論」の現状
(3)口頭議論活性化の意義
(4)活発な口頭議論を妨げているもの
(5)「ノンコミットメントルール」
(6)調書への記載
2 争点整理のための暫定的心証開示
(1)争点整理のための暫定的心証開示とは
(2)デメリット・弊害
(3)望ましい暫定的心証開示のプラクティス
3 争点整理手続の結果の共通認識化
(1)現状
(2) 共通認識化できていないことによる問題点
(3)裁判所における取組
(4)争点整理表
第2 陳述書(証拠調手続)
1 陳述書の効用等
2 序盤で提出された陳述書
3 人証調べがされなかった者の陳述書の取扱い
4 主尋問で触れられなかった陳述書記載事実に対する反対尋問のあり方
5 尋問終了後に提出された陳述書の取扱い
[目次]
はじめに
第1 証拠収集等への協力及び訴追に関する合意
制度の導入
1 書類等の提出(289条2項から4項まで)
2 書類等の返還(293条)
第2 刑事免責制度の導入(121条2項及び3項)
第3 ビデオリンク方式による証人尋問の拡充
1 決定の告知(107条の2,210条の7)
2 映像等の送受信による通話の方法による尋問(107条の3,210条の7)
3 傍聴人の退廷(202条)
第4 その他の形式的な改正
村議会の議員である者につき地方自治法92条の2の規定に該当する旨の決定がされ,その補欠選挙が行われた場合において,上記の者が上記決定の取消判決を得ても上記議員の地位を回復することはできないとされた事例
小規模個人再生において住宅資金特別条項を定めた再生計画案の可決が信義則に反する行為に基づく場合に当たるか否かの判断に当たり無異議債権の存否を考慮することの可否
1 仲裁人が当事者に対して仲裁法18条4項にいう「自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある」事実が生ずる可能性があることを抽象的に述べたことは,同項にいう「既に開示した」ことに当たるか
2 仲裁人が,当事者に対して仲裁法18条4項にいう「自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある」事実を開示しなかったことについて,同項所定の開示義務に違反したというための要件
1 放送法64条1項の意義
2 放送法64条1項の合憲性
3 日本放送協会の放送の受信についての契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により同契約が成立した場合に発生する受信料債権の範囲
4 日本放送協会の放送の受信についての契約に基づき発生する,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権の消滅時効の起算点
東京都庁郵便小包爆発事件
殺人未遂幇助被告事件について,第1審判決が説示する間接事実の積み重ねによって殺人未遂幇助の意思を認定できないとして事実誤認を理由に有罪の第1審判決を破棄し無罪とした原判決が是認された事例
1 前訴確定判決の認定に反する事実を前提として退職手当の支給制限の割合のみを変更した再度の退職手当支給制限処分が,行政事件訴訟法33条1項所定の拘束力に違反する処分に当たるとして,取り消された事例
2 行政事件訴訟法33条1項所定の拘束力に反する内容の退職手当支給制限処分がされたことにより,平穏な法律生活を享受する法的利益を違法に侵害されたとして,慰謝料等35万円の損害賠償請求が認められた事例
公立学校教員に任命する採用決定について教育委員会のした取消処分が違法であるとして処分取消し及び国家賠償が認められた事例
被相続人がした,同人の養子を推定相続人から廃除すること,被相続人の子である抗告人を遺言執行者に指定することなどを含む公正証書遺言に基づき,抗告人が,遺言執行者として養子の推定相続人廃除を求めた事案において,原審は,両者間の遺留分減殺請求訴訟において抗告人が養子の遺留分を認める内容の裁判上の和解が成立したことを理由に,本件申立ては訴訟上の信義則に反するなどとして本件申立てを不適法として却下したのに対し,抗告審が,上記訴訟は両者の個人間の紛争であり,遺言執行者としての職務遂行に影響を及ぼすことはなく,本件申立てが訴訟上の信義則に反したり,審判の申立ての利益が失われたりすることはないとして,原審判を取り消し,差し戻した事例
相手方が,抗告人らに対し,相手方を未成年者(15歳)と面会交流させる義務を履行しなかったとして,間接強制の申立てをした事案について,間接強制をするためには債務者の意思のみによって債務を履行することができる場合であることが必要であるが,本件未成年者のような年齢の場合は子の協力が不可欠である上,本件未成年者は相手方との面会交流を拒否する意思を強固に形成しているところ,本件未成年者の精神的成熟度を考慮すれば,抗告人らにおいて本件未成年者に面会交流を強いることは未成年者の判断能力ひいてはその人格を否定することになり,却って未成年者の福祉に反することから,本件債務は抗告人らの意思のみによって履行することはできず履行不能であるなどとして,相手方の間接強制の申立てを却下した事例
1 不動産売買契約において売買対象地から環境基準を超えるヒ素が検出されたことにより,特約による買主からの契約解除が認められた事例
2 上記の結果,買主が売買契約の目的を達することはできなかったものの,仲介業者から買主に対する商法512条による仲介報酬相当額の請求が認容された事例
オンライン上のストレージサービス内に被害者の裸体等を写した画像・動画データを保存し,公開設定をしてその公開用URLの発行を受けたというだけでは,いまだ各データの内容を不特定又は多数の者が認識し得る状態に置いたとみることはできず,刑法175条1項前段等の公然陳列罪は成立しないとされた事例
大麻取締法違反保護事件において少年を第1種少年院に送致した決定に対する抗告に関し,少年が非行事実を争い,大麻の所持場面を現認したとする現行犯逮捕手続書の記載内容の信用性を争っていたにもかかわらず,警察官らの証人尋問を実施することなく非行事実を認定し,少年を少年院送致とした原審の審判手続は,必要な審理を尽くしておらず,決定に影響を及ぼす法令違反があると判断して,原決定を取り消して本件を原裁判所に差し戻した事例
窃盗保護事件において少年を第1種少年院に送致した決定に対する処分不当を理由とする抗告に関し,原決定は,少年の要保護性及び社会内処遇の可能性に関する評価を誤っており,第1種少年院送致とすることは,短期間の処遇勧告を伴っていたとしても,処分の相当性を欠いており,著しく不当であると判断して,原決定を取り消して本件を原裁判所に差し戻した事例
起訴休職期間満了による解雇が有効とされ,原告の地位確認及び賃金等の請求が棄却され,当事者間に再雇用の合意があったとも認められないとして,原告の予備的な損害賠償請求も棄却された事例
公立学校を定年退職若しくは定年退職後1年間再任用されていた原告らが,公立学校職員への再任用あるいは再任用の任期更新の申込みをし,合格の通知・内示を受けていたにもかかわらず,合格が取り消されたことから,①再任用合格決定の取消処分の取消し等,②再任用あるいは再任用任期更新の義務付け,③教員の地位にあることの確認を求めるとともに,④戒告処分を受けた原告らについて同処分の取消し,⑤戒告処分や再任用任期更新合格決定の取消し等により損害を被ったとして,国家賠償法に基づく損害賠償を求めたのに対して,①及び②については不適法であるとして却下し,③については任用権者による任用行為が存在しないなどとして,また,④及び⑤については裁量権の逸脱濫用があると認めることができず,国家賠償法上違法とはいえないとして棄却した事例
1 郵便局員が差押許可状呈示前に警察官に対して郵便物の情報を教えたことが郵便物の受取人の通信の秘密等を侵害したものとして,損害賠償責任が認められた事例
2 郵便局員が警察官に対して令状に記載された差押目的物とは異なる郵便物を交付し,警察官がこれを差し押えたことが郵便物の受取人の通信の秘密等を侵害したものとして,損害賠償責任が認められた事例
水泳教室に参加した練習生が水泳中に熱中症にり患して死亡した場合において,同水泳教室の指導者に同練習生を一定時間ごとに強制的にプールから上げて給水させるなどの措置をとるべき注意義務違反があり,同指導者が同措置をとっていたならば同練習生がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性があったとして,同指導者に不法行為責任があるとされた事例
1 覚せい剤及びコカインの営利目的所持等の事案につき,私人である被告人を,麻薬取締官による覚せい剤密売人に対するおとり捜査に巻き込んだことを理由として,公訴棄却あるいは違法収集証拠排除を求める弁護人の主張を排斥した事例
2 被告人の薬物取引を容認した麻薬取締官の対応が,被告人による覚せい剤等の取引を促進,助長した面があることは否定できず,被告人の意思決定に不当な影響を与えたとして,量刑上,被告人に対する非難が一定程度下がるとされた事例