最も長い歴史をもつ判例実務誌
相続税につき減額更正がされた後に増額更正が された場合において,上記増額更正により新た に納付すべきこととなった税額に係る部分につ いて上記相続税の法定納期限の翌日からその新 たに納付すべきこととなった税額の納期限まで の期間に係る延滞税が発生しないとされた事例
大規模な金融機関である第三債務者に対して, 送達場所である本店に差押命令が送達された時 から 1 時間後において,東京都内の本店及び全 支店のうち最も預金合計残高が多額である店舗 が有する預金債権について,先行の差押えの有 無や預金の種類等による順位を付して,差押債 権額に満つるまでの差押え及び券面額で債権者 に転付する旨の転付命令の申立てが,差押債権 の特定を欠き不適法であるとされた事例
商標法 50 条 1 項に基づく不使用商標登録取消審 判請求において,本件商標の通常使用権者が製 造販売し,本件商標が表示された商品が,本件 審判請求の登録前 3 年以内に第三者により取引 されていたと認められることから,通常使用権 者により本件商標が指定商品に使用されていた と判断されるとして請求不成立とした審決が維 持された事例
「無線アクセス通信システムおよび呼トラヒッ クの伝送方法」の発明について,補正により付 加された本件構成を有する本件発明は,本件当 初明細書に記載されたものということはでき ず,当該補正は本件当初明細書の要旨を変更す るものであるとした審決の判断に誤りはないと された事例
1 家事審判官が成年後見人に対する監督義務 を怠ったことにより被後見人に対する債権の回 収が不能になったとする国家賠償請求が棄却さ れた事例
2 家事審判官の後見開始申立事件記録の閲覧 謄写申請不許可処分に違法はないとされた事例
フランチャイジーの役員らの共謀によりフラン チャイザーに対するロイヤルティの支払を停止 させ,営業資産を逸出させた等とする損害賠償 請求が棄却された事例
当事者間で締結された契約における「被告は, 協力して,原告会社が可及的速やかにその株式を公開できるよう支援する。」,「被告は,法令, 取引所が要求する以下の項目について,原告会 社の公開基準を満たすことを確約する。」等の 規定は法的拘束力を有するものでなく,被告に 対して原告会社の上場に協力すべき法的義務を 課したものとは認められないとされた事例
生命保険契約の特定疾病保障定期保険特約等に おける「この特約の責任開始期の属する日から その日を含めて 90 日以内に乳房の悪性新生物 に罹患し,医師により診断確定された」ときに は保険金の支払等がされない旨を定める条項に ついて,「90 日以内に」という文言は,「乳房 の悪性新生物に罹患し」との文言のみに係り,「医師により診断確定された」との文言には係 らないとされた事例
FRAND宣言をした特許権に基づく侵害警告が 不正競争(虚偽の事実の告知)に当たるとして 差止めが認められた事例
強盗殺人(被害者 2 名),死体遺棄(同)及び 詐欺未遂の各事件につき,強盗殺人の犯人性, 殺意及び金品強奪の意思を争う被告人及び弁護 人の主張をいずれも排斥した上,死刑を宣告し た事例
1 収益の帰属者につき実質主義を定める所得 税法 12 条について,「実質」の意義
2 被告人両名が共謀の上,被告人の 1 名が個 人事業として行った多数の不動産取引をいずれ も法人が行った取引と仮装するなどして所得を 秘匿し,同被告人の 2 箇年分の所得税合計 8 億 円余を免れたとする所得税法違反各被告事件に ついて,被告人両名に無罪が言い渡された事例
1 特定非営利活動法人が運営していた入居型 介護施設の火災事故に関し,理事長について防 火管理上の注意義務を怠っていた過失を認める とともに,起訴された 9 名の死亡のうち,特定の 3 名と残る 6 名中少なくとも 2 名の死亡につ いて,その過失との因果関係を認めて有罪とし た事例
2 同火災事故に関し,同法人の理事について は防火管理上必要な業務を遂行するための実質 的な権限を有していたとは認められないとし, 進言義務等の注意義務を否定して無罪とした事例
申立人と相手方の監護意欲,監護態勢その他の 事情を比較し,申立人の監護意欲及び監護態勢 の方が優っているとして,申立人を未成年者ら の監護者として指定するとともに,相手方が申 立人に対する未成年者らの引渡しを拒否するよ うな態度を示していることから,相手方に対 し,未成年者らの引渡しを命じた事例
未成年者の母である相手方を親権者として協議 上の離婚がされたが,その後,相手方の未成年 者への関わりが変化し,相手方と未成年者が生 活拠点を異にするなど未成年者をめぐる監護状 況に変化が生じているなどとして,未成年者の 親権者を相手方から申立人に変更した事例
裁判所が,未成年者の年齢,生活状況,健康状 態,これまでの非監護親と未成年者との面会交 流の状況,監護親と非監護親双方の生活状況等 を考慮し,面会交流の頻度や内容等を定めた事 例
18 歳の少年に対する窃盗保護事件について, 非行の悪質性,保護処分歴,規範意識の乏し さ,少年の抱える根深い問題,保護環境を考慮 し,少年を中等少年院に送致した事例