最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)につき差止めと慰謝料支払が求められた事件である。住基ネットとは,平成14年8月から本運用されたものであり,住民票の記載事項として,国(Y1)が総務省令で住民票コードを定め,都道府県(Y2)知事が市町村長にコードを指定して通知し,...
《解 説》
1 本件は,市民団体がイラク特措法に基づく自衛隊のイラクへの派遣の差止めなどを求めた訴訟である。原告らは,本件派遣によって,①憲法前文を根拠とする平和的生存権,②憲法前文及び13条を根拠とする平和追求権,③憲法前文の平和的生存権を制度的に具体化した憲法9条を根拠とする戦争や武力...
《解 説》
1 本件は,Y2の従業員であり,Y1に配属されて同社が製作する超微細なIC回路パターンを露光・転写する装置の検査業務に従事していたAが自殺したのは,その勤務における過重な労働等による肉体的負担及び精神的負担によって罹患したうつ病が原因であるとして,Aの母XがYらに対し,安全配慮...
《解 説》
1 本件は,X信用金庫が,中小企業金融安定化特別保証制度(金融環境変化対応資金保証)に基づく静岡県信用保証協会の保証付きで各種金属機械器具の塗装を業とするA有限会社(A会社)に対して2500万円を融資した(本件融資)貸付金債務の残元利金2879万余円について,連帯保証(本件連帯...
《解 説》
本件事案は次のとおりである。AはXを被告として建物収去土地明渡訴訟を提起した。そこで,Xは,税理士資格を有する弁護士Yを訴訟代理人として委任して応訴した。同事件については,Y関与のもと,Xが本件土地をAから売買により取得することなどを内容とする裁判上の和解が成立した。Yは,和解...
《解 説》
1 本件は,Xが,Yに対し,コンピュータによる販売管理システム(本件システム)の開発を依頼したが,Xが受領した同システムには種々の不具合があり,主位的に,納期に完成したシステムが納入されなかったとして,個別請負契約書13条1号に基づき,予備的に,これらの不具合は契約の目的を達成...
《解 説》
1 大学に入学するには,入学試験に合格するほか,合格発表後10日前後の間に(併願校の合格発表をまたずに)入学金及び前納授業料を納付することを入学の条件とすることが,多くの私立大学において行われていた。このような大学は,その後他大学に合格した等の事情により当該大学の入学を辞退した...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 地方自治体であるXは,財務会計業務や税関連業務などの行政事務に関し,総合的な情報システム(本件総合システム)を導入することを目指し,システム導入におけるXの基本方針(ソフトウェアに関して,パッケージソフトの標準機能を極力活用し,カスタマイズは必要最小限...
《解 説》
1 原告が居住しているマンション(以下「本件マンション」という。)は,第1種中高層住居専用地域に所在するものであり,その隣地には,原告が居住部分(本件マンションの1階)を購入した当時から,被告所有の建物(以下「従前建物」という。)が存在していた。その後,従前建物は,新たな建物(...
《解 説》
1 Yらは,軽種馬農業を営む牧場主であるXの所有する未出走の競走馬3頭を,鹿と間違え,ライフル銃により,うち2頭を射殺し,うち1頭を走行できない状態にし,殺処分を余儀なくさせた。このためXが,Yらに対し損害賠償請求をしたのが本件である。Yらの行為は,鳥獣の保護及び狩猟の適正化に...
《解 説》
1 本件は,新聞社が発行した新聞の朝刊コラムに関する週刊誌の記事及び新聞紙上の広告等について,名誉・信用毀損の成否が争われた事案である。
X(1審原告,控訴人・被控訴人)は,平成13年8月8日に発行した朝日新聞の朝刊天声人語欄に「知人と先日話しをしていて,妙なことで意見が一致...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,東京都立広尾病院において,慢性関節リウマチの治療として行われた左中指滑膜切除手術の術後療養中に死亡した女性亡Aの遺族である原告らが,①被告東京都に対し,広尾病院の担当看護婦(現在の呼称は「看護師」であるが,本件当時は「看護婦」)による点滴薬剤の取り違え...
《解 説》
本件は,それぞれ控訴人の取締役副社長又は専務取締役の地位にあった被控訴人らが,在任中に非常勤取締役に職務を変更され,これに伴い報酬を減額されたことについて,控訴人に対し,報酬減額の効力を争い任期中の未払報酬の支払等を求めた事案である。
原審は,株式会社においていったん取締役の...
《解 説》
第1 事案の概要
1 Xらは,戦前朝鮮半島にあった●●小学校の卒業生である。戦後に結成された●●小学校の卒業生や教師などの集まりの結成30周年を記念して,昭和58年に「鉄石と千草 京城●●小学校記念文集」(本件文集)が出版されたが,本件文集は,6名の編集委員から成る編集委員会に...
《解 説》
1 抗告人(申立人,債務者)は,第三債務者に対する著作権使用料分配金債権(本件分配金債権)を,銀行に対する約26億円の貸金債務とともに相続した。同銀行は,同貸金債権について抗告人との間で成立した即決和解の和解調書を債務名義として,本件分配金債権を差し押さえた。抗告人は,抗告人の...
《解 説》
1 本件は,刑法238条の事後強盗における「窃盗の機会の継続性」が問題となった事案である。
本件では,強盗殺人の訴因について,その前提となる事後強盗の成否が争われた。その事案の概要については本件の第1審判決(判タ1182号347頁)を併せて参照されたいが,要するに,被告人は,...
《解 説》
1 本件は,いわゆる過激派の活動家である被告人らが,共謀の上,真実は対立抗争する勢力からの攻撃に備えて室内及びベランダに金属製単管及び金属板等を固定するなどして要塞化し,同派の活動拠点として使用する意図であるのに,その情を秘して,住居用マンションの一室の賃貸借契約を締結し,同室...