信用金庫の出資持分権の譲渡命令の申立てにつき、申立人が公認会計士による評価のための費用を予納しなかったことを理由に却下した原決定が、裁量権の行使に誤りがあるとして取り消された事例
[解 説]
1 事案の概要
抗告人(信用金庫)は,債務者の第三債務者(抗告人自身)の出資持分権を差し押さえ,その譲渡命令の発令を申し立てた。
抗告人は,公認会計士による,上記出資持分権の評価を経なくても,第三債務者が差押債権者に交付する出資持分価額証明書により適切な譲渡価額を決定できる旨...
〔解 説〕
1 本件は,公認会計士であった被告人が,所属する監査法人と監査契約を締結した株式会社A社の代表取締役Bらと共謀の上,実体のない預け金を計上した半期報告書や株式の取得価額を過大に計上した有価証券報告書を提出したという事案である。
2 本件の事実関係については,本決定1項及び3項に...
[解 説]
1 本件は,明石市花火大会歩道橋事故として著名な事件であり,事案の概要は,次のとおりである。すなわち,平成13年7月21日,明石市民夏まつりで実施された花火大会において,参集した多数の観客が,花火大会が実施された公園と最寄りの駅とを結ぶ歩道橋に集中して過密な滞留状態となり,強度の...
[解 説]
1 訴外Z(昭和50年生)は,平成15年7月から,Y1法人の設置するA病院に通院して治療を受け,同年8月27日にA病院に入院し,同月30日,開腹手術を受けたが,同年10月18日,死亡した。
そこで,Zの遺族であるXらは,A病院の勤務医であったY2は,必要な検査を実施したり,転科...
[解 説]
1 申立人Xは,婚姻する意思はなかったが,訴外Aが,X及びXの養父母に無断で,婚姻届及び同婚姻についての養父母の承諾書を偽造し,平成22年4月21日,市長に対し,婚姻届を提出したため,これが受理され,戸籍に婚姻に係る記載がされた。
そこで,Xは,戸籍上の前記記載は真実に反すると...
[解 説]
1 本件は,平成3年3月にY(上告人)から本件土地を買い受けたX(被上告人)が,Yに対し,本件土地の土壌にふっ素が基準値を超えて含まれていたことが民法570条にいう瑕疵に当たると主張して,瑕疵担保による損害賠償を求める事案である。本件売買契約締結当時,土壌に含まれるふっ素について...
[解 説]
1(1)本件は,同級生から嫌がらせを受けた被害生徒及びその両親が,加害生徒,その母親及び学校を設置する京都市に対し,不法行為ないし債務不履行に基づく損害賠償請求をした事案である。
(2)事実経過
X1とY1は,中学校の同級生であった。Y1はX1に対し,肩パン(肩付近をパンチす...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,全部で10件の住居侵入,強盗強姦,強姦致傷,強姦未遂,窃盗の事案である。そのうち,被害者の住居に侵入して現金等を強取した上,被害者を強姦した事案2件において,被告人は,持参したビデオカメラで被害者を姦淫する際の様子を撮影していた。
原審において,被告人...
[解 説]
1 固定資産評価基準は,家屋の評価に関し,各家屋について評点数を付設し,当該評点数に評点1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるものとし,非木造家屋の評点数は,原則として,再建築費評点数に経過年数に応ずる減点補正率(経年減点補正率)を乗じることによって求めるもの...
[解 説]
1 本件は,Yが自動車販売会社から購入した自動車の代金を立替払したXが,その後,Yが小規模個人再生による再生手続開始の決定を受けたことから,自動車について留保した所有権に基づき,別除権の行使としてその引渡しを求める事案である(以下,自動車販売会社を単に「販売会社」といい,自動車を...
[解 説]
1 本件は,貸金業者であるYとの間で長期間にわたり金銭消費貸借取引を継続してきたXが,Yに対し,過払金の返還等を求めた事案である。
2 東京地裁は,平成12年6月30日,Yに対する更生手続を開始する旨の決定(以下「本件決定」という。)をし,平成13年1月31日,更生計画認可の決...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,ミャンマー国籍を有する外国人であるXが,ミャンマー及び本邦において反政府活動に従事していたこと等により,帰国すれば迫害を受けるおそれがあることから,入管法2条3号の2並びに難民条約1条及び難民議定書1条にいう難民に該当するとして,Xにされた難民の認定をし...
[解 説]
本件は,農薬等の製造販売等を事業内容とするA社の従業員であったX(死亡当時農業用製品事業部マーケティング担当部長)が,A社から,不正行為(不正経理,着服等)の疑いで合計10回の事情聴取を受けた後に自殺したことについて,Xの妻である原告が,福岡中央労働基準監督署長(処分行政庁)に対...
[解 説]
本件は,被告人が,無車検,無保険車を運転して運行の用に供し,その際,駅ロータリー内で前方の右側と左側に停止していた2台の車両の間を通過しようとして運転操作を誤り,右側の停止車両の左前部に自車右側面部を衝突させ,停止車両の運転者に頚椎捻挫等の傷害を負わせたほか,その同乗者に心的外傷...
[解 説]
1 Y1は,平成19年1月,強盗目的でAを殺害し,その死体を隠匿するなどして起訴された。Y1の両親であるY2,Y3は,Aの子であるXらに対して,複数回にわたり,謝罪に伺いたい旨を申し入れるなどし,また,Y2は,情状証人として,Aのお骨のところにお参りをさせていただき,謝罪したい旨...