《解 説》
1 ①事件について
(1)本件は,生命保険契約の指定受取人の兄であるXが,指定受取人が死亡したことにより,商法676条2項の規定により保険金受取人になったと主張して,保険会社であるYに対し,保険金等の支払を求めた事案である。
(2)本件の事実関係の概要は,次のとおりである。
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集合債権譲渡担保権に対する担保権実行手続中止命令(民事再生法31 条)の類推適用の可否及び可とする場合における「不当な損害を及ぼすおそれ」の判断基準
[①事件]東京高裁平成21 年6 月4 日決定(平21(ラ)第916号)
[②事件]東京地裁平成21 年7 月6 日決定(平21(ヲ)第3382 号)
債権に対する仮差押えがされても、当該仮差押債務者は、被仮差押債権を請求債権として、その債務者である仮差押えの第三債務者が有する債権につき差押命令を申し立てることができるとされた事例
店舗総合保険契約に適用される普通保険約款中に,保険の目的が受けた損害に対して支払われる水害保険金の支払額につき上記損害に対して保険金を支払うべき他の保険契約があるときには同保険契約に基づく保険給付と調整する旨の条項がある場合における同条項にいう「他の保険契約」の意義
[解 説]
1 本件は,建物の賃借人であった原告が,賃貸人である被告に対し,賃貸借契約の解約又は合意解除による終了に基づき,敷金等の支払を求めた事案である。
賃借人は,敷金全額を償却するとの約定は無効であると主張して,敷金全額の返還を求めたのに対し,賃貸人は,賃料及び敷金を相場に比べて低額...
《解 説》
本件は,被告人が,その経営する会社の将来を悲観し,家族を道連れにした無理心中を企て,就寝中の家族5人を殺害するべく,次々に包丁で刺突するなどして,両親と妻を殺害したほか,長男及び次男に対してはそれぞれ傷害を負わせるにとどまり,殺害の目的を遂げなかったという事案である。
本件の争...
《解 説》
1 社会福祉法人であるX(上告人)は,保険会社であるY(被上告人)との間で,Xの経営する保育園と老人ホームの各建物(以下「本件各建物」という。)やその設備,什器等を保険の目的とする店舗総合保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結していた。本件は,Xが,本件各建物が豪雨により床...
浄化槽の清掃により引き出される汚泥等の収集運搬に必要な一般廃棄物収集運搬業の許可を有しない者に対してされた浄化槽清掃業不許可処分を違法とした原審の判断に違法があるとして差し戻された事例
[解 説]
1 本件は,兵庫県西宮市内の市街化区域に所在する各土地の固定資産税の納税義務者であるXらが,それぞれ,その所有する各土地につき,西宮市長により決定され土地課税台帳に登録された平成12年度の各価格を不服としてY(西宮市固定資産評価審査委員会)に対して審査の申出をしたところ,Yからこ...
《解 説》
1 本件は,東京都目黒区の著名な総合結婚式場である目黒雅叙園(以下「本件建築物」という。)の増築計画に関し,本件建築物の周辺に建物を賃借して本店事務所を置く株式会社が,本件建築物の増築部分(以下「本件増築部分」という。)についてされた建築確認処分の取消しを求めた事案である。Xは,本...
《解 説》
1 Xらは,一般廃棄物(し尿汚泥)の収集運搬及び浄化槽の清掃が既存許可業者Z(補助参加人)によって行われている区域において,これらの事業に新規に参入しようとし,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)7条1項に基づく一般廃棄物収集運搬業の許可申請(以下「申請...
《解 説》
1 事案の概要
原告は,「アトシステム」なる商品名の「クレンジング」,「ウォッシング」等9つのアイテムからなるアトピー肌用化粧品(原告商品)の容器をデザインしてこれを開発し,その容器を用いた化粧品をエステティックサロン等に販売していた。これに対し,被告ら(会社)は,原告から原告商...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,業務上横領被疑事件の捜査のため第三者として捜索差押えを受けた原告らが,警視庁公安部公安第二課所属の警察官(以下「公安二課警察官」という。)による捜索差押許可状の各請求,東京簡易裁判所裁判官による捜索差押許可状の各発付,及び公安二課警察官による同捜索差押許可...
[解 説]
1 本件は,検察官による勾留請求が実質的に前回勾留と同一事実にかかる違法な再勾留請求であるとして,これを却下した原裁判に対し,検察官が準抗告を申し立てた事案である。本決定は勾留請求を却下した原裁判の判断に誤りはないとして,検察官の準抗告を棄却した。
2 原則として,同一犯罪事実...
[解 説]
1 XはYの総務部長の地位にあったが,常務理事兼事務局長Hのパワハラ・セクハラ的言動を列挙し,改善措置を要望する旨の報告書(「本件報告書」という。)を,Yの理事長に提出した。Yは,本件報告書が提出された約1月半後に,Xの総務部長職を解き(「本件降格」という。),約1年後に,内容虚...
《解 説》
1 本件は,貸金業者である被控訴人(Y)から金員の借入れと返済を繰り返した控訴人(X)が,Yに対し,①利息制限法所定の制限利息を超える利息を支払っており,この超過分を元本に充当すると過払金が発生し,Yは民法704条所定の悪意の受益者であるとして,不当利得返還請求権に基づき,過払金及...