[解 説]
1 本件は,公判前整理手続において,証明予定事実の証明のため刑訴法316条の13第2項に基づき証拠請求された供述録取書やそのほかの証拠書類中に供述者の特定に係る住居,職業,本籍,電話番号(以下「本件各事項」という。)の記載がないのは,同法316条14の開示義務を果たしたことになら...
[解 説]
1 事案の概要
X(控訴人・原審原告)らは,大手スーパーであるM社の無担保社債を,証券会社を通じて購入した者である。この社債を販売したのはY(被控訴人・原審被告)証券であり,社債を管理していたのはZ(被控訴人・原審被告)銀行であった。M社は,平成13年9月,東京地方裁判所に対し...
《解 説》
1 本件は,大学卒業後A社に就職し,国際輸送の手配,書類の作成等を行う営業所に勤務して,ODA関連等のスポット案件の新規獲得及び実行をほぼ一人で担当し,輸送先の現地調査,代理店の開拓及び契約なども行っていた当時30歳で独身のBが,死亡前2か月に月100時間超の,それ以前4か月も月約...
パシーフカプセル30mg 事件 「有効成分」及び「効能・効果」を同じくする別の医薬品につき薬事法所定の承認が先行して存在することを理由として特許権の延長登録出願を拒絶した審決につき,誤りがあるとしてこれを取り消した事例
《解 説》
1 事案の概要
抗告人は,アメリカ合衆国在住者を被告として民事訴訟を提起し,いわゆる領事送達の方法により送達を試みたが,奏功しなかったため,同被告に対する公示送達を申し立てた。しかし,基本事件の受訴裁判所の裁判所書記官により却下され,これに対する異議申立ても受訴裁判所により却下さ...
《解 説》
1 はじめに
特許権の存続期間の延長登録制度は,昭和62年の特許法の改正によって創設されたものであり,特許法67条2項では,一定の要件を満たす場合には,特許法67条1項の規定にかかわらず,特許権存続期間を延長することができる旨定められている。一部の分野(医薬品,農薬)では,特許権...
1 生命保険の指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者とが同時に死亡した場合において,その者又はその相続人は,商法676 条2 項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」に当たるか(①事件) 2 死亡給付金の指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者とが同時に死亡した場合における死亡給付金受取人の確定方法についての年金共済約款の解釈(②事件)
《解 説》
1 ①事件について
(1)本件は,生命保険契約の指定受取人の兄であるXが,指定受取人が死亡したことにより,商法676条2項の規定により保険金受取人になったと主張して,保険会社であるYに対し,保険金等の支払を求めた事案である。
(2)本件の事実関係の概要は,次のとおりである。
...
集合債権譲渡担保権に対する担保権実行手続中止命令(民事再生法31 条)の類推適用の可否及び可とする場合における「不当な損害を及ぼすおそれ」の判断基準
[①事件]東京高裁平成21 年6 月4 日決定(平21(ラ)第916号)
[②事件]東京地裁平成21 年7 月6 日決定(平21(ヲ)第3382 号)
債権に対する仮差押えがされても、当該仮差押債務者は、被仮差押債権を請求債権として、その債務者である仮差押えの第三債務者が有する債権につき差押命令を申し立てることができるとされた事例
店舗総合保険契約に適用される普通保険約款中に,保険の目的が受けた損害に対して支払われる水害保険金の支払額につき上記損害に対して保険金を支払うべき他の保険契約があるときには同保険契約に基づく保険給付と調整する旨の条項がある場合における同条項にいう「他の保険契約」の意義
[解 説]
1 本件は,建物の賃借人であった原告が,賃貸人である被告に対し,賃貸借契約の解約又は合意解除による終了に基づき,敷金等の支払を求めた事案である。
賃借人は,敷金全額を償却するとの約定は無効であると主張して,敷金全額の返還を求めたのに対し,賃貸人は,賃料及び敷金を相場に比べて低額...
《解 説》
本件は,被告人が,その経営する会社の将来を悲観し,家族を道連れにした無理心中を企て,就寝中の家族5人を殺害するべく,次々に包丁で刺突するなどして,両親と妻を殺害したほか,長男及び次男に対してはそれぞれ傷害を負わせるにとどまり,殺害の目的を遂げなかったという事案である。
本件の争...
《解 説》
1 社会福祉法人であるX(上告人)は,保険会社であるY(被上告人)との間で,Xの経営する保育園と老人ホームの各建物(以下「本件各建物」という。)やその設備,什器等を保険の目的とする店舗総合保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結していた。本件は,Xが,本件各建物が豪雨により床...
浄化槽の清掃により引き出される汚泥等の収集運搬に必要な一般廃棄物収集運搬業の許可を有しない者に対してされた浄化槽清掃業不許可処分を違法とした原審の判断に違法があるとして差し戻された事例
[解 説]
1 本件は,兵庫県西宮市内の市街化区域に所在する各土地の固定資産税の納税義務者であるXらが,それぞれ,その所有する各土地につき,西宮市長により決定され土地課税台帳に登録された平成12年度の各価格を不服としてY(西宮市固定資産評価審査委員会)に対して審査の申出をしたところ,Yからこ...