《解 説》
1 原審被申立人であり,仮処分債権者である抗告人(X)は,発明の名称を「ゼリー状体液漏出防止材及びそれを使用した体液漏出防止方法」とする特許権を有するところ,原審申立人であり仮処分債務者である相手方(Y)らが製造販売する体液漏出防止剤が上記特許を侵害するとして,製造・販売等の差...
《解 説》
1 本件は,現職の国会議員が国会で質問した事件に関連して脅迫被害に遭ったとされる事案である。
被害者という最重要証人の尋問が,公判期日ではなく,公判期日外に行われたところから,その適法性が争われた。
本判決は,個別事案に即した判断ではあるものの,公判期日への出頭に困難な事情...
《解 説》
本件は,当時静岡大学に在籍していた被告人が,自分の敬愛していた年長の女性ががんで死亡したのは,その治療に当たった医師の治療法に効果がなかったためであるなどとして同医師に恨みを抱き,ナイフ数本を携帯し,同医師が開業する診療所に侵入して同医師を殺害しようとしたが,同医師が不在であっ...
[解 説]
1 Xら528名は,平成10年4月から平成13年12月ころまでの間に,Y1の職員から出資の勧誘を受けて,Y1に出資金を拠出した者である。Y1は,大阪府下及び兵庫県下に本店1,支店38の店舗を有する信用金庫であった。Y1は,平成14年1月25日,内閣総理大臣より金融整理管財人による...
土地宝典事件 1 土地宝典について著作物性を認めた事例 2 国が,本訴請求に係る各土地宝典を各法務局に備え置いて利用者に貸し出すとともに,各法務局内に設置されたコインコピー機を用いた利用者による無断複製行為を放置していたことは,不特定多数の第三者による本件土地宝典の複製権侵害行為を幇助したものであって,国は,共同不法行為者とみなされるから,不法行為による使用料相当額の損害を賠償すべき責任を負うとされた事例 3 国は,民法703 条所定の利益を受けたとは認められないとして,不法行為の消滅時効が完成した期間に係る不当利得返還請求が認められなかった事例
《解 説》
1 事案の説明
本件は,偽造領収書の作成を手段とした愛媛県警察における捜査費等不正支出問題について記者会見を行った同警察警察官である被控訴人が,上司らにより違法に記者会見を妨害され,記者会見を行ったことに対する報復目的で違法にけん銃保管,配置換え及び勤勉手当の減額の処置を受け...
《解 説》
1 本件は,公判前整理手続において,警察官が参考人取調べの際に作成した取調べメモの証拠開示を命じた決定に関し,検察官から特別抗告がなされた事案である。本件で問題となったメモは,警察官が私費で購入したノートに記載されたもので,一時期職場から自宅に持ち帰るなどして警察官が保管してい...
《解 説》
Yは,Xの執行役員兼Xの100%子会社であるA(米国法人)の社長兼最高執行責任者(COO)として勤務し,Xから2度に亘りストックオプションとしてXの新株予約権を取得していた。本訴請求は,Xが,Yに対し,YがXを退任後の一定期間の経過又はYに懲戒解雇事由に該当する事由があることか...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,京都市に代位して,損害賠償請求訴訟を提起し,一部勝訴の判決を得た原告らが,法242条の2第7項(以下「法7項」という。)に基づき,被告京都市に対し,法7項...
《解 説》
1 本件は,原告が,被告がウェブサイト(ホームページ)等で営業表示として使用する「TOKYU」及び「tokyu」の表示は,原告の周知又は著名な営業表示である「東急」の表示と類似のものであり,被告による上記表示の使用行為は不正競争防止法2条1項1号又は2号の不正競争に該当すると主...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件は,被控訴人ら(1審原告ら。以下「原告ら」という。)が,本訴請求に係る120冊の土地宝典(本件土地宝典)を作成した者から,その著作権を譲り受けたと主張して,本件土地宝典について原告らが有する著作権に基づいて,①本件土地宝典を不動産関係業者等をはじめ...
債権差押命令の申立て前に債務者が持参した執行停止文書を裁判所が受理した場合と当該裁判所にその後に債権者がした債権差押命令の申立てに及ぼす影響
《解 説》
1 事案の概要
(1) 前提事実
ア 原告はS大学等を運営する学校法人であり,被告は,もとS大学の助教授等を務めていたが退職し,S大学の教職員組合(Sユニオン)の代表者兼執行委員長を務めている。
イ 原告は,被告を普通解雇する旨の意思表示をしたことから,被告は,原告を相手...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,YがXに対し,執行力ある仮執行宣言付き判決(以下「本件判決」という。)を債務名義として,債権差押命令を申し立て,その発令を受けた(以下「本件差押命令」という。)ことから,Yが本件差押命令に対して執行抗告を申し立てたという事案である。
なお,Yは,本件...
《解 説》
1(1) 原告らは,いわゆる光市母子殺害事件(最三小判平18.6.20判タ1213号89頁及び広島高判平20.4.22〔最高裁HP〕)の弁護人である。
光市母子殺害事件は,当時18歳の少年であった被告人が,白昼,配水管の検査を装って上がり込んだアパートの一室において,当時23...
《解 説》
1 本件は,大阪市北区所在の都市公園である扇町公園内に不法に設置されたテント(以下「本件テント」という。)を起居の場所としているX(原告,被控訴人,上告人)が,大阪市北区長Y(被告,控訴人,被上告人)に対し,本件テントの所在地を住所とする転居届を提出したところ,不受理処分を受け...
《解 説》
1 事案の概要
X(当時17歳)は,遊び仲間であるV(当時18歳)に対して好意を寄せていたところ,V方で就寝中に性交渉を求められたというXにとってショッキングなことが起きた。Xの友人のYは,Xからそのことを打ち明けられ,詳しく事情を聞くため,遊び仲間であるAF6名(Bのみが女性)...
交通事故の加害者が被害者に賠償すべき人的損害の額の算定に当たり,被害者の父が締結していた自動車保険契約の人身傷害補償条項に基づき被害者が支払を受けた保険金の額を控除した原審の判断に違法があるとされた事例
《解 説》
1(1) 本件は,事故当時12歳のXが運転する自転車と,Y1運転の普通貨物自動車(以下「Y車」という。)とが交差点において衝突し,Xが重傷を負った交通事故(以下「本件事故」という。)について,Xが,Y1に対し,自動車損害賠償保障法3条又は民法709条に基づき,Xが被った人的損害...