《解 説》
1 本件は,東急電鉄二子玉川駅周辺に居住する原告らが,二子玉川東地区で再開発事業を行う再開発組合を被告として,人格権等に基づき,再開発事業の差止めを求めた事案である。
2 原告らは,二子玉川東地区の再開発事業が,①人口,交通量の集中を招いて原告らに交通の危険や騒音被害を生じさ...
《解 説》
1 本件は,フリージアトレーディング株式会社(FT)から同社保有のY(原審債務者,抗告人)の株式の信託譲渡を受けて,Yの株主となっているX(原審債権者,相手方)が,平成20年3月15日にYの取締役会決議に基づいてFT(X)及びその関係者に対する取得条項が付された新株予約権(本件...
《解 説》
1 本件の基本事件は,申立人において,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)に基づき,外務省の保有する米軍ヘリ墜落事故に関する行政文書の開示を請求したところ,外務大臣が,同法5条1号,3号又は5号に該当することを理由として,その一部を不開示とする旨の決定をしたた...
弁護士が,法人から管理を依頼されて保管していた金員を,法人の代表者の親族によって私的に流用されることを知りながら,法人に返還した行為について,委任契約上の債務不履行に当たるとされた事例
《解 説》
1 本件は,弁護士(被告A)が,依頼者(原告)から依頼を受けて金員を保管していたところ,依頼者の代表者の了解のもと金員を他に流用したという事実関係のもとで,原告が,被告らに対し,債務不履行に基づく損害賠償等を請求した事案である。
2 被告Aが預った金員は大阪府から交付された補...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,XがYに対し,平成16年法律第79号による改正前の特許法35条(旧35条)に基づき,XがYに承継させた抗血栓薬などの医薬成分として有用な「アルガトロバン」の製造方法に係る職務発明(本件発明)の相当対価の内金として,2億5000万円及び遅延損害金の支払等...
《解 説》
1 本件は,大型ディスカウントショップ及びスーパーマーケット4店に対する7件の連続放火とその際の商品の窃取,閉店後の店舗に対する損壊と建造物侵入及び商品の窃取が起訴された事件である。1審において,弁護人は,すべての放火事件について犯人性を争うとともに,その際の商品の窃取について...
《解 説》
1 本件2つの決定は,いずれもゴルフ場の経営等を行う会社の経営危機を巡って,経営陣が民事再生手続の申立てをしたのに対し,ゴルフ会員預託金債権を有する債権者らが会社更生手続の申立てをし,いずれの手続を選択するのが相当かという点が問題となった事案である。
第1事件の事案及び決定の...
1 同一の行政処分について取消訴訟と無効確認訴訟が併合提起された場合における無効確認訴訟の訴えの利益の有無(原則消極) 2 地方自治法126 条ただし書に基づいて地方議会議長がした地方議会議員の辞職許可処分が取り消された事例
《解 説》
1 本件は,豊能町議会議長から豊能町議会議員の辞職許可処分(以下「本件処分」という。)を受けた原告が,本件処分は無効であり,そうでないとしても取り消されるべき瑕疵があるとして,主位的に本件処分の無効確認を,予備的に本件処分の取消しを求めた抗告訴訟である。
原告の主張は,本件処...
《解 説》
1 本件は,国土交通大臣の権限の委任を受けた関東運輸局長が,道路運送法(平成18年法律第19号による改正前のもの)9条の3第1項に基づいて,一般乗用旅客自動車運送事業者(タクシー事業者)8社に対し,運賃及び料金の変更を認可する処分(本件各認可処分)をしたところ,原告らのうち,こ...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。本件ゴルフ場を経営していたE社は,ゴルフ場造成工事を行ったG社に対し多額の工事請負代金債務等を負担しており,ゴルフ場会員権の販売やゴルフ場の経営も思わしくなく,実質的に経営が破綻した状態であった。E社の代表取締役であった被告人は,自己の支配...
《解 説》
1 ①②事件は,解体事業等を営む各被告会社を経営していた各被告人が,平成13年,前後数十回にわたり,茨城県知事から産業廃棄物の処分の許可を得ていない同一の相手方会社に対し,「木くず」を無償で同県内の工場において処分することを委託したことが,当時の廃棄物の処理及び清掃に関する法律...
日本美術刀剣保存協会事件 1 ほぼ60 歳で退職した後,有期の嘱託で雇用され,雇止め時点で年金受給可能な年齢に達していた場合,若年労働者ほどには雇用継続の必要性も強いとはいえず,解雇権濫用法理を類推すべきものとはならないとされた事例 2 雇止めについて,①期間の定めのある契約と実質的に異ならない状態になっておらず,②雇用継続の期待が不十分で解雇権濫用法理の類推適用がなされない場合でも,恣意的な理由による雇止めは許されず,契約の終了には合理的な事由が必要であるとされた事例 3 定年を間近に控えた原告らにつき,特に終期を定めず,地位を確認し,賃金等の請求を認容した事例
《解 説》
1 本件は,文化庁の監督下にある財団法人である被告の職員である原告ら3名が,解雇もしくは雇止めされたため,労働契約上の地位の確認並びに未払賃金(賞与を含む。)等の支払を求めた事案である。原告らのうち,X1は期間の定めのない労働契約であるか否か及び定年制(70歳)の適用の有無が争...
《解 説》
1 A(一級建築士)は,Yに対し,自己所有の土地・建物(以下,合わせて「本件不動産」といい,建物については「本件建物」という。)の販売の仲介を委託しており,Xは,Bに対し,居住用不動産の購入の仲介を委託していた。X,A,Y代表者,B担当者は,本件建物(当時,Aの妹が居住)を見学...