《解 説》
1 事案の概要
京都府にある宮津市(以下「市」という。)は,その周辺の町と共同して,公有地の拡大の推進に関する法律に基づき,丹後地区土地開発公社(以下「本件公社」という。)を設立し,本件公社に委託して公有地となるべき土地の先行取得を行わせていた。
市は,平成8年12月19日...
《解 説》
1 Xらは,A会社に対し,商品を納入していたが,A会社は平成16年4月に自己破産の申立てを行い,その後破産宣告がなされたため,その結果商品代金の支払を受けることができなくなった。そこで,Xらは,前記の商品取引当時,A会社は既に経済的な破綻状態にあり,同社の取引担当者Y1は商品代...
《解 説》
1 本件は,被告人が,深夜,被害者宅に侵入し,就寝中の被害者が熟睡のため心神喪失状態であることに乗じ,その下着の上から陰部を手指でもてあそんだが,これに気付いて覚せいした被害者が,被告人に対し,「お前,だれやねん。」などと強い口調で問いただすとともに,被告人着用のTシャツ背部を...
《解 説》
Xは平成11年12月に父母A,Bからオランダ法人の出資口数合計720口(時価合計1653億円余とされる)の贈与を受けたが,Xは平成9年6月には日本国から香港に出国し,ホテルと同様のサービスを受けられるサービスアパートメントに居住していた。Xは上記の贈与当時,相続税法の施行地内に...
《解 説》
1 本件は,処分庁から廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)に基づく一般廃棄物収集運搬業許可を受けていた原告が,その原告代表者が暴行,脅迫,傷害の被疑事実で逮捕勾留されたことから,同法7条5項4号ト,リに基づき同許可を取り消されたことから,かかる取消し...
《解 説》
1 本件は,遺留分権利者である原告ら(被控訴人,上告人)が,被相続人からその遺産を遺贈された被告ら(控訴人,被上告人)に対し,民法1041条1項に基づく価額弁償として,弁償金及びこれに対する相続開始の日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求めた事案である。上告審においては,価額...
《解 説》
1 本件は,船橋市立中学校の校長が,学校行事の参加者から受領した祝い金を市の会計に計上しないまま支出したことが不当利得に当たるなどとして,住民が,市に対し,地方自治法242条の2第1項4号本文及びただし書の各請求をした住民訴訟の事案である。
本判決は,学校長が公金である祝い金...
《解 説》
1 本件は,盗難被害に遭ったY1,Y2所有の各株券(以下「本件各株券」という。)を拾得して警察署長に差し出したXが,Y1,Y2に対し,遺失物法に基づき,報労金の支払を求めた事案である。
これに対し,Y1,Y2は,Xは,Y1,Y2に対する報労金の請求にあたり,脅迫的言動を行った...
《解 説》
1 本件は,亡母と共に自宅建物の建築を依頼したXが,建物の瑕疵を主張して,施工会社及び建築事務所Yに対し,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
2 事案の概要は,次のとおりである。
X及びXの亡母は,Yに対し,自宅建物建築に当たっての設計監理業務を委託...
第1 序
第2 善管注意義務と立証責任
第3 事業会社一般における経営判断原則
1 意義
2 効果
3 要件
(1)アメリカ法
(2)判例
(3)裁判例の検討
(4)学説
第4 金融機関による融資に対する経営判断原則の適用
1 金融機関の取締役の注意義務加重論
(1)学説
(2)裁判例
2 融資の回収可能性
(1)意義
(2)経営判断原則との関係
(3)事実認識と意思決定の区別に関連する裁判例
(4)回収可能性の判断について(利息収入以外の)融資から期待される利益を考慮するか
(5)事実認識と金融機関における分業と権限の委任(信頼の原則)の関係について
(6)最三小決平21.11.9
第5 拓銀カブトデコム事件
1 事案分析
(1)当事者
(2)時系列
2 本件地裁判決─札幌地判平14.12.25
3 本件高裁判決
(1)判旨
(2)検討
4 本件最高裁判決
(1)判旨
(2)検討
第6 終わりに
(①事件)最高裁第二小法廷平成20年1月28日判決(平17(受)1372)(②事件)最高裁第二小法廷平成20年1月28日判決(平17(受)1440)
《解 説》
1 本件は,亡黒澤明が監督を務め,原告が製作した劇場用映画2作品(「醜聞(スキャンダル)」〔昭和25年公開〕及び「白痴」〔昭和26年公開〕)(本件両作品)の著作権を有すると主張する原告が,本件両作品を収録,複製したDVD商品を海外において製造させ,輸入,販売している被告に対し,...
第1 はじめに
第2 割増賃金に関する労基法の規定
1 規定の分類
2 小括
第3 管理監督者の判断方針
1 行政通達における解釈基準
2 労基法41条2号の趣旨
3 管理監督者性の判断の視点
第4 下級審裁判例の分析
1 結論との関係
2 企業規模等との関係
3 労働者の職位との関係
4 職務の内容,権限, 責任等との関係
5 勤務態様, 労働時間管理との関係
6 待遇との関係
第5 考察
1 判断の方針
2 各判断要素の具体的内容
3 各判断要素の検討方法について
4 主張立証責任, 審理の進行について
第6 終わりに
別表 管理監督者性に関する裁判例
《解 説》
1 本件は,平成9年に経営破綻した北海道拓殖銀行(以下「拓銀」という。)から債権譲渡を受けた株式会社整理回収機構が,拓銀の元取締役らに対し,融資に際し善管注意義務違反等があったなどと主張して,平成17年法律第87号による改正前の商法(以下「旧商法」という。)266条1項5号に基...
《解 説》
1 本件は,北海道拓殖銀行(以下「拓銀」という。)から債権譲渡を受けたX(株式会社整理回収機構)が,拓銀の元取締役であるYらに対し,融資に際し忠実義務,善管注意義務違反があったなどと主張して,平成17年法律第87号による改正前の商法266条1項5号に基づく損害賠償を請求した事案...
《解 説》
1 本件は,北海道拓殖銀行(以下「拓銀」という。)から債権譲渡を受けたX(株式会社整理回収機構)が,拓銀の元取締役であるYらに対し,融資に際し忠実義務,善管注意義務違反があったなどと主張して,平成17年法律第87号による改正前の商法266条1項5号に基づく損害賠償を請求した事案...