《解 説》
原告と被告は,もと夫婦であり,原告と被告との間の離婚請求控訴事件(以下「本件離婚事件」という。)において成立した裁判上の和解によって,協議離婚をした。同和解の和解調書中には,離婚条項の他,原告は,被告に対し,本件マンションの明渡義務があることを認める,被告は,原告に対し,本件マ...
《解 説》
Xは父の弟であるAと約42年間にわたり内縁関係にあったが,Aが死亡したので,遺族厚生年金の支給裁定請求をしたところ,社会保険庁長官Yは,AとXの間柄は民法の禁止する近親婚に当たるとして不支給処分とした。Xはその処分の取消しを求めて行政訴訟を提起したところ,原審(東京地判平16....
《解 説》
1 本件は,Xが県立学校教職員であるYらに対して,勤務時間中に組合活動を行うために職場を離脱したとして,過払給与の不当利得返還を請求した事案である。その事実経過は,①昭和46年国公立の義務教育諸学校等の教職員の給与等に関する特別措置法(給特法)とそれを受けた条例(給特条例)によ...
《解 説》
1 本件は,住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)につき差止めと慰謝料支払が求められた事件である。住基ネットとは,平成14年8月から本運用されたものであり,住民票の記載事項として,国(Y1)が総務省令で住民票コードを定め,都道府県(Y2)知事が市町村長にコードを指定して通知し,...
《解 説》
1 本件事案の概要は以下のとおりである。
X会社は,昭和36年12月以降,鹿児島・種子島間の航路(種子島区間)などにおいて一般旅客定期航路事業を営み,同区間が海上運送法2条10号所定の指定区間とされ,旅客及び自動車の輸送が同区間に係る同事業の許可基準(同法4条6項参照,本件サ...
《解 説》
1 本判決は,株主総会決議取消等請求事件の控訴審で同事件の当事者のほか,利害関係人を加えて成立した裁判上の和解(本件和解)を債務名義とする第1ないし第4間接強制決定の申立てをして,同決定(本件各間接強制決定)を受けたXが,同決定に基づくY1及びY2に対する強制執行のため裁判所書...
《解 説》
1 本件は,当時幼稚園の園長をしていた被告人が,その教え子で当時6歳の被害女児を入浴の名目で健康センターに連れて行き,男子風呂で一緒に入浴した際,自己の陰茎を触らせたり,同女の陰部を触るなどのわいせつ行為を行ったという事案である。
被告人は被害者と一緒に入浴したことは認めるも...
《解 説》
1 本件は,交通事故により死亡した被害者の相続人であるXらが,加害車両が無保険であったことから,Y(国)に対し,自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)72条1項後段の規定に基づき,損害のてん補を求めた事案である。
2 本判決は,損害のてん補額の支払義務に対する遅延損害...
《解 説》
1 Xは,平成12年5月,Y銀行a支店に普通預金口座を開設して預金契約を締結し,平成13年3月16日当時,2050万1225円の預金を有していたが,窃取した右口座の預金通帳と偽造印を使用して,何者かによって2000万円が払い戻された。
しかし,Xは,本件払戻しは,窓口行員の過...
《解 説》
1 Yは,関西医科大学附属病院を開設している学校法人である。X1とAとの間の子であるBは,平成10年3月に関西医科大学を卒業し,同年4月に医師国家試験に合格して,正規の医師になった者である。Bは,同年5月から関西医科大学附属病院の耳鼻咽喉科において見学生として研修を受けた後,同...
《解 説》
1 本件は,公立中学校の生徒が体育の授業中に競技を離脱して倒れて後日死亡した学校事故について,生徒の父母が,体育教諭,養護教諭及び校長の過失を主張して,学校の設置者である村に対し損害賠償を求めた事案である。主たる争点は,体育教諭及び養護教諭の過失であり,原告らは,体育教諭について...
《解 説》
1 Xは,ゴルフ場経営会社であるAとの間で,ゴルフコース新設等工事に係る請負契約を締結した。その後のAに係る和議申立ての間に,XとA及びY1の間で,Xが商事留置権を有することが確認され,完成後はゴルフ場経営のための使用を認める旨が合意された。裁判所がこの合意を許可した後,Xは,...
第1 はじめに
第2 裁判例の傾向
第3 遷延性意識障害損害賠償事案の全体像
1 遷延性意識障害について
(1)遷延性意識障害の意義
(2)治療法,予後等
(3)遷延性意識障害患者の生活状況及び介護状況
2 遷延性意識障害の事案における審理の特徴
(1)主な損害項目
(2)将来の損害費目について
(3)審理の特徴ー現地進行協議期日
第4 総論ー損害の把握について
1 差額説+個別損害項目積み上げ方式
(1)実務における通説
(2)「差額説+個別損害項目積み上げ方式」 への批判と算定基準
(3)検討
2 損害賠償の範囲を画するための基準
(1)判例の立場
(2)検討
3 将来予測を伴う損害算定の困難性
(1)損害の算定の裁量性について
(2)将来の損害の算定のフィクション性について
(3)将来予測を伴う損害認定のあり方に関する最高裁判決
(4)検討
4 損害の発生時及び遅延損害金の起算日
(1)判例の立場
(2)検討
第5 各論1ー重度後遺障害の事案に共通する問題点
1 中間利息控除の方法及び利率の問題
(1)ライプニッツ式と新ホフマン式
(2)中間利息控除の際の利率
(3)検討
2 中間利息控除の基準時
(1)判例の立場
(2)検討
3 既払金の充当
(1)判例の立場
(2)検討
4 将来受給が見込まれる公的給付又は公的助成の控除又は考慮について
第6 各論2ー遷延性意識障害の事案に特有の問題点
1 遷延性意識障害患者の生存可能年数
2 後遺障害逸失利益における生活費控除
3 将来介護費
(1)前提問題としての介護水準の相当性
(2)裁判例において挙げられた考慮事情の例
(3)将来介護費用を算定する上での主な考慮事情
(4)家族介護と職業介護の区分による積み上げ計算について
(5)諸事情の総合考慮による介護費用日額の算定について
4 住宅改築費,車両改造費,将来介護器具
5 将来介護雑費
第7 定期金賠償方式
第8 まとめ