《解 説》
1 本件は,被告会社が虚偽過少申告をして法人税をほ脱したという法人税法違反の事案であり,売上原価の年度帰属が問題となった。被告会社は,宅地開発の許可申請をした際,地元のA市から,都市計画法上の同意権を背景として,開発区域外にある雨水排水路の改修工事を行うよう行政指導され,これを...
抵当地上の建物の一部が抵当地以外の土地をも敷地として築造されている場合であっても,建物の相当部分が抵当地上に築造されている場合には,民法 389条 1項による一括競売をすることができるとされた事例
《解 説》
1 本件の事案の概要
Xは,本件株券を所有していたが何者かに窃取され,その後,暴力団組員であるA,Aの知人であるB,貸金業を営むY1が順次これを取得し,Y1において証券会社であるY2に本件株券を預託し,本件株券の売付を委託し,Y2は同売付を執行し,第三者が本件株券を善意取得し...
《解 説》
1 いずれも弁護士であるXとその配偶者Aは,同居し生計を同じくしているが,別々に業務を行い,経理処理も別にしている。Xは,その営む弁護士業にAが従事したとし,その労務の対価として支払った報酬を自己の事業所得の金額の計算上必要経費に算入して所得税の申告をした。Yは,XとAとの間の...
《解 説》
1 本件は,有名大学の学生等で構成されるイベントサークル「スーパーフリー」の代表であった被告人が,同サークルのスタッフらと共に順次敢行した3件の準強姦の事案である。本件の被告人及び共犯者らのほとんどが有名大学の現役の大学生であり,また,同サークルでは,被告人を始めとする複数のス...
《解 説》
1 原告Aは,昭和61年4月12日ころ,偽造旅券を提示して本邦に不法に入国し,原告Bは,同年5月15日,入国審査官から平成元年法律第79号による改正前の出入国管理及び難民認定法(以下「旧入管法」という。)4条1項4号所定の在留資格,在留期間15日とする上陸許可を受けて本邦に上陸...
《解 説》
1 本件は,ヤマギシ会から脱退した上告人Xが,被上告人ヤマギシズム社会実顕地調正機関Yに対して,ヤマギシ会に参画するに際して出えんした財産の返還などを求めた事案である。
2 本件の事実関係の概要は,次のとおりである。
ヤマギシ会は,山岸巳代蔵が提唱した理想社会の思想であるヤ...
《解 説》
1 本件は,平成5年3月に締結され,賃料額を2年ごとに5%値上げする旨の賃料自動増額特約が付されたいわゆるサブリース契約において,①賃借人であるX(上告人)が,平成11年4月以降の賃料及び平成13年4月以降の賃料について,借地借家法32条1項に基づく賃料減額請求権を行使して,賃...
《解 説》
1 本件は,茨城県北茨城市長であった被告人A及びその選挙における支援者の被告人Bが,共謀の上,ゴルフ場開発業者から賄賂として平成2年12月25日及び平成3年2月12日の2回にわたり合計1億5000万円の供与を受けてこれを収受した,という収賄の事案である。
(1) 原判決が是認...
《解 説》
1 本件は,①販売宣伝員として派遣されていた被告人が,その販売宣伝先であったスーパー店舗(以下「本件店舗」という。)の従業員から受けた不適切な言動について,氏名不詳者ら概ね40名と共謀のうえ,そのスーパー経営会社(以下「本件会社」という。)の本社事務所にその営業時間中,旗竿を持...
《解 説》
1 本件は,刑事未成年者である少年(当時12歳)が,マンション4―5階の踊り場から,遊び相手の男の子(当時5歳)を突き落として重傷を負わせたという事件に関するものである。
同事件は,①触法(殺人未遂)保護事件,②強制的措置許可申請事件(少年法6条3項,18条2項,児童福祉法2...
はじめに
第1章 総論
第1 収集裁判例の概況の紹介
第2 使用者責任の意義・性質・機能
第3 取引的不法行為における使用者責任の要件事実
第2章 使用関係
第1 判例及び学説の状況
第2 収集裁判例の分析
第3章 事業執行性
第1 二段構えの構造
第2 使用者の「事業」の範囲
第3 被用者の「職務」の範囲
第4 まとめ
第4章 悪意•重過失
第1 判例及び学説の状況
第2 収集裁判例の分析
第5章 過失相殺
第1 問題の所在
第2 被用者との関係で過失相殺を行わない場合の使用者との関係での過失相殺の可否
第3 使用者との関係で過失相殺が行われる場合の考慮要素と過失割合
第4 職権による過失相殺
おわりに
別表1 個人的取引事案一覧
別表2 取引的不法行為・収集裁判例一覧
別表3 使用関係シート
別表4 職務の範囲・考慮要素シート
別表5 悪意•重過失, 過失相殺シート
《解 説》
1 本件は,①株式会社ロプロ(旧商号株式会社日栄)と継続的手形貸付契約を締結して反復継続して借り受けた者が,日本信用保証株式会社に対する保証料及び事務手数料を含む利息を利息制限法3条の利息として同法の制限を超える部分を元本に充当すると過払金が生じていると主張して不当利得返還請求...
《解 説》
1 本件は,暴力団抗争において下部組織の構成員がした殺傷行為について上位組織の組長に使用者責任が問えるか否かが問題となったケースである。
2 暴力団A組の3次組織であるB組の組員らが,従前から対立関係にあるC組の系列組織との間で抗争状態が生じた際,警備に当たっていた警察官を対...
《解 説》
1 事案の概要等
本判決の認定及び記録によれば,本件の事案の概要は次のようなものである。
犯行当時少年であった被告人が,共犯者の少年2名と共に,中年男性に暴行を加えて金品を奪取する,いわゆる「おやじ狩り」をしようと企て,具体的には,中年男性の背後からその背中に跳び蹴りを食ら...