《解 説》
1 本件は,受刑中の者が,刑の執行猶予言渡しの取消決定に対して約3年後に不服申立てをした事案である。
本件では,判示事項との関係で次のような経緯があった。すなわち,申立人からの即時抗告を棄却した高裁の決定は,平成16年7月15日に刑務所で服役中の申立人に送達された。これに対し...
《解 説》
1 業務上過失致死被告事件の被害者の遺族Aから,同事件の係属する東京地裁に対し,犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(以下「犯罪被害者保護法」という。)3条1項による訴訟記録の謄写の申出がなされた。東京地裁は,検察官及び上記事件の被告人Xの意見を聴い...
《解 説》
1 本判決が認定したところによれば,本件の事実関係はおおむね次のとおりである。Y1の開設する私立高校では,進学校化を進める中で,運営方針をめぐり,Y1と教職員組合との間で激しく対立していたところ,Y1側の理事であるY2と事務局長であるY3,組合対策部長であるY4は,組合側の役員...
《解 説》
本件事案の内容は複雑であるが,簡略化すれば,宗教法人である控訴人神社において,控訴人神社以外の控訴人らが総代会で責任役員に選任され,代表役員からその委嘱を受けたところ,総代の選任手続には役員会の決定又は承認を必要とするにもかかわらず,上記総代会には役員会の決定等を得ていない者が...
《解 説》
1 本件は,会社更生法所定の否認権行使の範囲が問題となっている事案である。
その事実関係は,訴訟承継・引受参加があるため,錯綜しているが,要約すると,次のとおりである。すなわち,のちに更生会社となったK会社は,のちに再生会社となったN会社の完全子会社として,Hゴルフ場を経営し...
《解 説》
1 本件は,死刑の量刑の是非が争点となった殺人,窃盗被告事件の上告審判決であり,事件の概要は次のようなものである。被告人は,かつて被害者に対する強姦致傷等とこれを主にした恐喝未遂に及び,被害者が警察に届け出て逮捕され懲役7年に処せられたが,これを深く恨み,出所した暁には被害者を...
《解 説》
1 本件は,被告の株主であった原告が,被告に対し,①被告の平成16年1月8日開催の臨時株主総会における第三者割当増資による新株発行の決議(以下「本件新株発行決議」という。)を取り消す旨及び②本件新株発行決議に係る新株発行(以下「本件新株発行」という。)を無効とする旨求めて提訴し...
《解 説》
1 本件は,新東京国際空港(現・成田国際空港)において上陸を禁止された外国人(上禁者)に対し,当該外国人を出入国管理及び難民認定法59条の規定に従い本邦外の地域に送還するまでの間,その警備を担当した警備会社の従業員が不法行為を行った場合に,その被害を受けた上禁者(X1及びX2)...
《解 説》
1 本件は,被相続人の有していた預貯金につき,同人の死亡後に非嫡出子が払戻しを受けたことを巡り,被相続人の妻及び2人の嫡出子が,当該非嫡出子に対し,自己の相続分を超える分について不当に利得をしたと主張して不当利得金の支払を求めた事件である。上告審では,不当利得金の額に関して,非...
《解 説》
1 日本法人であるエスエイピー・ジャパン株式会社(日本SAP社)の従業員として勤務していた原告(破産者)は,同社のいわゆる親会社であるSAPAktiengesellschaft(ドイツSAP社)から,ストックアプリシエイションライトの付与を受け,これを平成10年に行使して,2億...
《解 説》
1 本件は,Xが,Yに対し,YがXを相手取り特許権に基づく差止請求権を被保全権利として仮処分命令申立てをし,仮処分命令を得てその執行をした後に,上記特許権に係る特許を無効とする審決が確定したため,違法な仮処分命令の執行により損害を受けたと主張して,不法行為に基づく損害賠償等を求...
《解 説》
1 本件の事案は,次のとおりである。Xは,破産者A(宝飾品の販売を目的とする株式会社ココ山岡宝飾店)の破産管財人,Y1は,宝飾品の加工などを目的とする会社であって,Aと取引をしていた会社,Y2はY1の代表取締役,Y3はAのもと代表取締役社長であった者,Y4はもとAの専務取締役で...
《解 説》
第1 事案の概要
1 本件は,水俣病被害の発生拡大についての国及び熊本県の責任が争われた水俣病関西訴訟の最高裁判決である。
2 水俣病に関しては多数の訴訟が提起され,論点も多岐にわたったが,国及び県の責任に関しては,本件を含め,6件の地裁判決が下された(新潟水俣病に関するも...
《解 説》
1 本件は,高速道路を乗用車で走行していた被告人甲が,トレーラーを運転して同方向に走行していた他人乙の自動車の運転態度に立腹し,乙に文句を言い謝罪させようと考えて,乙車の前に自車を割り込ませて減速するなどして,執ように乙に停車を求め,ついには夜明け前の暗い高速道路のかなり交通量...
《解 説》
1 本件は,札幌市が制定する条例に基づいて,会派に交付された政務調査費について,その一部を議員会一時貸付金として使用したこと等が条例の目的に反するとして,市民である控訴人が,ある政党の会派である被控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号(平成14年法律第4号による改正前の...
《解 説》
本件は,顧客である被控訴人が,貸金業者(会社)から金銭を借り入れ,同社に対する返済を継続的に行っていたところ,利息制限法1条1項所定の利率に引き直すと過払金が生じており,同貸金業者は民法704条にいう悪意の受益者に該当するとして,同社を吸収合併した控訴人会社に対し,過払金と各過...
《解 説》
1 本件は,被告人が,交際のあった被害女性に対して通信手段を確保するよう要求する手紙4通を同女性方に投函するなどし,うち1通に同女性の裸体を被写体とする画像を含む印刷物を同封するストーカー行為を行ったという,ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「法」という。)違反の事案で...