《解 説》
一 本決定は、新民事訴訟法施行後、許可抗告制度の下で文書提出命令につき最高裁が判断を示した初めての決定であるとともに、学説、下級審の決定例が分かれていた銀行の貸出稟議書の提出義務について判断が示された決定である。
二 事案の概要
基本事件は、Y銀行から融資を受けて証券取引に...
《解 説》
本件は、近畿日本鉄道株式会社(以下、近鉄という)から軌道高架下構造物を賃借し、これを第三者に賃貸する業務を行う原告が、賃貸借契約の期間の満了を理由に、賃借人と目的物の占有者に対して明渡しを求めた本訴に対し、賃借人において、本件賃貸借契約は借地契約であるとして、借地権の存在確認の...
《解 説》
一 Xは、昭和三二年九月生れの中国人であるところ、平成五年七月に来日し、同年九月から同六年七月まで、富山県礪波市所在のY会社の作業所において、濃硝酸を使う作業に従事したが、硝酸の暴露により肺機能及び視力障害を受けたとし、Yに対して安全配慮義務違反に基づき、七〇〇万円の損害賠償を...
《解 説》
一 Xは、かつて、会社を経営し、青果物の卸売業を営んでいた者であるが、平成一〇年二月、札幌市北区所在ビル内の「オークビレッジ・ワオ」を訪れ、二階のレストランで食事をした後、右店舗の階段の右端の手すりを持って下りようとしたところ、階段に付着した氷に足を滑らせ、肩や腰を打ち、その後...
《解 説》
一 X又はその被承継人らは、昭和四八年一〇月から昭和五〇年一〇月までの間に、住宅公団に対し、公団住宅建設用地として、その所有農地を売り渡し、条件付所有権移転仮登記を経由したが、住宅公団の承継法人Yの農地法五条による知事に対する許可申請協力請求権は、売買契約成立の日から一〇年を経...
《解 説》
一 Xは、昭和五一年四月、Y名古屋市の小学校教員に任命され、平成八年四月から本件小学校に勤務していたものであるが、平成一〇年度の校務分掌において、同年四月に赴任してきた校長は、Xに対し、希望していた学級担任を命ぜず、体育の専科教員などを命じた(本件措置)。
Xは、①学級担任を...
《解 説》
一 第一事件は、我が国において有名であるいわゆる「キューピー」について、今日も我が国において著作権が存続しているとして提訴された事件である。「キューピー」を社名にも採用している著名な食品会社が長年にわたり広告等に使用してきた「キューピー」のイラスト等(Yイラスト等)が問題とされ...
《解 説》
一 X(原告・反訴被告・被控訴人)は、葬儀社の代表取締役として葬儀社を経営する者であるが、平成八年一二月、訴外A会社の代表取締役Bの依頼により、A会社がY(被告・反訴原告・控訴人)から継続的反復的に金銭を借り受ける旨の本件取引契約に基づきYに対し現在及び平成一一年一二月三一日ま...
《解 説》
Xは、群馬県高崎市内に歯科クリニックを開業した昭和四九年ころから、群馬県内の歯科医を会員とする任意加入の社団法人であるY1に加入していたものであるが、平成六年一一月、Y1の定款一五条二号「本会の体面を汚した者」、三号「本会の綱紀を乱した者」に該当するとして除名処分がなされたこと...
《解 説》
一 本件は、逗子市民であるXが、逗子市情報公開条例(以下「条例」という。)に基づいて住民監査請求に関する一件書類の公開を請求したところ、そのうち監査委員(Y)が関係人から事情聴取をした結果を記録した文書(以下「本件各文書」という。)を公開しない旨の処分(本件処分)が情報公開の実...
《解 説》
一 Xは日本人男性、Yは米国人女性であり、XとYは名古屋市において婚姻の届出をした夫婦であって、両者の間には二人の子がある。XとYは、婚姻後、愛知県で生活していたが、Yは、Xに無断で二子を連れて米国オレゴン州の実家に帰った。
Yは、オレゴン州の裁判所にXとの離婚及び二子の親権...
《解 説》
一 本件は、被告が訴外会社に対して産業廃棄物処分業(産廃処分業)の許可をしたところ、訴外会社の事業の用に供する中間処分(焼却)施設の周辺の茶畑で農作業を営む原告が右の産廃処分業許可には適法な処理施設を有しないのにされた違法がある等として、その取消しを求めた事案である。
二 本...
《解 説》
一 地方税法(以下「法」という。)によれば、宅地に課する固定資産税は、当該宅地の賦課期日における価格に税率を乗じて算出されるが、賦課期日とは三年ごとの評価見直し年度の一月一日とされ、価格とは「適正な時価」とされている(法三五九条、三四一条、三四九条)。自治省は、平成六年度の土地...
《解 説》
一 事案の概要
本件の事実関係については、直接判決文を参照されたい。要するに、Xが、Aに対する債権の担保のために同人所有の土地建物に根抵当権の設定を受け、その実行としての競売を申し立てたところ、Yらがその約四か月前から係争建物を権原なく占有していたことから、「買受けを希望する...