《解 説》
本件は、支払督促に対する異議申立てによって、督促手続から訴訟に移行した事件の控訴審であるが、本件訴訟に至る経緯及び審理の経過は以下のとおりである。電話会社であるX(被控訴人・原告)は、Xとの間で電話サービス契約を締結したAが通話料金の支払いを怠っていたことから、未払通話料金の支...
《解 説》
一 本件は阪神大震災の二、三時間後に生じた火災による損害についての保険金請求事件である。保険約款には、①地震によって生じた火元の火災が保険の目的に与えた損害、②地震によって発生した火災が延焼または拡大して保険の目的に与えた損害、③発生原因のいかんを問わず火災が地震によって延焼ま...
《解 説》
一 本件は、被告の外務員の利益保証、元本保証、断定的判断の提供を伴う投資勧誘を信じて金員を預託した原告らが、右外務員は預託を受けた金員を自らの投資の損失の穴埋め等に費消し元金の返還の見込みの全くないまま投資勧誘をしたもので、右の詐欺行為により損害を受けたとして、被告に対し、使用...
《解 説》
一 リクルート事件に端を発した政治改革論議の一つの到達点として、平成六年に至り、衆議院議員選挙の仕組みが現行制度に改正された。この改正は、従前の中選挙区制に様々な欠陥があったとの認識に基づき、政策本位、政党本位の選挙制度の実現を図るため小選挙区比例代表並立制を導入するというもの...
《解 説》
一 本決定は、新民事訴訟法施行後、許可抗告制度の下で文書提出命令につき最高裁が判断を示した初めての決定であるとともに、学説、下級審の決定例が分かれていた銀行の貸出稟議書の提出義務について判断が示された決定である。
二 事案の概要
基本事件は、Y銀行から融資を受けて証券取引に...
《解 説》
本件は、近畿日本鉄道株式会社(以下、近鉄という)から軌道高架下構造物を賃借し、これを第三者に賃貸する業務を行う原告が、賃貸借契約の期間の満了を理由に、賃借人と目的物の占有者に対して明渡しを求めた本訴に対し、賃借人において、本件賃貸借契約は借地契約であるとして、借地権の存在確認の...
《解 説》
一 Xは、昭和三二年九月生れの中国人であるところ、平成五年七月に来日し、同年九月から同六年七月まで、富山県礪波市所在のY会社の作業所において、濃硝酸を使う作業に従事したが、硝酸の暴露により肺機能及び視力障害を受けたとし、Yに対して安全配慮義務違反に基づき、七〇〇万円の損害賠償を...
《解 説》
一 Xは、かつて、会社を経営し、青果物の卸売業を営んでいた者であるが、平成一〇年二月、札幌市北区所在ビル内の「オークビレッジ・ワオ」を訪れ、二階のレストランで食事をした後、右店舗の階段の右端の手すりを持って下りようとしたところ、階段に付着した氷に足を滑らせ、肩や腰を打ち、その後...
《解 説》
一 X又はその被承継人らは、昭和四八年一〇月から昭和五〇年一〇月までの間に、住宅公団に対し、公団住宅建設用地として、その所有農地を売り渡し、条件付所有権移転仮登記を経由したが、住宅公団の承継法人Yの農地法五条による知事に対する許可申請協力請求権は、売買契約成立の日から一〇年を経...
《解 説》
一 Xは、昭和五一年四月、Y名古屋市の小学校教員に任命され、平成八年四月から本件小学校に勤務していたものであるが、平成一〇年度の校務分掌において、同年四月に赴任してきた校長は、Xに対し、希望していた学級担任を命ぜず、体育の専科教員などを命じた(本件措置)。
Xは、①学級担任を...
《解 説》
一 第一事件は、我が国において有名であるいわゆる「キューピー」について、今日も我が国において著作権が存続しているとして提訴された事件である。「キューピー」を社名にも採用している著名な食品会社が長年にわたり広告等に使用してきた「キューピー」のイラスト等(Yイラスト等)が問題とされ...
《解 説》
一 X(原告・反訴被告・被控訴人)は、葬儀社の代表取締役として葬儀社を経営する者であるが、平成八年一二月、訴外A会社の代表取締役Bの依頼により、A会社がY(被告・反訴原告・控訴人)から継続的反復的に金銭を借り受ける旨の本件取引契約に基づきYに対し現在及び平成一一年一二月三一日ま...
《解 説》
Xは、群馬県高崎市内に歯科クリニックを開業した昭和四九年ころから、群馬県内の歯科医を会員とする任意加入の社団法人であるY1に加入していたものであるが、平成六年一一月、Y1の定款一五条二号「本会の体面を汚した者」、三号「本会の綱紀を乱した者」に該当するとして除名処分がなされたこと...