《解 説》
一 Xは、平成四年に東京都内に所有する土地を分筆したうえ、二度にわたり第三者に譲渡したので、訴外A税理士に対して税務申告を依頼した。
そこで、Aは、Xを代理してXの平成四年分及び平成五年分の所得税の確定申告手続及び修正申告手続を行ったが、その際、長期譲渡所得の課税の特例(以下...
《解 説》
一 Xは、本件土地を所有しており、Yら(Y1及びY2)は、いずれも本件土地上に建てられた本件建物の一部分(本件建物部分)を占有する者である。
Xが、本件土地の所有権に基づいて本件建物部分からの退去、本件土地明渡を求めたのに対し、Yらは、占有権限として本件建物部分に対する賃借権...
《解 説》
一 被相続人A(農業)は、平成元年二月、Aの全財産をY(被告、控訴人)に贈与する旨の自筆証書遺言をして、平成四年八月、死亡した。Aの相続人は、Aの長男であるY(高等小学校を卒業して農業に従事)、及び同次男、三男、四男であるX1、X2、X3(原告、被控訴人)の三名(高校を卒業して...
《解 説》
一 X会社は、接着剤などの製造販売を業とする株式会社である。X会社の管理職(X会社では課長代理以上の職位を「管理職」としているようである。)で組織し、利益代表者を含めないなどとする組合規約を持つZ補助参加人が、平成五年六月八日、同年一一月一九日の二度にわたってXに団体交渉を申し...
《解 説》
一 本件事案の概要は、被告人が、受領した融資金の担保として、債権者に株券を入質交付した後、その株券を紛失した旨の虚偽の理由による除権判決の申立てをしてこれを失効させ、質権を喪失させて質権者に当該株式の時価総額相当の財産上の損害を加えたというものであり、被告人のこの行為が背任罪を...
《解 説》
本件の本案事件は、高校現代社会の教科書の共同執筆者の一人が、検定申請にかかる原稿本に関し、文部省教科書調査官から受けた違憲違法な検定意見の通知により、その執筆完成を断念させられたことを理由に、国家賠償法に基づき、国(文部大臣)に対して、損害賠償を請求した事件の控訴審である。原審...
《解 説》
一 X会社は、平成九年三月、Xの店舗(パチンコ店)を目的として、Y保険会社と店舗総合保険契約(本件保険契約)を締結したところ、同年七月、Xの従業員Aが右パチンコ店に放火し、焼損等の損害が生じたので、本件保険契約に基づいて保険金を請求した。これに対し、Yは、AはXの実質的経営者で...
《解 説》
一 亡A女は、平成元年九月、五人の相続人(実子三人及び養子二人)のうちの三男C及び四男X1に本件不動産(軽井沢の土地建物)の持分各二分の一を相続させる旨の公正証書遺言をしたが、本件不動産については、同年一二月、Aから甲株式会社(Aの長男Bが代表者)に売買を原因とする所有権移転登...
《解 説》
一 本件の事実関係は、本判決が要約するとおりであるが、株式会社ユニマットの監査役兼代理人として、日本織物加工株式会社を対象とするM&A交渉に携わっていた弁護士の被告人が、M&A交渉に際し日本織物加工とユニマットらとの間に締結された秘密保持契約の履行に関して、日本織物加工の業務執...
《解 説》
一 本件は、控訴人主催の一九九八年ワールドカップフランス大会日本対アルゼンチン戦観戦ツアー(本件旅行)の旅行契約(本件契約)を締結した被控訴人が、控訴人において参加人員分の入場券(観戦チケット)が入手できなかったため、現地で抽選することになり、結果的には抽選に当たって試合を観戦...
《解 説》
一 事件の概要
1 原告は、脳性小児麻痺の後遺症のため、幼少時以来完全四肢麻痺で、現在も身体を自力でほとんど動かせない。二六歳ころ母の介護を離れて自立生活を始め、現在も生活保護を受給し、在宅介護による自立生活を営んでいる。原告の母は、生前、石川県心身障害者扶養共済制度条例に基...
《解 説》
一 本件は、遺言者Y1の推定相続人であるXが、遺言者Y1と当該遺言により受遺者とされたY2を被告として、遺言者の生存中に、当該遺言がY1の意思無能力や方式違反により無効であるとして、遺言無効確認を求めた事件である。
本件で特徴的なのは、第一に遺言者の生存中に提起された訴えであ...
《解 説》
一 本件は、被相続人Aの共同相続人であるB、Y1及びY2の間で成立した遺産分割協議につき、Bの債権者であるX(信用金庫)が、これが詐害行為に当たると主張し、Y1及びY2に対して、右分割協議を取り消すとともに、法定相続分に応じた持分となるようにBに対する所有権移転登記手続を求めた...