《解 説》
一 訴外Aは、平成七年五月二三日、自動二輪車を運転して、横浜市磯子区洋光台付近の交差点を、青信号に従って直進中、折から対向して右折しようとしていた訴外B運転の自動車(以下「本件車両」という。)に衝突され、頚髄損傷等の傷害を負って死亡した。
そこで、Aの相続人であるXらは、Bが...
《解 説》
一 判旨一について
Aは、Y(被告)の設置するB病院で、X(原告)を経膣分娩により出産した。Xは出生時四二五〇グラムの巨大児であり、分娩の途中、頭部だけが娩出し肩甲部の娩出が困難になる肩甲難産の状態に陥ったため、B病院の担当医師Cは、娩出のため、原告の頭部をつかみ、母体の背中...
《解 説》
一 本件は、日本音楽著作権協会(以下「原告」という。)が、二店のパブを共同経営する被告二名(以下「被告甲及び乙」という。)に対し、原告の使用許諾を受けることなくカラオケ装置のリースを受けてこれを二店で使用して営業上の利益の増大を図っているとして、その使用差止め、カラオケ装置の撤...
《解 説》
一 全日本国立医療労働組合(以下「全医労」という。)は、その委員長がした国立病院及び国立療養所に勤務する看護婦等の夜間勤務規制等に関する行政措置の要求に対して人事院が昭和四〇年にした判定において月間平均夜勤日数を約八日とし一人夜勤を計画的に廃止するという判断が示されたのに、それ...
《解 説》
本件は、りんご生産等を行うことを目的として設立された民法上の組合において、組合からりんご生産作業を委嘱されてこれに従事した組合員が、その作業の対価として得た収入につき、所得税法の事業所得(所得税法二七条一項)に該当するか、給与所得(二八条一項)に該当するかが争われた事件である。...
《解 説》
一 Xは、Yに対し、鹿児島県情報公開条例六条に基づいて「住用村市崎におけるアマミノクロウサギ生息分布調査報告書」の開示を請求した。右文書は、大島郡住用村市崎におけるゴルフ場開発の計画区域内及びその周辺で国指定特別天然記念物アマミノクロウサギの糞が確認されたことから、Y、住用村教...
《解 説》
一 本件は、県営特殊農地保全整備事業において、被告県知事が原告所有地についてした換地処分には、境界・地積確定手続の違法、照応原則違反、換地処分通知書の送付遅延といった瑕疵のほか、県から清算金の徴収交付事務を受託した土地改良区が、換地計画とは異なった内容の清算(別途清算)を行い、...
《解 説》
一 本件は、Yが設置運営している「静岡市立静岡病院」において、左右の肩のそれぞれの人工腱板による腱板断裂の再建術(以下「本件手術」という。)を受けたXが、本件手術により両肩の症状がむしろ悪化したと主張し、診療契約の債務不履行に基づき、Yに対して損害賠償を請求した事案である。
...
《解 説》
一 本件の争点は、債権に質権を設定した債権者(以下「質権設定者」という。)が、当該債権の債権者たる地位に基づき当該債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の破産申立てをすることができるかどうかである。
二 本件の事案は、おおむね以下のとおりである。
1 抗告人は、相手方(...
《解 説》
一 本件の事案は次のとおりである。Xらの抵当権に基づく不動産競売手続の進行中に、債務者兼不動産所有者であるAは、東京簡易裁判所に調停を申し立てるとともに、民事調停規則六条に基づく執行停止の申立てをした。その際、B銀行との間で支払保証委託契約を締結する方法により担保を立てることに...
《解 説》
第一 事案の概要
一1 X(原告、控訴人、上告人)は、「グアニジノ安息香酸誘導体及び該グアニジノ安息香酸誘導体を含有する抗プラスミン剤と膵臓疾患治療剤」という名称の化学物質と医薬品についての発明に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有していたが、本件特許権は、平成八年一月...
《解 説》
一 本件は、職務発明をした従業員Xから会社Yに対して、特許法三五条三項に基づき、承継についての相当の対価を請求した事案である。
本件の主な争点は、①相当対価の額はいくらか、②発明考案規定により、Xの対価請求権が制約されるかである。Yは、①については、本件発明は、他の従業員Aの...
《解 説》
一 Xは、本件建物に根抵当権を有する者であるが、抵当権に基づく物上代位権の行使として、本件建物の賃借人であり、かつ、転貸人であるYの第三債務者に対する転貸料債権について、債権差押命令の申立てをしたところ、執行裁判所は、右申立てを認め、債権差押命令を発令した。
これに対し、Yは...
《解 説》
一 本決定は、動産収去請求訴訟が請求の放棄で終了したケースで、被告からされた訴訟費用負担決定の申立てに応えたものである。
申立人は、訴訟費用には敗訴者負担の原則(民訴六三条)があるところ、請求の放棄は実質的にみて原告敗訴であるから、訴訟費用につき相手方負担を求めた。これに対し...
《解 説》
本件の原告は、労働者災害補償保険法二七条一号に該当するいわゆる中小企業主等の特別加入者として労働者災害補償保険に加入している。原告の経営する工場では、労働者の通常の勤務時間は午前八時三〇分から午後五時とされていたが、原告は、午後五時を過ぎてから、一旦夕食を取りに行った後に一人で...