《解 説》
一 本件は、被告証券会社Yの従業員が原告Xに年一五%(後に年九%に引下げ)の利回り保証の約束をして株式等の取引を勧誘し一連の取引をさせた結果、Xに八〇〇〇万円をはるかに超える損失が生じた事案である。Xの本件請求は、Yに対し、運用のために預託した金員の返還(第一次請求)や不法行為...
《解 説》
一 本件は、東京地判平8・5・29本誌九一六号七八頁の控訴審判決である。したがって、事案の概要、問題点等は右地裁判決の本誌コメントを参照されたい。
この控訴審判決のコメントは、控訴審判決の意義等に簡単に触れるにとどめることにする。
二 本件事案の概要は、不法残留中の外国人(...
《解 説》
一 XとYは、昭和五二年四月一日、Xを保険契約者兼被保険者、保険金額を八〇〇万円、保険期間一五年、Xの妻Aを保険金の受取人とする生命保険契約を締結したが、右の保険契約に適用される普通保険約款には、保険契約者は、いわゆる契約者貸付制度に基づいて解約払戻金の九割の範囲内でYから貸付...
《解 説》
一 本件は、都立高校の定時制の教師であるXが、東京都人事委員会(Y1)に対し、地方公務員法四六条に基づき、①年次休暇取得に関する不平等取扱いの是正及び②教員の海外旅行に関する東京都教育委員会の許可制の廃止を求め措置要求を行ったところ、Y1がいずれも認めない旨の判定を行ったために...
《解 説》
Xの所有する甲地の北側にこれと隣接してYの所有する乙地及びAの所有する丙土地が存在するところ、XY間において甲乙両地間の境界線につき紛争が発生した。Xはその境界線を別紙図面のイ′ロ線であると主張し、Yはイ′A線であると主張した。その根拠として双方とも自己の土地取得時に境界線をそ...
《解 説》
一 Aは、身体の不調を訴え、開業医を訪れたところ、子宮癌と診断され、同病院の紹介により、Yの運営するB病院で診察を受け、同じく子宮癌と診断され、子宮摘出手術を受けた。Aは、術後治療として抗癌剤アクチノマイシンD及びシスプラチンの投与を受けたが、血小板減少症を原因とする出血性ショ...
《解 説》
本件生徒は、中学一年生であったが、学校における定期健康診断で心電図検査を受け、要再検査と指示され、その後本件二次検診を受けたところウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群(WPW症候群)・経過観察と診断された。しかし、右診断結果は中学校から保護者には通知されなかったところ、本件生...
《解 説》
一 周知のとおり、最一小判平成8・10・31民集五〇巻九号二五六三頁(本誌九三一号一四八頁)は、いわゆる全面的価格賠償の方法による共有物分割が許されることを明らかにし、①当該共有物の性質・形状、共有関係の発生原因等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得...
《解 説》
一 本件は、電気工として、電柱の建替工事、電線の架線工事等に従事していた三九歳の労働者Aが、同僚が電柱をつり上げていたクレーンのワイヤーが切れ、ワイヤー、フック、電柱等の重量物が地上約三メートルの高さから付近に落下し、顔面に軽度の負傷をするという事故(以下「本件事故」という。)...
《解 説》
一 本件は、工業的に量産されるスモーキングスタンド、ダストボックス等の商品のデザインをしたXが、自己の制作した設計図に基づいて製作される商品と酷似した商品を製造販売しているYに対し、①設計図が著作物であるとして、著作権及び著作者人格権の侵害、②インナーアーキテクトとしての人格権...
《解 説》
本件は、政治家Xの政治団体名義の預金に関するYの発行する新聞記事及びその見出しが名誉毀損に当たるとしてXがYに対し損害賠償及び謝罪広告を求めた事案である。
Xが、本件において問題とするのは、①本件記事の見出しに「帰属不明」、「東京地検、通帳を押収」とあって、東京地検が帰属不明...
《解 説》
AはYに対して継続的に売掛金債権を有しており、Y及びB信用金庫との間で一括支払システムに関する契約を締結していた。
同契約中の重要な条項として、AがYに対する継続的債権を譲渡担保とし、Bとの間で別個締結した当座貸越契約により当座貸越の方法で借り入れできること、Yが譲渡代金債権...
《解 説》
A建設会社は、支払不能を原因として、平成八年七月三一日破産宣告を受け、Xが破産管財人に選任された。これに先立ちAは、平成元年から二年にかけてYからゴルフ会員権二口を購入するとともに、その購入資金三四〇〇万円を借り入れ、右会員権を譲渡担保に差し出し、ゴルフ会員権譲渡通知書を預けて...
《解 説》
一 Xの夫Aが、平成四年四月から同年一二月まで、Yの経営する病院において小脳出血等により入院治療を受けていたところ、同年一一月には全身状態が悪化し、同年一二月に転院先の総合病院において腎不全により死亡するに至ったが,Xは、夫Aの死亡原因は褥瘡(いわゆる床ずれ)にあるとし、Yに対...
《解 説》
一 本件は、原告である宝塚市が、パチンコ店を建築しようとしている被告に対して、同市が制定した「宝塚市パチンコ店等、ゲームセンター及びラブホテルの建築等の規制に関する条例」(以下「本件条例」という。)八条に基づき、建築工事中止命令を発したにもかかわらず、被告がその後も同建築工事を...
《解 説》
一 Xは、平成三年一一月ころから右手のだるさを感じるようになり、平成四年になっても症状が改善しなかったため、同年一月に医療法人であるY1が経営するA病院を訪れ、診察した医師Y2に対し、右手が動かないなどの症状を訴えた。Y2は、Xの症状を「右手正中神経麻痺」と診断し、同年四月上旬...
《解 説》
本件は、覚せい剤自己使用事案における尿の任意提出、押収手続の適法性及び尿についての鑑定書の証拠能力が問題とされた事例であるが、その前提として尿の任意提出等に先行する所持品検査等の手続の適法性及びその影響等が問題とされた。
一 事案の概要は、覚せい剤事犯の多発地域を警ら中の警察...
《解 説》
一 本判決の論点は多岐にわたるが、本コメントにおいては、判示事項として掲げた三点について説明することとし、そのほかの論点については、判決理由を参照されたい。
二 Y2(愛知県)は、都市計画事業に係る流域下水道の終末処理場の事業用地とするため、Xらの所有地について土地収用裁決の...