《解 説》
一 本件は、三種混合ワクチン(DPT)接種後七日目に発症し以後長年繰り返されたけいれん発作(症候性てんかん)が予防接種の副反応かどうかが争われた事案である(本判決は、Xの疾病とポリオ生ワクチン接種との因果関係を明確に否定しているので、この部分のコメントは省略する)。
二 本判...
《解 説》
Y銀行は、六〇歳定年制を採用しており、行員一人当たりの経常利益が全国地方銀行の中でも最下位グループを低迷していたことなどから、昭和六一年五月以降、五五歳以上の者の給与額を凍結し、五五歳に達した管理職階者は、原則として専任職として従来の役職から外れることとした。次いで、同六三年四...
《解 説》
X信用金庫は、平成三年八月一三日、Aとの間で信用金庫取引約定を締結し、Aに一七五〇万円を貸し付け、その際、Bは右取引約定に基づきAがXに対して負う現在及び将来の債務一切について連帯保証することを約した。Aは、同五年七月七日破産宣告を受け、前記債務について期限の利益を失った。Yは...
《解 説》
被審人は、船舶用塗料等の製造販売業を営む者であり、同業の九社とともに船舶用塗料等の価格カルテル行為を行ったとして排除措置を命ずる勧告審決(違反事件審決)を受け、その審決は確定した。本審決事項の理解に関係する範囲でその勧告審決の認定した違反事実を紹介すると、被審人らは、船舶用塗料...
《解 説》
Yは、昭和六三年七月以降、マンション(ミリオンコーポラス高峰館)の区分所有権を売却したが、同マンション敷地の一部には二五区画の駐車場が設けられ、Yは、右駐車場の専用使用権を一区画当たり八〇万円ないし一一〇万円で設定し、合計二四四〇万円を区分所有者らから受け取った。Xは同マンショ...
《解 説》
Xらは、もとY1が所有していた土地上に建築されたマンション(シャルム田町)をY2から昭和六〇年六月以降買い受けた者であり、そのうちX1は管理組合の現理事長である。Y2は、同マンションを分譲した際、敷地の一部にある駐車場の専用使用権を一二区画、合計一四一〇万円で売却した。X1は、...
《解 説》
一 原告らは、被告保険会社と終身型変額生命保険契約を締結した。原告らは、この契約締結に際し、被告の従業員が原告に、この保険は一番率の良い貯蓄であるとか、貯蓄より有利な商品で元本の保証があるなどと騙したと主張し、支払った保険料と解約返戻金との差額を損害として請求した。
二 原告...
《解 説》
一 本件は、行政書士である被告人が平成二年一一月一六日から平成五年一月二五日までの間に、のべ一七回にわたり、多数の依頼者から嘱託を受け、四箇所の法務局支局ないし法務局出張所において、有限会社の設立、変更のほか、所有権移転、抵当権抹消など、合計一七件の登記申請代理を行った事案であ...
《解 説》
出版社Y1の発行する週刊誌に宗教法人X又はその教祖であるO主宰に関する記事が二回にわたり掲載された。Xは、各記事がXの社会的評価を著しく毀損するものであるとしてYに対して四〇〇〇万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて提訴した。Xが問題とする記事は、①Xの三〇〇〇億円集金活動に関...
《解 説》
X及びY1は、いずれも日中戦争に参加した兵士であるところ、Y1は、「わが南京プラトーン」と題する書物を出版社Y2から出版し、その中で仮名(姓の下一字がXの姓の下一字と一致する)の兵士が中国人を袋に入れ、ガソリンをかけて火をつけ、手榴弾を二発袋の紐に結びつけて沼に放り込んだなどと...
《解 説》
Xは、各種商品の先物取引の受託業務等を目的とするYの従業員から勧誘を受け、昭和五八年一二月六日から同五九年五月一七日まで輸入大豆の先物取引を行い、同月二二日最終の清算をした。Xは、平成元年七月ころ、新聞記事で先物取引業者に対し損害賠償を命ずる判決のあったことを知り、自分も騙され...
《解 説》
一 Xの長男であるAは、大学卒業後神戸製鋼所に入社し、昭和五八年一二月からインドへの出張を命じられて、技術指導員と現地工事会社従業員との通訳及び事務連絡等の補助業務に従事していたが、昭和五九年一月ボンベイのホテルの窓から身を投じて自殺した。
そこで、Xは、Aの自殺は海外勤務の...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、Yが発行した書籍に、XがYに宛てて出した私信をそのまま写真版で登載したことに対し、Xがプライバシー、著作権の侵害及び名誉毀損であるとして、Yに対し損害賠償、差止及び名誉回復措置として謝罪広告を求めたものである(名誉毀損は控訴審において新たに主張されたも...
《解 説》
一 本件の事案は、以下のようなものである。被上告人会社は、㈱東辰という会社から建物を賃借し、賃料等を同社の第一勧業銀行大森支店の当座預金口座に振り込む方法で支払っていた。他方、被上告人会社は、㈱透信という会社と取引があったが、同社との取引においては、その取引代金を富士銀行上野支...
《解 説》
一 本件は、栃木県那須郡小川町(以下「町」という。)の住民である原告が、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、町に代位して、町長の職にある被告個人に対して損害賠償を求めた住民訴訟事件である。
町は、町内の交通事故の増加等に対する対応策の一つとして、町内にある栃木県警察(以...