《解 説》
一 本件は、自動車の車両保険の満期に際し、Xと自動車販売会社で保険代理店であるY1との間で、Y2を保険者とする車両保険の契約書が交わされたが、Xから保険料が支払われないままであったところ、車両の全損事故が生じ、Xの車両保険金の請求に対し、Y1が保険料未払を理由に支払を拒んだので...
1 高血圧症の基礎疾病を有するタクシー運転手の業務中の脳出血による死亡について業務起因性が認められた事例
(神戸地裁平6・3・11判決)
《解 説》
一 訴外Aは、昭和五四年三月から交安タクシー株式会社にタクシー乗務員として勤務していた者であるが、昭和六〇年一月二二日出社し、タクシー流しの業務に従事中、脳出血を発症して自動車を電柱に衝突した状態で発見され、直ちに救急車で病院に収容されたが、同年二月三日、脳出血による心衰弱によ...
《解 説》
本件では、強姦致傷罪で通常逮捕(第一回目の逮捕)・勾留され、同罪で起訴された被告人が、余罪の取調べ中に逃走し、更に、逃走罪によって通常逮捕(第二回目の逮捕)・勾留された後、逃走罪、強制わいせつ罪等で起訴されたという事案において、強姦致傷罪、逃走罪の各通常逮捕手続に先行し、無令状...
《解 説》
一 本件は、もと妻(請求者)が、もと夫(拘束者)に対し、人身保護法に基づき、その間の六歳になる女児(被拘束者)の引渡を求めた人身保護請求事件である。本件の事案の概要は、次のとおりである。請求者と拘束者は、昭和六二年一〇月三一日、婚姻し、昭和六三年二月八日、その間に被拘束者を長女...
《解 説》
Xは息子Aの大学裏口入学工作資金としてYに合計二七二二万円余を支払ったが、Aが入学できなかったため、Yに返金を求め、結局返還を得られなかった一四〇〇万円について、不当利得、不法行為、返還約束の三点を請求原因として返還請求訴訟を提起した。
第一審の東京地判平5・1・25は、Aの...
《解 説》
一 本件は、真言宗の総本山のある高野山において、A寺の住職の長男(犯行時少年)である被告人が、まずA寺の東隣にあるB寺に放火したが自然鎮火したため位牌等を焼毀したにとどまり未遂におわり、ついでその約四か月後にA寺の西隣にあるC寺に放火してこれを全焼させ、さらにその約三か月後に被...
《解 説》
本件は、地方税法における軽油引取税の徴税の仕組みを利用して軽油の脱税取引(税を納入する意思のない取引)を敢行した犯行グループから軽油を購入した業者が、不納入罪の共同正犯として起訴されたものである。
軽油の流通過程においては、地方税(道路目的税)である軽油引取税が徴収される。即...
《解 説》
一 ここで紹介する二つの東京高裁判決は、いずれも、傷害罪で被告人を有罪とした原判決を破棄し、正当防衛の成立を認めたものである。
二 まず、①事件の概要は次のとおりである。
1 被告人は、スナックで知人の甥と飲酒中口論となり、互いに立ち上がり、被告人は相手から胸ぐらを掴えられ...
《解 説》
一 建物賃貸借契約を解除するには、賃貸借契約の信頼関係を破壊する義務違反があることを要するが、いくつかの義務違反があり、そのいずれか一つのみでは必ずしも信頼関係を破壊する義務違反とはいいがたい事案に行き当たることは少なくない。この場合に、いくつかの小さな義務違反行為を総合して大...
《解 説》
一 本件は、予防接種の副反応事故により死亡ないし後遺障害を負った児童四八名の本人又は遺族から国に対し損害賠償又は損失補償を求めた、いわゆる大阪予防接種禍訴訟の控訴審判決である。
右児童らは昭和二三年から同五〇年にかけて、国が行った種痘、腸チフス、パラチフス、ポリオ各ワクチン接...
《解 説》
Zは、Xと婚姻していたところ(第一回婚姻)、Yと同棲するようになって、Xに無断で協議離婚の届出をし(第一回協議離婚)、その後、Y不知の間にYとの婚姻の届出をした(第二回婚姻)が(Yはこれを追認した。)、その後Yと不仲になり、XにもYにも無断で、Yとの協議離婚の届出(第二回協議離...
《解 説》
本件は、市立中学一年生の生徒がクラブ活動の柔道部での練習中、二年生の有段者の部員から大外刈りの技をかけられて頭部から転倒し、意識不明となる重症を負って脳の器質変化による精神障害の後遺症が残った学校事故であり、該生徒とその両親から、顧問教諭に指導上の安全配慮義務違反があったとして...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件はいわゆるバラバラ殺人事件であり、平成元年二月五日に被害者のものと思われる下半身が名古屋港海上を浮遊していたビニール袋内から発見され、続いて同二年五月二五日に白骨化した頭蓋骨が愛知県瀬戸市の国有林山中で発見されたが、死体の残部分は未だに発見されてい...
《解 説》
本件は信販会社であるXから立替払契約及びカードローン契約により与信を受けていた主婦Yに対する訴訟四件(元本合計八三万円余)が併合審理された事案である(多重債務の毎月の状況は、本判決添付の別表1で明らかである)。Yの訴訟代理人は、XのYに対する与信は、割賦販売法四二条の三(支払能...
《解 説》
一 Y神社の宮司であるXは、宮司=代表役員を免職されたが(免職処分)、この処分を争いその地位にあることの確認を求めるとともに、未払いの給与を請求した。これに対して、Yは、宮司宿舎明渡し及び仮払した金員の返還を求めて対抗した。原審は、Xの請求を棄却し、Yの請求を認容(一部)した。...
《解 説》
本件は、カラオケスナックにおける、いわゆるオーディオカラオケ装置又はレーザーディスクカラオケ装置を使用したカラオケ伴奏による従業員又は客の歌唱行為について、社団法人日本音楽著作権協会が提起した音楽著作物使用料相当損害金(著作権法一一四条二項)請求事件であり、① 右歌唱行為が店の...