《解 説》
一 土地賃貸人であるXは、土地の賃借人であるYらに対し、賃料の不払を理由として、賃貸借契約を解除した。右意思表示は、長年にわたってYらに代わり賃借権の維持・管理にあたってきたYに対してなされたが、Yが不在であったため配達できず、所定期間の経過によりXに返還された。そこで、右意思...
《解 説》
一 Xらは、宗教法人幸福の科学の会員であり、同宗教法人の代表役員である中川隆(通称大川隆法)を信仰の対象とし、同宗教法人に帰依している者であるが、Y(講談社)発行の三種類の雑誌に掲載された幸福の科学及び大川隆法に関する記事が中傷及び捏造の記事であり、右記事によってXら各自の宗教...
《解 説》
一 本件は、業務用ストレッチフィルム(いわゆるラップ)の製造・販売をする業界大手の会社(三井東圧株式会社以下八社)の役員又は社員が、平成二年七月及び一〇月の二回にわたり、各会社の業務に関し、右フィルムの販売価格を一本当たり一五〇円(第一回)又は二五〇円(第二回)協調して値上げす...
《解 説》
甲は乙に対して金銭債権を有していた。平成三年六月一二日Aが、同月二一日Bが右債権の仮差押えをした。そこで、乙は同月二九日右債権をS法務局に供託した。Xは同年一一月一五日右供託金の還付請求権の仮差押命令を得、右命令は同月一八日S法務局に送達された。更に、同月一九日Cが右還付請求権...
《解 説》
一 X所有の甲地の北側には訴外A所有の乙地が、さらにその北側にはY所有の丙地が存在していた。丙地は南側が低くなる斜面であり、乙地を挟んで甲地も南側低地に南側斜面となっている。つまり、丙地は高地であり、甲地は低地である。Yは丙地内に排水設備を造り、これを利用して、乙地経由で甲地内...
《解 説》
Y2の従業員で証券外務員であるY1は平成二年七月二七日Xに対して、「『インサイダーぽい情報』であるとして、A社が近く店頭取引から東証二部に上場するが、一〇〇〇株で一〇〇万円から一五〇万円位の利益を得ることができる」と断定的判断を示して、A社の株式の購入を勧め、Xはこれに応じて同...
《解 説》
本件は、公正証書遺言の要件中、「口授」の存否が争われた事案であり、本判決はこれを否定し、法定相続分に応じた共有持分の確認等の裁判を下した(なお、受遺者が養子であり、縁組の効力も争われたが、本判決は、その効力は肯定した)。
右公正証書遺言に先立ち、遺言者Aの次男亡Bの妻Yは、A...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年九月当時、三田市にある「千刈カントリークラブ」においてキャディとして稼働していたものであるが、同月二六日キャディとして稼働し、七番ホールティーグランドにおいて先行パーティーの進行状況を確認しようとしていた際、ティーグランドで素振りしていたYのゴルフクラブのヘ...
《解 説》
和歌山県海草郡下津町の住民であるXら三名は、同町出納室長Aが公金一〇億円余を横領したことについて当時の町長Y1、助役Y2、収入役Y3にもAの不法行為を防止する職務上の義務の懈怠があったと主張し、町に代位してYらに一〇億円余の損害賠償を求める住民訴訟を提起した。なお、Y3に対して...
《解 説》
一 ①、②の判決を総合すると、本件の事実関係は次のとおりである。被告人は、平成四年三月二八日、当時の住居(東京都北区)において、かねてから性的関係をもっていた中学一年生のA女(当時一三歳)に対し、同女が自分から離れて、他の若い男性と交際しているのではないかとの嫉妬心に加え、もは...
《解 説》
一 Yは、その発行する写真週刊誌「フォーカス」平成四年一月二四日号に、妻に対する殺人被告事件等の刑事被告人の立場にあるXが未決勾留中の拘置所から裁判所に護送される途中の写真を掲載し、右写真と共に、「“ロス疑惑”三浦和義被告の正月―民事訴訟は連戦連勝」との見出しを付した記事を掲載...
《解 説》
一 事案の概要
本判決は、公正証書の内容が利息制限法及び割賦販売法に違反するものであったとして、債権者であるY1協同組合、債務者A及び連帯保証人X(Aの父親)の代理人として公正証書の作成の嘱託をした司法書士Y2、公証人Bの過失を認め、国Y3を含む被告三名に対し、公正証書の執行...
《解 説》
一 X1の父X2と母X3は、Y1とY2との間において、Y1とY2が共同する幼稚園にX1の保育を委託する旨の保育委託契約を締結したうえ、X1の保育を委託していたものであるが、昭和五七年六月五日、X1が幼稚園でブランコから落ちて負傷したのは、幼稚園側の安全配慮義務の懈怠によるもので...
《解 説》
一 食料品の小売業を営むXの所得税につき、税務署長Yは、取引先を反面調査することにより把握した売上原価に同業者の売上原価率及び算出所得率を乗じて算出所得金額を推計し、実額で把握した雇人費等を控除して事業所得金額を算出して更正処分をした。本件は、Xが推計課税の必要性、合理性を争い...
《解 説》
一 Xは、根抵当権者であるY1の申立で競売に付された山林について、執行官の現況調査報告書の記載や添付の図面及び写真等からその位置を判断して、警察犬の訓練所に適した土地と考えて競落し、後に犬舎等を建設した。ところが、その土地は、担保権の設定された土地(甲土地)ではなく、第三者所有...
《解 説》
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(以下、「麻薬特例法」という)二条三項及び一四条一項一号は、薬物犯罪の犯罪行為により得た財産又は当該行為の報酬として得た財産を不法収益としてこれにつき必要的没収を規定し、また...
《解 説》
一 Xの母親甲は、公証人役場において、証人二名の立会いのもと、その所有する土地建物を長男Xに相続させる旨の公正証書遺言をしたが、右証人二名のうち一名が甲の二男で推定相続人である乙であった。甲の死後、甲の相続人のうちX及び乙を除く三名は、遺言無効確認の訴えを提起するとともに甲の遺...