《解 説》
一 本件事案の概要は、原告(控訴人、被上告人)が被告(被控訴人、上告人)に対し、東京都公文書の開示等に関する条例(以下「本条例」という。)五条に基づき、「個人情報実態調査に関して警視庁から入手、取得した一切の文書」の開示を請求したところ、被告は、右開示請求の対象となっている文書...
《解 説》
本件は、昭和六三年七月二三日、東京湾の出口にある浦賀水道において、海上自衛隊の潜水艦「なだしお」 (排水トン数二二五〇トン)と遊漁船「第一富士丸」(総トン数一五四トン)が衝突し、「第一富士丸」の乗客、乗員中三〇名が死亡し、一七名が負傷したという事件であり、当時の潜水艦の艦長と遊...
《解 説》
一 本判決は、親権者が子を代理して子所有の不動産を第三者の債務の担保に供した場合に、これが親権者の有する法定代理権の濫用に当たるか否かを扱ったものである。
事案をやや単純にして紹介すると、以下のとおりである。未成年者Xの母Aが親権者として(Xの父は既に死亡)Y(信用保証協会)...
《解 説》
Xは昭和六二年五月以降Aに金銭を貸し付け、同六三年九月、A所有の土地建物に共同根抵当権の設定登記を受けた。Aは、平成元年三月ころ右建物を取り壊し、同年六月新建物を建築したが、Xは同二年三月、新建物についても根抵当権の設定登記を受けた。その後新建物と敷地について競売が開始されたが...
《解 説》
本件は、深夜屋内に侵入し、睡眠剤(ハルシオン)を飲んで就寝したため抵抗することが極めて困難な心身の状態にあった被害者に、そのことを認識することなく、粘着テープで猿ぐつわをかませ、その両手首を後手に緊縛するなどの暴行を加えて姦淫し、負傷させた事案である。
当然、右暴行により被害...
《解 説》
Xは在日朝鮮人であり、昭和六〇年三月、市役所において外国人登録証明書の紛失による再交付申請をした際、外国人登録法(昭和六二年法律第一〇二号による改正前のもの)一四条に定める指紋押捺を求められたが、自己の良心及び信条に基づき、これを拒否した。Y2県警の警察署においては、同法違反被...
《解 説》
一 本件は、国選弁護人を付された被告人が判決宣告後に上訴申立てのため必要であるとして、自ら公判調書の閲覧を請求した事例について、この場合は刑訴法四九条の「被告人に弁護人がないとき」に当たらず、閲覧は認められないとされたものである。
二 事案の経過の概略は、次のとおりである。申...
《解 説》
一 原告は、酒類の売買等を目的とする株式会社であるが、酒税法九条一項の規定に基づき、酒類販売業の免許を申請した。これに対し、被告は、原告が酒税法一〇条一〇号に規定する「経営の基礎が薄弱であると認められる場合」に該当することを理由として、免許の拒否処分をした。原告が、この免許拒否...
《解 説》
一 X(昭和一四年六月生)は、昭和四三年五月、Y1と結婚して二子をもうけ、洋書、武道具等の輸入販売業を営んでいた者であるが、昭和五七年四月ころから、奇異な行動をとるようになったことから、Y2の経営する病院で精神分裂症と診断され、同年五月五日、妻Y1の同意により、同病院に入院させ...
《解 説》
本件は、船舶の衝突により、所有船舶及びその積載貨物の全損、乗組員全員死亡、流出油の対策費の損害を受けたとする船主が、日本の船主責任制限法九五条及び油濁損害賠償保障法四〇条の船舶先取特権を根拠に、上記の損害賠償債権について弁済を受けるため、船舶の代わりに、船体保険により被保険者に...
《解 説》
一 X1は、昭和六三年七月、妊娠の兆候があらわれたが、全身に発疹がでたことから風疹に罹患したことを危惧し、異常児出産の心配があったため、Y1の開設する総合病院に赴き、妊娠の有無、風疹罹患の有無の診断を求めたところ、右病院の医師は、検査をして妊娠しているとの診断をしたが、慎重な風...
《解 説》
Xは、中国人女性であり、昭和六二年一一月二日、先に来日していた夫のもとに親族訪問による短期滞在資格で来日し、同月三〇日、本件交通事故に遭遇した。Xは、その後、滞在資格が学術上の活動を行おうとする者へと変更され、在留期間の更新が行われた。本件は、Xから加害者Y1、その保証人Y2、...