《解 説》
一 Xらは、日興證券株式会社の株主であるが、同社の取締役Yらが同社の一部の顧客に対し証券取引等に関して生じた損失を補填するという違法な行為をしたことにより同社に損害を被らしめたと主張し、商法二六七条の株主代表訴訟の規定に基づき、四七〇億七五〇〇万円を同社に連帯して支払うよう求め...
《解 説》
一 訴外Aは、Y銀行神戸駅前支店と預金取引をしていたが、平成三年七月二日、破産宣告を受け、Xがその破産管財人に選任されたため、Yに対し、預金の支払を請求したものであるが、Yは、平成三年六月二六日、YのAに対する貸金債権と右預金債権とを相殺したとして預金の支払請求を拒否したため、...
《解 説》
本件は、建物所有者X(国鉄から資産を承継して債務償還のための資産処分等を行うことになった国鉄清算事業団)からこれを占有するY(理髪業者)に対する建物明渡請求事件(付帯請求は損害金請求)である。抗弁としては、賃貸借契約に基づく占有正権原の主張及び明渡請求が権利濫用である旨の主張が...
《解 説》
一 競売の目的土地の一部について、抵当権設定前からの賃借人が、賃借地上に建物(競売の対象外)を所有していたが、その建物と賃借権を土地所有者に売る契約をした。しかし、売買代金の一部が未払いのままである。賃借人は、代金の支払を受けない限り、建物から退去しないと主張している。そこで、...
《解 説》
一 訴外Aは、平成三年二月二五日、普通貨物自動車を運転して名古屋市内を走行中、交通事故にあって死亡したが、右自動車については、Y1保険会社との間で一〇〇〇万円の搭乗者傷害保険契約が締結されていた。
そこで、Aに対して貸金債権を有するとするXは、右保険金の受取人はAの相続人であ...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年六月当時、Y1の経営する「相模野カントリー倶楽部ゴルフ場」に勤務していた者であるが、同月一五日、同ゴルフ場の相模コース九番ホールにおいてキャディーとして勤務中、Y2が同ゴルフ場の城山コース一番ホールティーグランドから打ったゴルフボールを前頭部に受け、頭部挫傷...
《解 説》
一 火薬類取締法二一条は火薬類の所持を一般的に禁止した上でいくつかの除外事由を定めているが、本件は、そのうちの八号の解釈が問題となった事案である。なお、その背後には、同法二一条違反の罪(不法所持罪)と二二条違反の罪(残火薬類措置義務違反罪)の両罪の関係をどのようにとらえるかの問...
《解 説》
一 XとYとは、昭和三六年婚姻した夫婦であり、その間に長女(昭和三七年一二月生)と長男(昭和四三年一二月生)の二子を儲けた仲であったが、その後夫婦仲が悪化し、昭和六〇年三月、Yは離婚を決意してXと別居するに至った。しかし、その際Yは、Xが自宅の鞄に入れて保管していた二一口の国債...
《解 説》
一 本件は、中核派革命軍の対人闘争部隊の班長であった被告人が、(1)同軍のメンバー数名で行った自動車の窃盗、及び(2)同じく数名で行った強盗致傷(千葉県収容委員会会長を路上で襲い、鉄パイプ等で殴打し金員を強取したもの)の各犯行につき、いずれも共謀共同正犯者として起訴された事案で...
《解 説》
一 原告は、その所有農地を第三者に賃貸していたが、賃借人が無断で転貸もしくは賃借権の譲渡を行ったとして、昭和五七年一二月二九日、大阪府知事に対し農地法二〇条一項による解除許可の申請をした。しかし、右申請に対して応答処分がなされないまま八年以上が経過したので、平成三年五月一〇日、...
《解 説》
本件は、マンション管理組合(建物の区分所有等に関する法律〔建物区分所有法と略称する〕三条に基づき設立された団体)の理事長(管理者)XからYらに対して、Yらが占有使用しているマンション駐車場の明渡しと賃料相当損害金を請求した事案である。このマンションの敷地は元来Yら一族の所有であ...
《解 説》
本件は、九階のビル所有者Xらからその一、二階を賃借するY会社(中華料理店)に対して提起された建物明渡請求事件(付帯請求は損害金請求)である。Xらは、Yには、無断の室外機設置、油脂を飛散させているのに排風機とダクトの改修をしない、建物のカーテンウォールの腐食などの賃貸借契約の約定...
《解 説》
本件の原告は、補聴器の販売修理に従事する高卒、四〇台半ばの男性サラリーマンであるが、これまで商品取引の経験は皆無で、商品取引に関する知識も特に有していなかった者である。被告らは、原告との間で米国産大豆の先物取引の委託契約を締結した会社(東京穀物商品取引所等の商品取引員の資格を有...
《解 説》
一 本件は、肝硬変に罹患し、英国で肝臓移植手術を受け、その後死亡した者の闘病記について、著作者が誰であるか等が争われた事案であり、その概要は次のとおりである。
Y1は、Y2に、Dの闘病記をY1を著者として出版することを許諾し、Y2はこれを書籍として出版した。ところが、Dの両親...
《解 説》
首都高速道路公団は昭和六二年に首都高速道路の通行料金を五〇〇円から六〇〇円に値上げしたが、これに反対するグループが従来料金しか払わないで首都高速道路を通行したため、公団はこれらの者に差額分、割増金及び手数料の支払いを請求した。本件は、その請求を受けた原告らが、右値上げは、その必...
《解 説》
一 本件は、原告と男子社員との間の賃金格差が労基法四条違反の賃金差別であるか否かが争われた事案である。
これまでの男女賃金差別をめぐる訴訟は、いずれも、男女別の制度や基準による男女間の異なる扱いが問題とされた事例であったが、本件は、これとは異なり、男女別の基準や制度がなく、事...