《解 説》
本件は、郵便局の「職場ヘルパー」として一一年余にわたり郵便外務員の身だしなみの世話などの業務に従事していたXが、Y(国)に対し、非常勤職員としての地位の確認などを求めた事件の控訴審判決である(なお、一審判決については、労判五三五号三三頁参照)。
郵政省では、郵便外務員の定着化...
《解 説》
本件は、茨城県の住民であるXらが、茨城県道須賀北埠頭線改築工事等に関する道路法一八条一項に基づく道路区域変更決定が違法であるとして(違法事由は、右道路は不必要であること、右道路整備には都市計画上の優先性がないこと、右道路開設事業には事業効果がないこと、ルートの選定が妥当でないこ...
《解 説》
一 本件は、会社の運営に必要な資金以外の資金(いわゆる余資)が、その運用を担当していた者によって多種銘柄の株式売買に利用され、昭和六二年一〇月一九日の株価の大暴落によって会社に損失が生じた場合に、右の者の不法行為に基づく損害賠償責任いかんが争われた事例である。
本判決は詳細に...
《解 説》
一 本件は、被告人が、パチンコ店の通称パチスロ機のメダル投入口に銀紙テープを貼ったセルロイド様器具を差し込み、内蔵の感知装置などに異常反応を起こさせてメダルを排出させ、不正にメダルを取得したという事件である(なお、被告人は、出入国管理及び難民認定法違反でも併合審理され、有罪とな...
《解 説》
事案の概要は以下の通りである。
訴外Aは平成二年六月当時七〇歳であったが、直腸癌の治療のため被告Yが運営する墨東病院に入院し、腸切除の手術を受けた。手術自体は無事に終了したが、手術から三日後にAは一時的な精神障害を来して病院内を徘徊するということがあり、その後発熱、不整脈発生...
《解 説》
一、土地、建物の賃貸借契約は相当長期に及ぶことが予定される継続的契約関係であり、契約当事者間の信頼関係が重視されるということができる。ところで、賃貸借契約の解除については、やむを得ない事由を解除の要件とする雇用契約に関する民法六二八条ではなく、民法五四一条の債務不履行による解除...
《解 説》
本件は、国Yの防衛費の支出が憲法前文の平和的生存権、九条・一九条・二〇条等に違反するとして、Xら二〇名がYに対し、①所得税のうち自衛隊関係費相当分の納税義務がないことの確認、②YがXらの納付する所得税を自衛隊関係費に支出してはならない義務の確認、③Yが自衛隊関係費を支出し、また...
《解 説》
一、特許に関する手続をした者は、事件が特許庁に係属している限り、原則として手続の補正をすることができる(特許法一七条)。しかしながら、願書に添付した明細書又は図面(以下「明細書等」という。)については、第三者に思わぬ不利益を及ぼさないとの配慮から、出願公告決定の謄本の送達後と前...
《解 説》
一 本件は、Xが、その所有地は墓地であるから地方税法三四八条二項四号により非課税であるとして、Y1区長に対し、固定資産税・都市計画税の賦課決定処分の取消しを求めるとともに、Y2固定資産評価審査委員会に対し、地方税法四三二条に基づく審査の申出を棄却する旨の決定の取消しを求めた訴訟...
《解 説》
一 本件は、公立高校の校長及びその誘いに応じた教諭二名による入試答案改ざん事件として、発覚当時マスコミに大きく取り上げられて世間を騒がせた事件の判決である。被告人らは、受検生の父兄から合格のため便宜を計って欲しい旨の依頼を受け、校長室の金庫に保管してあった学力検査問題解答用紙の...
《解 説》
一 X(申請人・抗告人)は、昭和四一年九月五日、Y(被申請人・相手方)との間で、公正証書をもって、Yの所有する本件土地を無償でXに贈与する旨の死因贈与契約を締結したとし、死因贈与による所有権移転請求権の仮登記仮処分を申請したものである。
二 一審は、X主張の契約の成立が疎明さ...
《解 説》
Xの妻Aは、Y保険会社との間で、保険者をY、被保険者をA、保険金を事故死の場合に一〇〇〇万円とする生命保険契約を締結したが、保険金受取人を指定しないまま事故で死亡した(もっともXは、保険金受取人として相続人が指定された旨主張したが、本判決はこれを認めていない)。Yは、本件契約に...
《解 説》
本件は、自動車会社の新入社員として五日間の合宿訓練を受けたXが、その合宿訓練により神経症になったと主張して、労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付と障害補償給付を請求したが、労働基準監督署長(Y)から各給付を支給しない旨の決定を受けたため、その決定の取消を求めた事案であり、X...
《解 説》
一 事実関係
1 Y(被告・控訴人・女)は、昭和六二年一二月姉甲と共同で本件土地を買い受け、持分Y一〇分の九・甲一〇分の一の所有権移転登記を経たが、Yと甲は共同で同六三年本件土地上に本件建物を建築し、同年一一月それぞれの持分を二分の一とする共有とし、その旨の所有権保存登記を...
《解 説》
本件は、遺産分割の協議の申入れ又は調停の申立てを遺留分減殺の意思表示とみることができるかどうかをめぐる問題を扱ったケースである。
被相続人Aは、昭和五二年八月一日死亡し、相続人は、B(長女)、Xら(二、三女)、Y(長男)の四人である。
Aは、昭和二二年本件第一土地建物を購入...