《解 説》
本件は、被告人が覚せい剤を自己使用し、その後、同事実に関する覚せい剤取締法違反被告事件につき、その処罰を免れようと企て、未決勾留中同房となった者に対し、同人が被告人の飲んでいた缶ビールの中に覚せい剤を混入させて飲ませた旨偽証させたという事案である。
ところで、覚せい剤使用事犯...
《解 説》
一 申立人Xは、市立高校の入学試験を受験したが、学力検査等においては合格ラインに達していたものの、進行性の筋ジストロフィーに罹患していたため、右高校校長である相手方Yから高等学校の全課程を無事に履修する見込みがないと判定されて不合格となった。Xは、右不合格処分(以下「本件処分」...
《解 説》
Yは製鉄会社内で運送・荷役作業を行う会社であり、Xは同社労働組合の委員長を通算四期歴任した社員である。本件訴訟の内容は多岐にわたるが、要約すれば次のとおりである。
Xは、第一に昭和五二年一〇月三日付でなされたXに対する懲戒処分(譴責・降格)が無効であることを理由に右処分の付着...
《解 説》
一 事案の概要は以下の通りである。
Aは昭和五七年四月一三日夜、勤務先の者に模造日本刀で胸部を刺され、Y1が運営する病院に救急車で搬入されてY2~Y4医師の治療を受けたが、同月二四日、化膿性腹膜炎によって死亡した。腹膜炎の原因は、前記刺創が腸管を損傷していたためであった。そこ...
《解 説》
被相続人には子たる相続人一一名があったところ、「本件土地を含む一切の財産を(子たる)被告両名に平等に相続させる」旨の公正証書遺言により、相続開始後、右両名は本件土地につき相続を原因としてそれぞれ共有持分二分の一とする所有権移転登記を受けた。共同相続人の一人である原告は相続開始後...
《解 説》
本件は、遠洋漁業の漁船上で発生した傷害致死事件に関し、漁船の漁労長をしていた被告人が、犯人の依頼を受けて、過失による事故である旨内容虚偽の死亡事故発生報告書を作成するとともに、それを海上保安部に向け電送提出して行使したという、証憑の偽造、同使用の事案である。
証憑の偽造とは、...
《解 説》
一 本件は、温泉をゆう出させる目的で、自己所有の土地を掘さくし、動力を装置しようとした原告が、被告(県知事)に対して許可申請をしたところ、いずれも不許可とされたため右各処分の取消しを求めた事案である。
温泉の掘さく及び動力を装置しようとする者は、それぞれ温泉法三条、八条に基づ...
《解 説》
Xらは、本件建物甲・乙の共有者であり、建物甲をA名義で実際はY1に賃貸していた。そして、Y1はY2に対して内装工事を請け負わせたところ、Y2がY1の構成員とともに床材の貼り替え工事中石油ストーブの火が床等に塗布されていた接着剤に引火して、建物甲が全焼し、その隣の建物乙が半焼した...
《解 説》
Xの妹Aは昭和六三年六月、Y保険会社との間で、被保険者をA、保険金受取人をX、死亡保険金額を五〇〇〇万円とする普通傷害保険契約を締結したが、同年八月、ホテルに宿泊中、何者かに頚を絞められて死亡した。Xは右保険契約の保険金受取人としてYに対し五〇〇〇万円の支払を求めたのが本件訴訟...
《解 説》
一 A(当時五二才)は、腎障害の一種であるグッドパスチャー症候群の疑いで被告Yが運営する病院に入院して治療、検査を受けており、昭和六二年五月二〇日に気管支鏡による肺生検(判文中のTBLB)を受けた。右検査時に担当医が気管支内壁に病変と思われるものを発見したので、その生検(判文中...
《解 説》
本件は、故人Aが所有していた不動産を贈与した相手は四女のXであったか、それとも二女の子であるY1であったかの事実問題が主たる争点となった所有権移転登記手続等請求訴訟であるが、Xが三歳のときに日本脳炎に罹患し、知能の発達が遅れたために、訴訟追行について意思能力の有無が問題となった...
《解 説》
破産者A及びB(いずれも管財人X)共有の不動産が債権者Y1に売渡担保として所有権移転登記が経由され、また債権者Y2のため根抵当権設定仮登記が経由されたので、管財人Xはその原因行為を破産法七二条五号の無償行為に当たるとして否認し、各登記の抹消登記手続を求めた。Yらは、①Aらの担保...
《解 説》
Xは木造二階建建物を所有し、二階六畳間(板の間付き)をYに賃料月額三万五〇〇〇円、期間二年との約で賃貸していたが、この部屋に孫を居住させようとして、更新拒絶を申し入れた。本件の争点は、本件部屋に借家法の適用があるか否かと明渡請求に正当事由があるか否かの二点にあった。
本判決は...
《解 説》
Xは昭和五一年ころから本件建物の一階でレストランを経営し、Yは昭和五七年一一月からX経営のレストランの真下でライブハウスを経営していた。右レストランではA席と呼ばれる客席とB席と呼ばれる客席に分けることができるが、構造上、A席はB席と異なり、階下の振動が直接伝わることが避けられ...
《解 説》
一 Xは、静岡県榛原郡下の金谷町、川根町、中川根町、本川根町の四町の区域を管内とする農業協同組合であるが、昭和四六年五月から昭和五五年一二月までXの専務理事、組合長であったYが、昭和五五年二月から七月にかけて合計約六九億円の国債を取得し、静岡県農業協同組合連合会から約四〇億円の...