最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、医薬品の製造方法に係る特許権に基づく損害賠償請求事件である。
X1(原告)は、医薬品の開発及び製造販売を業とする英国の法人であり、医薬品に関する特許権(本件特許権)を有している。また、X2は、X1の関連会社(日本法人)であり、X1の日本における独占的通常実施権者...
《解 説》
本判決は、民法七七二条二項の要件を満たす子について同条以下所定の嫡出推定制度の適用が排除されるか否かが問題とされた事案において、これが排除されないと判断したものであり、近時活発化している同問題の議論に一石を投ずるであろうと見られる。
一1本件の事案の概要は、次のとおりである。...
《解 説》
一 本件は、戸籍上、甲の父とされているA男が死亡した後に、その遺産相続をめぐって紛争が生じ、養子である乙が、甲に対し、亡A男と甲との間の親子関係不存在確認の訴えを提起した事案である。本件の争点は、夫が出征から帰還後、妊娠週数二六週目に妻が出産した子について、民法七七二条の嫡出推...
《解 説》
一 本件は、スナックシャネルという名称で営業する飲食店に対して不正競争行為の差止め等が請求されたいくつかの事件のうち、上告された唯一の事件である。他の事件は、既に差止め等の請求を認容する判決が確定している(例えば、東京高判平7・3・1知的裁集二七巻一号一七一頁)。
二 フラン...
《解 説》
一 本件は、国民健康保険事業を行う保険者であるX(市)が、国民健康保険を使って治療を受けた交通事故の被害者Aの加害者Yに対する損害賠償請求権を、国民健康保険法(以下「法」という。)六四条一項に基づき代位取得したとしてその請求をする事件である。
Yは、昭和六三年九月四日、交通事...
《解 説》
一 本件は、X市(宝塚市)が、パチンコ店を建築しようとしているYに対して、X市が制定した「宝塚市パチンコ店等、ゲームセンター及びラブホテルの建築等の規制に関する条例」(以下「本件条例」という。)に基づき、建築工事中止命令を発したにもかかわらず、Yがその後も右建築工事を続行したた...
《解 説》
一 原告らは、A村に居住する選挙人であり、被告は、A村の選挙管理委員会である。被告は、平成八年五月二〇日の選挙時登録(A村長選挙)までに、別表(省略)記載の九八名をA村の選挙人名簿に登録し(以下「本件登録」という。)、平成九年九月一一日から、同月一〇日を基準日及び登録日とする選...
《解 説》
同性愛者の団体Xは、Y都に対し青少年の家の宿泊利用を申し込んだが、青少年の家のS所長は申込書の受理を拒否し、さらに都教育委員会は、本件申込みについて都青少年の家条例八条一号(秩序をみだすおそれがあると認めたとき)、二号(管理上支障があると認めたとき)に該当するとして承認を拒否し...
《解 説》
一 本件は、XがYに対し、平成五年分の所得税の純損失の繰戻しによる還付請求(以下「本件還付請求」という。)をしたところ、Yが、Xの同年分の所得税については所得税法(以下「法」という。)一五一条二項の規定により青色申告の承認の効力が失われており、Xは青色申告書を提出する居住者に該...
《解 説》
Y1はXの社員であり、海外企業研修員派遣規則に基づき、米国に派遣され、Xの指示により約一年九か月後に帰国した。Y1はその六か月後に退職を申し出た。前記規則一二条には、「研修員が研修期間中、または研修終了後五年以内に退職する場合、・・・会社が負担した費用の全額又は一部を返済させる...
《解 説》
本件は、普通地方公共団体である岡山県山陽町が、山陽自動車道建設用地を地権者から先行取得するに際し、売買契約の締結に先立ち、同町長において地権者に対し、将来、同町が日本道路公団に右土地を転売するときには、右土地に関する購入価格と転売価格との差額を地権者に支払う(ただし、同町が右土...
《解 説》
Xは平成六年二月四日、Aらとの間で取引限度額を三〇〇〇万円とする継続的消費貸借契約を締結し、Aが担保として第三債務者Bらに対して有する同年三月以降の本件建物の賃料債権をXに譲渡し、翌日までに内容証明郵便により第三債務者らに債権譲渡の通知をした。他方、Yは、昭和五八年一二月一四日...
《解 説》
本件は、ゴルフ場のオープンの遅延などを理由とするゴルフ倶楽部入会契約の解除が許されるかどうかが争われた事件である。
X(一審原告、被控訴人)は、Y(一審被告、控訴人)が千葉県夷隅郡御宿町に建設することを予定していた御宿ゴルフ場を利用する者の組織である御宿ゴルフ倶楽部の個人正会...
《解 説》
一 事案の概要は以下のとおりである。
補助参加人Zは、X銀行を支払場所とする本件手形二通を含む約束手形七通を振り出し、訴外Aに交付した。その後、訴外Bが本件手形を裏書取得し、最終的にY銀行が訴外Bからの依頼により本件手形を割引取得した。その後、Zは、Y銀行に対して本件手形は詐...
《解 説》
Xは、不動産の売買等を営む有限会社であり、Y税理士は、昭和五四年五月以降、Xを代理してXの事業に係る法人税(消費税法の施行後は同税を含む)の税務代理、税務書類の作成等を引き受けていた。Yは、平成元年九月、Xを代理してS税務署長に対し簡易課税選択届出書を提出した(なお、Xの平成三...
《解 説》
一 Xは、新興宗教の信者であったが、同じく信者でありXに入信を勧めたY1及び宗教団体であるY2に対して、損害賠償請求をした。責任原因は、Yらの組織的な欺罔脅迫行為など社会的相当性を逸脱する行為により献金をさせられ、Y1が献金を立て替えたとしてXに返還を迫り、金銭支払いを余儀なく...
《解 説》
一 Xは、個人で建設業を営む者で、従来商品先物取引の経験がなかったが、商品先物取引業者であるY1社大阪支店の営業課員であったY4から白金の先物取引の勧誘を受け、白金の商品先物取引を開始し、その後Y4ないしY1社大阪支店営業課長であったY3の勧誘を受けて、八か月間程度、Y1社に委...
《解 説》
X1は少林寺拳法により門信徒を教化育成するなどの業務を行うことを目的とする禅宗系の宗教法人であり、X2は、少林寺拳法の普及、振興を図ること等を目的とする財団法人である。Yら両名ほか一名は、かつてX1及びX2の元幹部であったが、いずれもX1から破門、X2から除名の処分を受けていた...
《解 説》
一 Xは、米国で一重まぶたを二重まぶたにする美容整形手術を受けていたが、その結果、二重の幅が広くなりすぎ、また、左右差が残ってしまったと考え、約二年後、美容外科医師であるY経営の病院で、両まぶたを修整する美容整形手術を受けた。二重まぶたを修整する手術は、単なる重瞼術よりも格段に...
《解 説》
Aは、自己の財産を妻B及び二男Xにすべて与えるとの遺言を残して死亡した。BとXは遺産分割協議を行い、土地全部をXが取得するものとした。しかし本件土地については、相続を原因とし、Bの持分六分の三、X、長男Y、長女C各持分六分の一とする所有権移転登記、その後、錯誤を原因とし、Xの持...
《解 説》
本件は、株式会社XからXがA社を吸収する前にA社の代表取締役社長であったYに対し、「貸金」の返還と代表取締役の義務違反(善管義務、忠実義務等)を理由に損害賠償を求めた事案である。
本判決の認定したところによると、本件「貸金」八億九五八〇万円余については、A社は政治家に対する献...
《解 説》
一 Xは、平成二年六月、Y連合会との間で、孫である訴外Aを被共済者とする個人定期生命共済契約を締結していたが、Aが、平成八年八月、高松市福岡町所在の「スカイハイツ玉藻」六階より一階ホール屋根上に転落し、頭部脳挫滅創等により即死したため、Yに対し、災害特約共済金の支払を求めた。
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《解 説》
本件は著名な酒造会社間の不正競争防止法に基づく差止及び損害賠償請求事件の控訴審判決である。
Xは、「One CUP」及び「ワンカップ」について商標権を有しているところ、Yは、「サケカップ」の商品名を採用し、「SAKE」「CUP」と記載されたラベルを貼っていわゆるカップものの酒...
《解 説》
一 本件は、土地をYに賃貸しているXらが、賃料が低廉となったとして、平成八年五月一日以降の賃料の改定を求めた賃料増額訴訟である。XらとYとの間では、昭和六二年四月以降の賃料は、訴訟提起後裁判上の和解により、昭和六三年四月以降、平成二年六月以降、平成三年四月一五日以降及び平成六年...
《解 説》
一 ゴルフ会員権を貸金等の譲渡担保に供する場合に、譲渡担保権者である金融会社の選択するところに従い、当該会員権を処分又は帰属清算の方法で処分でき、譲渡担保設定者は譲渡担保権者の請求があり次第、当該会員権の名義を譲渡担保権者あるいは譲渡担保権者の指定する第三者に対して名義変更承認...
《解 説》
本件は、タクシー運転手である被告人が、深夜、客として乗車させた被害者とその連れから絡まれ、降車した被害者から、運転席の窓越しに「降りてこい。」などとどなられて胸ぐらをつかまれ、運転席から車外に出た後も左肩付近を殴られるなどしたため、タクシーを放置して逃げ出したが、被害者に追いか...
《解 説》
本件は、コンテナ船の船員であった被告人三名が、密航ブローカーから報酬を受け取った上、営利の目的で、フィリピン人密航者四名を大韓民国釜山港から同船に乗せて一室にかくまい本邦に密入国させたという事案である。「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」(平成九年法律第四二号)によ...