最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、いわゆるリクルート事件としてマスコミに大きく取り上げられた一連の贈収賄事件のうち、藤波孝生元内閣官房長官に対する受託収賄被告事件の控訴審判決である。一連のリクルート事件のうち受託収賄罪で起訴された政治家は藤波孝生元内閣官房長官、池田克也こと池田克哉元衆議院議員の二名...
《解 説》
一 XとYは、昭和五二年四月一日、Xを保険契約者兼被保険者、保険金額を八〇〇万円、保険期間一五年、Xの妻Aを保険金の受取人とする生命保険契約を締結したが、右の保険契約に適用される普通保険約款には、保険契約者は、いわゆる契約者貸付制度に基づいて解約払戻金の九割の範囲内でYから貸付...
《解 説》
一 いわゆるロス疑惑事件の被告人であるXは、自己に関するマスコミ報道について、これが名誉毀損であるとして多数の損害賠償請求訴訟を提起している。本件はその一つである。
Y新聞社の発行する「スポーツニッポン」紙の昭和五九年二月一五日付け紙面に、「『X氏に保険金殺人の計画を持ち込ま...
《解 説》
一 問題の所在
本件は、最高裁のした上告棄却決定に関し、被告人から、刑訴法四一五条三項を根拠法条として「判決訂正の申立期間延長の申立て」という標題の申立てが行われた事件である。上告棄却決定に対しては、最高裁判例により、判決訂正申立てではなく、異議申立てが認められているから(最...
《解 説》
一 本件事案は、被告を起業者とする市街地開発事業に関し、県収用委員会がした原告らの土地を収用し金銭による損失補償をするとの収用採決につき、原告らが、土地収用法(以下「法」という。)一三三条に基づき、被告に対して、損失補償金に代えて替地による補償を求めたものであり、法一三三条の訴...
《解 説》
Xは拘置所に勾留されている被告人であるが、眼科で治療を受けるため、拘置所職員に付き添われ、両手錠、腰縄付きで病院に行き、眼科で治療を受けた。Xは、被告人は有罪判決を受けるまで無罪の推定を受けるものであるのに、両手錠、腰縄付きで公衆の面前を歩かされ、名誉が侵害され、尊厳を著しく傷...
《解 説》
本件は、Xが、市立中学二年在学当時に、大掃除の際に三階の窓の外側を拭こうとして窓の外に出たところ、足を滑らせて転落し傷害を負った事故につき、その両親と共に、Y市に対して国家賠償を求めたものである。
Xらは、中学二年生程度では、心身の発達が未熟で判断能力も十分でない生徒もおり、...
《解 説》
一 訴外Aは、平成五年五月当時、○○県公立A高校一年生に在籍していたが、同月六日早朝、自宅の玄関先で首吊り自殺した。
そこで、Aの遺族であるXらは、Aの自殺の主たる動機は、A高校生徒らによる「いじめ」を苦にしてのものであるとしたうえ、同校教員らは、Aの自殺があるまで、Aに対す...
《解 説》
一 本件は、京都市民生局の職員により他都府県の同和行政担当者を地区施設視察や協議等の会合で接待したとの名目で本件公金の支出がなされたところ、京都市の住民であるXらが、右公金支出に係る会合は実際には行われていないから右公金支出は違法であり京都市は右支出金額に相当する損害を被ったと...
《解 説》
東京都千代田区(Y区長)においては、区立小中学校等を統廃合することを計画し、小学校と幼稚園については、平成四年一二月、条例が議決、施行されたが、その前の同年四月、区立学校の設計及び教育条件整備の推進に関する予算が可決成立し、各施設についての基本計画等の設計委託契約が締結され、右...
《解 説》
本件は、昭和四九年四月より江戸川区立葛西小で日本語学級の教諭として在職していたXが、昭和六三年四月一日付けで墨田区立中川小の教諭へ転任となり、普通学級を担当することになったところ、Yによる右転任処分がその裁量権の範囲を越えるほか、手続にも重大な違背があり違法であると主張し、右転...
《解 説》
Xは市立中学校の県費負担教員であるが、Y県教委から三か月間一割減給の処分を受けた。その理由とされる事実は、Xが昭和五八年四、五月に実施された定期健康診断に係る胸部X線検査を受検せず、さらにこれを受検するよう命じた校長の職務命令を拒否したこと、Xが勤務条件に関する措置要求のために...
《解 説》
Xらは第二次世界大戦中に朝鮮半島から女子勤労挺身隊員として募集され(X1・X2)、あるいは徴用により来日し(X3)、Yの工場において労働に従事し、昭和二〇年に帰国した。Xらは、賃金が未払いであると主張してYにその支払を求め、さらに劣悪な環境下で強制労働を命じられ、労働時間以外に...
《解 説》
Xは、Yとの間の契約に基づき、ビルの一室を飲食業用店舗として使用してきたが、右契約の性質につき争いが生じたので、両者間に賃貸借契約が存在することの確認を求めて本件訴訟を提起した。
第一審判決は、XY間の契約書に店舗経営委託契約と記載されていること等を理由に、両者間の契約は経営...
《解 説》
本件は、都心の高度商業地域における土地賃貸借契約期間満了後の使用継続に対する異議について正当事由の存否が争われ、建物収去土地明渡しが求められた事案である。賃借人Yの先代Aは昭和三一年に右土地を賃借し、Aが同三九年に死亡したためYが賃借権を相続し、同五一年に契約期間を平成八年一月...
《解 説》
Aは、自己所有の本件建物の一部である本件店舗を昭和六二年八月一〇日にBに対し賃貸し、その際、Bは、Aに対し保証金一億五〇〇〇万円余を賃貸借契約が終了し本件店舗の明渡が終了した後一か月以内にBがAに対して負担する賃貸借契約上の債務額を控除の上で返還するとの約定で差し入れた。その後...
《解 説》
一 Xは、地質調査業、さく井業を目的とする会社であるが、温泉開発を企画していたYとの間で温泉井の掘さく及びこれに付帯する工事を行う旨の契約を締結し、A市郊外で温泉掘さく工事を実施したところ、地下水がゆう出し、温泉との分析結果が得られた。
事案の理解のために必要な限度で、温泉掘...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年三月、Yとの間で、店舗用建物(以下「本件建物」という。)について、賃貸期間を平成八年三月までの一〇年間、賃料を月額三四万〇三八五円、保証金(以下「本件保証金」という。)を二五〇〇万円(ただし、①Xが本契約条項に違反してYに経済的損失を与えた場合、Yは右損失額...
《解 説》
Xは大正一一年生まれの株取引の経験を有する女性であるが、昭和六二年六月以降、Y証券会社と株の現物取引を始め、平成元年四月、支店長らの勧めにより信用取引を開始するための書類に署名捺印した。その後、Yの従業員がXの名で無断で株の信用取引を数回行い、事後承認を求めたが、結局、Yは自社...
《解 説》
X1の夫であり、X2らの父であるAは、平成六年三月、駅のプラットホームで喫煙していた。Yは、前にもAに喫煙を注意したことがあったので、「何で吸ってんだよ。前にも注意したろ。」などと言いながら左肩あたりで肘を小突いて注意したところ、Aが向き直って「何も小突くことはねえだろ。」と文...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、被告が平成八年一月二六日発行の東京新聞朝刊二三面冒頭において、紙面の約半分の幅及び九段抜きで、『「メイセー」所有ビル』、『住総が高値で買い取り』、『差し押さえ・越境物件』なる大見出しのもと、『住宅金融専門会社「住総」が、メイセー所有物件を、評価額の二倍...
《解 説》
一 Xは、東京都西多摩郡日の出町の主婦であって、同町内の廃棄物処分場の建設等に反対し、廃棄物処分場の建設差止めを求める訴えを提起するなどの住民運動を行っている者であるが、Yの平成七年度の町議会第二回定例会において、同町の町長が、Xの住民運動をオウム真理教の活動に喩え、日の出町民...
《解 説》
人身損害算定に関するいわゆる西原理論について正面から対決した下級審判決である。
一 事案は、午前八時二〇分頃千葉県船橋市内の交差点で起きた大型トラックと自転車との衝突事故で、自転車に乗っていた一八歳の高校三年の女子学生は、三日後死亡した。被害者にも優先道路横断に関する判断の誤...
《解 説》
一 本件はステロイド常用状態にあった気管支喘息患者の治療方法の当否が争われたもので、原審は神戸地判平3・11・29判時一四四六号一二一頁である。
かねて気管支喘息を患っていたA(当時二四歳)は、昭和六一年五月二八日深夜、その発作の治療のため、被告Yが運営する病院を受診し、翌二...
《解 説》
一 本件は、製薬会社であるA株式会社の株主であるXが、「A株式会社は、HIVに感染するおそれがあることを認識しながら、又は重大な過失により認識しないで、非加熱血液製剤を製造販売し、もって血友病患者約二〇〇〇名をHIVに感染させるとともに、そのうち約四〇〇名を死亡させた。その結果...
《解 説》
X1ないしX4、Y1、B、Cら七名はAの子であるが、Aが所有していたY2株式会社の株式三万六〇〇〇株をXらが七分の一宛相続したか、それともAの生前、Aがそのうち二万二〇〇〇株をY1に贈与したか否かが争いとなり、Xら四名はYらに対し、右株式の持分七分の一を有することの確認を求める...
《解 説》
一 旅行業法は、旅行業者の債務の引当てとするために、旅行業協会に、旅行業者から納付を受けた弁済業務保証金分担金を弁済業務保証金として供託させ、旅行業者との間で旅行業務によって取引をした者に、その供託金の還付請求を認めている。右供託金の還付を請求する者は、旅行業協会の認証を受けな...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
甲は、平成二年八月、抗告人から融資を受け、その所有する土地(以下「本件土地」という。)に一番根抵当権(極度額六〇〇〇万円)を設定した。甲は、同年九月、乙工務店と建物建築請負契約を締結し、同工務店は、本件土地上に建物(以下「本件建物」とい...
《解 説》
Aは、平成七年三月二日破産宣告を受けた後、同年四月一一日死亡した。Aの相続財産につき破産手続が続行され、同年九月一九日、破産廃止決定がなされ、右破産手続は終結した。Xら二名はAの子であるが、裁判所に破産免責を申し立てた。
原審は、「免責を受ける権利は一身専属的なものであって、...
《解 説》
一 本件は、つくば妻子殺害事件の控訴審判決である。事案の内容は、医師であった被告人が妻と結婚したものの、間もなく妻との結婚を後悔し、勤務先の看護婦等との浮気を繰り返したことなどから日頃妻との間に喧嘩が絶えず、別れ話も出ていたが、事件当日、妻と激しい口論となり、激昂の余り妻の首に...
《解 説》
本件は、現職の市長が、次期市長選挙の三ヶ月前に、当該選挙区内の各初盆家庭に対して初盆参りをするに際し、現金五〇〇〇円を「御仏前」として供与した行為について、公職にある者が当該選挙に関し寄附をしたとして公職選挙法一九九条の二第一項、二四九条の二第一項に該当するかが争われた事案の控...
《解 説》
1 抗告人東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合(以下「抗告人処分組合」という。)は、東京都下の二七の市と町によって設立され、ゴミの焼却灰等の埋立処分を行う第二次廃棄物処分場としての日の出町谷戸沢廃棄物広域処分場(以下「本件処分場」という。)を設置、運営しているものである。抗告人処...