最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、宗教法人オウム真理教に所属する被告人三名が、サリンを生成、発散させて不特定多数の者を殺害する目的で、教団代表者A及び教団所属の多数の者と共謀の上、サリン生成化学プラントを完成、作動させてサリンの生成を企て、殺人予備をしたという事案である。
本件では、殺人予備の共同...
《解 説》
一 Xは、滋賀空港建設阻止の運動を行っている滋賀県に居住する者であるが、平成六年五月、滋賀県公文書の公開等に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づき、Yに対し、「空港整備事務所の折衝費の明細・領収書等(平成五年度)」の公開を請求したが、本公文書が「公開することにより、当該...
《解 説》
一 Xらは、Yが施行する土地区画整理事業において仮換地指定処分を受けた者であるが、①本件施行地区の約六〇・二八パーセントが農地であるのに、Yは土地の価額に重点を置く比例評価式換地設計法を採用し、本件事業計画においては、農地の集合化等による環境保全に何ら配慮がされておらず、右のよ...
《解 説》
一 原告らは、東京都内又は広島市内で不動産業等を営む者であるが、大蔵省銀行局長が金融機関に対して行ったいわゆる不動産関連融資の総量規制及び被告日本銀行が平成元年五月以降数次にわたって実施した公定歩合の引上げにより、地価が下落したため損害を被ったとして、被告国に対し、主位的に国家...
《解 説》
Xは平成六年三月ころAに二〇〇万円を貸し付け、さらに追加貸付を申し込まれたため、同年四月五日にAから極度額を五〇〇万円とする根抵当権の設定を受け、同月六日に不動産登記簿謄本の交付を受けて抵当物件がA所有であることを確認したうえ四〇〇万円を追加して貸し付け、同日根抵当権設定の仮登...
《解 説》
学校法人Yは女子高を経営していたが、教職員らで構成する組合との間で団体交渉の対象及び事前折衝の要否等をめぐって紛争となり、組合は、煙突(紙製の円筒)の林立、リボン着用、ビラの掲示及び配付等を行い、ストライキを実施した。なお、組合員のデモ行進に生徒が参加するという場面もあった。Y...
《解 説》
一 Xは脳梗塞の後遺症のため、リハビリ目的での入退院を繰り返していた男性であり、新興宗教団体Aの信者らの誘いによりリハビリのためA付属医院に入院し治療を受けていたが、入院中にその所有する土地建物(賃貸アパート)を「お布施」としてAに贈与して所有権移転登記を経由し、その旨の公正証...
《解 説》
XはAに対し、認諾調書に基づき、八九〇万円の損害賠償請求権を有していたが、AにはBがYに対して有していた六七〇万円の準消費貸借契約に基づく債権のうち一〇〇万円の譲渡をBから受けた以外に見るべき資産がないとして債権者代位権に基づき、Yに対し一〇〇万円の支払いを求めた。これに対しY...
《解 説》
Xは、昭和五三年五月、Aとの間で、証書貸付などに関する継続的信用金庫取引契約を締結し、昭和五九年二月、Aの娘婿であるYとの間で、右継続的取引契約に基づいて発生するAの債務について、Yを連帯保証人とする、保証期間及び保証限度額の定めのない連帯保証契約を締結した。Xは、Aが平成六年...
《解 説》
Xの妻Aは、証券会社Yの社員Bの勧めによりXの名でワラント(外貨建て分離型)を購入したが、無価値となって損害を被った。Xは、右ワラント購入は、Xに無断でなされたものであり、そうでないとしても、Bがワラントの危険性について説明しなかったのは、債務不履行又は不法行為に当たると主張し...
《解 説》
本件は、フランスの銀行であるXが債務者をAとするローン・アグリーメントについてギャランティーをしたYに対し、ローン・アグリーメントから生じた利息金の支払いを請求した事件である。事案の概要はおよそ次のとおりである。
Yはパリにある本件建物を転売目的で購入することを計画しYらが出...
《解 説》
一 本件は、英語辞書の出版をするXが、X出版の学習用英和辞典二点について「日本でいちばん売れている『ライトハウス英和辞典』『新英和中辞典』はダメ辞書だ」というフレーズを掲げたY出版に係る書籍(判決中の「本書」)によってXの名誉及び信用を毀損されたとして、Y出版社及びその発行者、...
《解 説》
一 Yは、福島市において、地方紙「福島民友」を発行している新聞社であるが、昭和六〇年九月一八日紙面に、「大麻に狂った”乱脈“甲野」「女性を口説くエサ」「自宅に大量に隠す」との見出しのもとに、「警視庁特捜本部が、甲野がかなり以前から女性と知り合うきっかけに大麻を使ったり、自宅に大...
《解 説》
一 Xは、「①野鳥を中心とする自然環境の保護、②野鳥保護思想の普及教育、③野鳥に関する調査研究」を目的として設立された財団法人であるが、月刊誌「宝石」の昭和六三年三月号に掲載された「自然保護の美名の下でおしすすめる『日本野鳥の会』のあこぎな金集め」と題する記事によって名誉を毀損...
《解 説》
YはO県で発行される地方新聞であるところ、平成五年一二月二八日の夕刊に「前市長と施設局とが密約」などと題する記事を掲載し、U市のA前市長(X1の夫、X2らの父である)が防衛施設局との間でN軍港の移設受入れを密約していた旨報道した。Aは、同四年一二月二四日死亡していたので、Xらが...
《解 説》
本件は、個人投資家である原告から証券会社である被告に対し、ワラント取引の勧誘及びワラント買付方法が違法であるとして、不法行為、債務不履行及び目論見書不交付(証券取引法一五条二項)に基づく損害賠償を請求した事案である。
Xは、貸しビル業等を営む株式会社の代表取締役であり、複数の...
《解 説》
一 本件は、「当事者の主張」欄冒頭にも記載がある通り、産婦が出産直後に急死したことにつき、右産婦の相続人である夫X1らが、出産を担当した医師の監視義務違反、救急義務違反を主張して、損害賠償請求に及んだ事案である。
Aは、平成二年一二月一七日、出産のためにY医師が個人で運営する...
《解 説》
本件は、合名会社に対する債権者であるXが、もと合名会社の社員であったYらに対して会社債務の支払を請求したところ、Yらは、入社契約には錯誤があった等とその責任を争うとともに、仮に責任があっても、二年間が経過したから退社員の責任は消滅したと主張したのに対して、XはYらに錯誤等があっ...
《解 説》
一 本訴は、Xが、平成四年四月五日にYらとの間で、期間平成四年五月一日から四年間として、転貸目的でマンションの一括借上契約を締結したものの(いわゆるサブリース契約。また、賃料改定条項「賃料については、二年毎に、通常は四%の増加率とする。また、物価の変動、土地公租公課、その他経済...
《解 説》
本件は、「動物実験の廃止を求める会」の正当な代表者(事務局長。以下、同様)であると主張するAが同会を代表し、代表者を僣称しているとするBを相手に、Bが代表者の地位にないことの確認、同会の名称の使用禁止及び妨害禁止を求めた甲事件と、同会の正当な代表者であると主張するBが同会を代表...
《解 説》
Yは、平成五年三月、有限会社X1の出資口数三〇〇口のうち六〇口を有する社員であると主張し、X2に対しては取締役解任請求権に基づき、X3に対しては取締役選任決議の不存在確認請求権に基づき、X2及びX3を債務者とする職務執行停止・職務代行者選任仮処分を申し立てたところ、裁判所は仮処...
《解 説》
Xは、民宿を経営していたが、景気の後退や放漫経営のため赤字続きとなり、運転資金を金融業者から借り入れ、負債の額が増加していった。夫Aは、妻の借入の後始末のため勤務先の共済組合から借り入れたり、居宅等を担保に入れるなどしてXの債務の弁済に充てたが、Xはなおも無断でA名義での借入を...
《解 説》
一 本件は、警察官が来意を告げずに合鍵で被疑者方居室内に立ち入って行った捜索差押令状の執行が違法ではないとされた事例である。すなわち、本件において、警察官らは被疑者に対する覚せい剤取締法違反被疑事件について被疑者方居室を捜索場所とする捜索差押令状の発付を受けたが、その執行に当た...
《解 説》
一 事案の概要は次のとおりである。乙は司法書士法一四条に基づいて設立された法人であり、甲らはいずれも乙の会員たる司法書士である。
乙は、平成七年二月二五日に開催された臨時総会において、阪神大震災により被災した兵庫県の司法書士会・司法書士の復興を支援するため、阪神大震災救援司法...
《解 説》
一 Xらは、中部電力株式会社の株主であるが、中部電力が平成五年一二月、芦浜原子力発電所建設に関し地元漁業協同組合に対し二億円を違法に支出したことにより同会社に損害を与えたなどと主張し、中部電力の取締役Yらを相手どり、損害賠償を追及して代表訴訟を提起した。
右代表訴訟において、...