最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。乙は、昭五三年法律第八二号による改正前の税理士法(以下、法という。)四九条に基づいて、熊本国税局の管轄する熊本、大分、宮崎及び鹿児島の四県の各税理士を構成員として設立された法人で、日本税理士会連合会の会員である。甲は、乙の会員である税理士...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。弁護士であるXは、知人から、Xとその妻であった女優Aとの離婚問題に言及した放送事業者Y放送のテレビ番組(本件放送・平成五年一〇月四日放送)が、XがA及びその母親に対して暴力を振るったかのような印象を視聴者に与える放送をしたことを聞き、本...
《解 説》
一 本件は、定年年齢の引下げ、退職金支給率の引下げ等を内容とする労働協約が締結され、これと同内容の就業規則の変更がされた場合において、労働協約の一般的拘束力又は就業規則の変更により、未組織労働者の労働条件が不利益に変更されるか否かが主たる争点となった労働事件である。
本件の事...
《解 説》
一 甲は、丙の子会社であるが、乙に対して、昭和六〇年一〇月一五日から昭和六一年二月一三日までの給油代金債権として、一二八万円余の債権(A債権)を有していた。また、乙は、丙に対して、昭和六一年二月二一日から同年三月二〇日までの作業代金債権として、二四一万円余の債権(B債権)を有し...
《解 説》
一 事実関係は、判決文を参照されたい。原告(上告人・附帯被上告人)は、被告(被上告人・附帯上告人)のした本件仮差押命令及びその執行の申立て等が不法行為に当たり、原告は右不法行為により本件建物の転売契約を履行できなくなり、その結果一億一六六九万円(転売利益八四七九万円、違約金三〇...
《解 説》
一 事実関係は判決文を参照されたい。本件は、仮差押命令及びその執行の申立てが不法行為に当たる場合において、仮差押解放金を借入金及び自己資金によって調達したときの、① 七・七五~九・二五%の割合による借入金の金利相当額、② 自己資金に係る民事法定利率相当額が、民法四一六条一項の通...
《解 説》
一 本件は、昭和四九年九月に虫垂炎に罹患した少年X1(当時七歳五か月)がY1病院で虫垂切除手術を受けたところ、手術中に心停止に陥り、蘇生はしたものの重大な脳機能低下症の後遺症が残ったことについて、X1とその両親X2、X3がY1病院と手術を担当した医師Y2、救命蘇生措置にかかわっ...
《解 説》
平成五年四月一八日執行された石川県珠洲市長選挙においては、開票結果の発表が二回にわたり変更され、無効投票を含む投票総数が投票者数を上回ったことから混乱が生じた。選挙人Xらは市選管に異議申し出をしたが、棄却され、県選管に審査申立てをしたところ、申立てを一部却下、一部棄却する裁決が...
《解 説》
一 訴外AとBは、昭和六三年三月三〇日、県道である「大津信楽線」の上田上牧町付近を自動車で走行中、道路脇の山の斜面の花崗岩とマサ土の土塊が崩壊し、大量の土砂や岩石が道路に流出して、右自動車を直撃したため、同日、死亡するに至った。
そこで、AとBの遺族であるXは、右県道の設置管...
《解 説》
一 Xは、日本の先進的知識・技術を学ぶために来日した中華民国の私費留学生であるが、平成五年六月八日、アルバイトとして、飲食店の看板を歌舞伎町内の道路標識柱に取り付けていたところ、新宿警察署の警察官から質問され、外国人登録証を所持していなかったため、歌舞伎町派出所に連行され、取調...
《解 説》
一 本件は、赤穂市の住民が、同市の水道事業において、同市水道事業給水条例に規定されている大口需要者に対する特定事業者開発負担金の賦課徴収が怠られているとして、事業管理者である同市長につき、不作為の違法確認を求めた住民訴訟である。
二 第一審神戸地方裁判所は、負担金の一部につい...
《解 説》
一 Xは、平成元年一二月、Yの依頼により、木造二階建住宅の建築のうち木工事を施工することになり、平成二年二月、右建築工事現場一階屋根の上において、一階屋根の垂木に破風板を打ち付ける作業に従事していた際、約三メートル下の地面に墜落し、背髄損傷の傷害を受け、両下肢麻痺、知覚脱失等の...
《解 説》
Yは、本件マンションの分譲をした業者であり、マンション敷地につき、登記簿上、一万分の九〇の共有持分を有し、地上に平家建ての駐車場(屋上も利用)を所有して賃貸している。Xは、本件マンションの管理組合の理事長であり、管理組合の総会決議により訴訟追行権者に選任された者であるが、Yに対...
《解 説》
Xの父Aは、昭和三〇年一月五日、Yの兄Bに対し本件土地(東京都の二三区内にある)を建物所有の目的で期間を同五〇年一月末日までの約で賃貸した。Xは同三七年五月Aを相続し、他方、Bの借地権は同三八年一月にYに承継された。右賃貸借契約は、期間終了前の同四八年七月五日合意更新され、期間...
《解 説》
本件は、分譲住宅内に設置する階段昇降補助装置(以下、「本件装置」という。)四基の製作販売契約(以下、「本件契約」という。)が中途解約されたことから、受注者である原告が、発注者である被告に対し、本件契約が解約されるまでに、本件装置の製作のために費やした部品購入費及び加工賃等の填補...
《解 説》
Yは、平成四年秋、国際幼稚舎の名の下に園児を募集したが、その際、①外国人講師五名を置き、自然に英語に親しめるようにする、②通園バスの中にも外国人講師が乗り、英語で会話する、③午前中は、大学卒で保育者の資格を有する先生が高いレベルの教育をする、④午後の専門コースは、能力開発、英会...
《解 説》
Xは、インテリアガラスの製造販売について希望者と代理店契約を締結し、製造用の機械・材料等の販売や技術供与を行っている会社であるが、代理店契約を締結したAから、平成三年一二月、販売した機械等についてクレームを付けられるようになり、平成四年三月には、詐欺ないし不法行為を理由として売...
《解 説》
Xは、昭和六二年ころから証券取引を始めた者であるが、平成元年から、Yの従業員の勧誘により二〇回以上にわたって株式、投資信託、転換社債を購入したところ、その勧誘には違法性があり、これによりXは購入代金合計約四億五〇〇〇万円を支払わせられ、同額の損害を被ったとして、民法七一五条によ...
《解 説》
XはY医大付属病院眼科の患者が使用する眼内レンズを納入し、見返りに同病院が必要とする器械器具類を無償で提供していたが、平成三年六月に眼内レンズの納入を拒絶された。XはYに対し、①顕微鏡の売掛金九八八万円余の支払いを求めたほか、②眼内レンズの割戻金と器械器具類の代金と相殺する合意...
《解 説》
A、B、Cの三名は、北海道をレンタカーで旅行する計画を立て、Cがレンタカー会社Xに予約申込みを行った。Xは、Y保険会社との間で自賠責保険契約、D社との間で任意保険契約を締結していた。Aらは、約一か月後Xの事務所に現れ、Bが契約書に運転者及び借受人として署名した。北海道旅行中、レ...
《解 説》
一 本件は同族会社の代表者の次男で、右会社の従業員として稼働し、弱冠二五歳で、八二〇万円の年収を得ていた者の死亡交通事故に関し、その逸失利益の算定の基礎収入を巡って争われた事案である。原告は右収入は被害者の働きに応じたものであるから、その全額を算定の基礎とすべきであると主張し、...
《解 説》
一 訴外Aは、平成二年一一月、助手席にXを、後部座席に訴外Bを乗せ、普通乗用車を運転して、千葉県市原市内の道路を走行中、右自動車を歩道上の街路樹に衝突させて炎上させ、自らは焼死するとともに、Xに対し全身熱傷の傷害を負わせた。
そこで、Xは、死亡した運転者Aの相続人であるY1と...
《解 説》
一 本件は、子宮筋腫手術の際の手技が争われた事例である。
昭和六三年七月、Xは五〇代半ばであったが、子宮筋腫のため、Y1病院で、Y2医師の執刀により子宮全摘及び右卵巣摘出の手術を受けた。しかし、その後Xには腹部に引っ張られるような痛みが生じ、翌年二月頃からは排尿時に激痛が生じ...
《解 説》
Aは、心筋梗塞を原因とする心のう血腫により死亡したものであるが、死亡の前夜と当日、胸痛を訴えてYの設置する病院で診察を受けていた。本件は、Y病院の担当医師がAの死亡前夜にAの不安定狭心症を肋間神経痛の疑いと誤診して狭心症を悪化させる鎮痛剤を投与したこと、Aの死亡当日に必要な検査...
《解 説》
1 事案の概要は以下の通りである。
昭和六二年六月、当時大学生であったXは、側腹痛等でYが運営する病院を受診・入院した。Y病院の担当医は、多発性嚢胞腎及び嚢胞感染を疑い、感染対策として抗生物質の点滴を開始した。しかし、高熱、嘔吐が続くなどXの症状は好転せず、一〇日後のCT検査...
《解 説》
一 本件は、フランチャイズシステムによるコンビニエンスストアの経営・委託等を事業目的とする株式会社ニコマートの株主であると主張する原告らが、同社の取締役・前取締役である被告らに対し、被告らが会社の事業に属さない不動産投機に乗り出し、会社に一〇〇億円を超える損害を与えたとして、そ...
《解 説》
一 本件は、Xが、Yに対して、主位的に、XY間の建物(店舗居宅)賃貸借契約が合意により期間満了と同時に終了したことの確認を求めるとともに、不法占有に基づく賃料相当の倍額の損害賠償を請求し、予備的に、本件賃貸借契約が継続していることを前提として約四か月間の賃料及び遅延損害金を請求...
《解 説》
一 本件は、Xが破産者に対する貸付を行ったが、破産者が右貸付に対する担保提供を約束しながら、無価値な担保を提供したり、担保をXに無断で処分したりする等の担保毀滅行為を行ったため、Xに貸金相当金額の損害が生じたとして、破産者の右担保毀滅行為を内容とする不法行為を原因とする損害賠償...
《解 説》
一 本件は、被告人が妻と被害者の不倫の現場を押さえたことから、憤激の余り、現場付近にあった文化包丁で被害者の左側胸部を突き刺して殺害したという事案において、犯行後の被告人の捜査機関に対する言動が自首に当たるかどうかが争われた事例である。
すなわち、被告人は、犯行直後自首を決意...
《解 説》
一 事案の内容は、医師であった被告人が、妻と結婚したものの、まもなく妻との結婚を後悔し、勤務先の看護婦等との浮気を繰り返したため、浮気を責める妻との間で喧嘩が繰り返されることとなり、被告人も、妻の主婦や母親としての態度等に不満を抱いていたため、その不満を妻にぶつけ、妻は被告人に...
《解 説》
一 被告人甲と被害者Xは、いずれも乙大学医学部動物実験施設に勤務する者であるが、長年にわたって反目しあう犬猿の仲であった。Xは平成二年一二月中旬神経障害、不眠等のため入院し、翌三年二月一四日にタリウム中毒で死亡した。その後、Xにタリウムを飲用させた者として酢酸タリウム水溶液を普...
《解 説》
本件は、普通乗用自動車のいわゆる放置駐車違反の事案で、駐車行為そのものについては争いがなく、その駐車行為が道路交通法一一九条の二にいう「車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為」に当たるかどうかが争われたものである。
道路交通法二条一項一八号は、「駐車」の意義を...