最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、被告が男子従業員に対してはそれぞれその実年齢に対応した給与表に基づく本人給を支払っているのに、原告らに対しては実年齢より低い二五歳又は二六歳相当の本人給で据え置いてきたのは、原告らが女子であることを理由に男女差別をしたものであるとして、賃金請求権又は不法行為による損...
《解 説》
本件は、平成五年七月一八日に行われた第四〇回衆議院議員総選挙について、東京、神奈川、千葉、埼玉の有権者であった原告らが、平成四年に改正された公選法の議員定数配分規定が選挙権の平等を保障した憲法の規定に違反するとして、それぞれの都県選挙管理委員会を被告に選挙の無効確認を求める訴訟...
《解 説》
一 本判決は、平成四年七月二六日に行われた参議院議員選挙の東京都選挙区選出議員の選挙に関して、定数配分を定めた公職選挙法一四条、別表第二の規定について、本件選挙当時の各選挙区間の議員一人当たりの選挙人の最大較差(以下単に「最大較差」という)が六・五九倍あり、いわゆる逆転選挙区が...
《解 説》
一 本件は、群馬県の赤城山麓を流れる一級河川鏑木川(利根川の第三次支川、流路延長約一三・四キロメートル)に架けられた鏑木橋(橋桁の長さ約五・六メートル、橋の幅約五・九メートル)が昭和六二年七月一四日に発生した集中豪雨により上流の杉立木が倒れて流れ、橋の台又はその付近に引っ掛かっ...
《解 説》
一 本件土地を相続により取得したと主張する原告が、その地上建物(本件建物)の共有者らに対して建物の収去と土地明渡し等を請求した事案。すなわち、本件土地は昭和二二年五月ころ原告の妻であるAが(婚姻前)売買によって取得し(争いがあったが、一、二審ともこれを認めた)、また、本件建物は...
《解 説》
一 原告両名は、中華民国(台湾)の国籍を有するAと日本人である母Bとの間に生まれた子であるが、昭和五三年五月三一日Aが死亡したことにより、本件不動産につき各一六分の一の持分を相続した。Bは原告らの親権者として右相続に係る持分の全部を被告に売り渡し(本件売買)、その旨の登記がされ...
《解 説》
一 A町の町長であるY1は、町の遺族会に補助金を支出したり、右遺族会の靖国神社参拝旅行に町の職員Y2ないしY7を同行させて旅費等を支給した。A町の住民であるXは、Y1の右行為が憲法二〇条一項・三項、八九条に違反するとして、Y1に対して右支出に係る補助金の、Y2ないしY7に対して...
《解 説》
一 被告(摂津市)は、都市再開発法に基づく第一種市街地再開発事業を施行し、施行地区内に土地の共有持分権(従前資産)を有する原告らについてその価額をそれぞれ約二億〇七九六万円と定め、権利変換期日後に新築される施設建築物の一部及び敷地の共有持分権をそれぞれ新資産として与えると定め、...
《解 説》
一 X1、X2の子Aは、小学校六年生であったが、翌日に予定されていたマラソン大会のため、担任教諭らの指導の下、校庭(一周二〇〇メートル)を二周した後、学校の周囲を走るという合同練習(全長約二〇五〇メートル)をしていたところ、ゴールの手前約八〇メートルの地点で突然倒れ、急性心不全...
《解 説》
一 一般廃棄物並びに産業廃棄物の収集及び処理等を業とするXは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律七条一項(平成三年法九五条による改正前のもの)並びに浄化槽法三五条一項に基づき、Y1市の市長Y2に対して一般廃棄物処理業及び浄化槽清掃業許可の申請をしたが、右申請書の様式がA市における...
《解 説》
一 食料品の小売業を営むXの所得税につき、税務署長Yは、取引先を反面調査することにより把握した売上原価に同業者の売上原価率及び算出所得率を乗じて算出所得金額を推計し、実額で把握した雇人費等を控除して事業所得金額を算出して更正処分をした。本件は、Xが推計課税の必要性、合理性を争い...
《解 説》
一 本件は、不動産を共有しているX1X2X3が、右不動産の各持分につき根抵当権設定登記等を有する担保債権者Yに対して、被担保債権の時効消滅等を理由に右登記等の抹消登記手続を求めた事案である。右根抵当権設定登記がなされた経緯は、次のとおりである。Yは、昭和四八年一〇月二九日、X1...
《解 説》
一 本件は、Xの購入したY製造・販売の自転車のハンドルが乗車中に二回にわたって折れてXが道路上に転倒したことについて、Xが、ハンドルが折れた箇所は二回ともほぼ同一で、二回目に折れた原因は疲労破壊であるとし、Yの検査及び品質管理に義務違反があったとして不法行為に基づいて、ハンドル...
《解 説》
Xら五二四名は幸福の科学の信者であるが、Y1(代表者Y2)が発行し、Y3ないしY5が編集し、Y6、Y7が執筆した週刊誌及び月刊誌に宗教法人「幸福の科学」及びその代表役員である大川隆法の名誉を毀損する記事を掲載され、これによりXらも名誉を毀損され、宗教上の人格権を侵害されたと主張...
《解 説》
一 本件交通事故は、信号に従い交差点において停止していたバイクのX(当時少年)が、パトカーに追跡され、後方から走行してきたY1(当時少年)運転のバイクを避けきれずに衝突したものである。
Xは、Y1に対し自賠法三条に基づき、またY1の両親Y2Y3に対し重畳的債務引受を理由に、受...
《解 説》
本件は、縁石で区切られた歩道内を歩行していた被害者Aが、暴走してきた加害者Y1運転の自動車に跳ねられて死亡したというもので、Aの両親及び妹であるXらが、右Y1及び右加害車輛の運転供用者Y2に対し、損害賠償を請求した事案である。
本判決は、Aの逸失利益の算定について、Aは死亡当...
《解 説》
X1は、昭和六二年一二月二三日、外陰部に生じた尖圭コンジローマ(本件疾患)という腫瘍の治療を受けるために、医療法人Y1が経営する病院に来院し、医師Y2がその主治医となった。Y2は、昭和六三年一月五日X1を入院させ、同月六日本件疾患に対し電気焼灼、冷凍療法による手術を施行、同月九...
《解 説》
Xは、京大理学部における脳波の解析、神経回路網の解析等の研究者であり、Yは、京大理学部助教授である(いずれも当時)。X、Yは、他の者と共同で、脳波の実験的及び理論的解析に関する研究を続け、昭和四七年から昭和五五年まで、種々の研究論文の公表や学会発表を行ってきた。
他方、Yは、...
《解 説》
本件は、Xがその製品の形態が不正競争防止法一条一項一号の周知商品表示にあたるとして、Yらに対し、Yらの製品の製造販売の差止を求めた事案である。Xの製品は、プラスチック製の折りたたみ式物納運搬用容器であり、化粧品、自動車その他の分野の製品の配送、工場内の製品の仕分け等に使用される...
9 ロ免責不許可事由の存在を認めながら、抗告審係属後に破産者の親族の資金で債権者らに一部弁済をしていることなどを理由として、原決定を取り消して裁量により免責を許可した二つの事例
((1)事件仙台高裁平5・2・9決定)
((2)仙台高裁平5・3・19決定)
《解 説》
本件は、被告人が最大積載量を約四倍をも超える山砂を満載した大型貨物自動車を運転してJR踏切に差し掛った際、踏切の直前に停止することができなかったため、折からJR電車が踏切に接近して来ることを認識しながら、JR電車の前に踏切を通過しようと考え、遮断機を突っ切って踏切内に進入した結...
《解 説》
一 事故の概要
北海道旅客鉄道株式会社(以下「JR北海道」という。)函館本線の踏切自動警報器の警報灯の取替工事が行われた際、被告人は、自動警報器の支持柱に設置されている踏切支障報知装置等の非常装置の作動を停止させ、列車見張員Aを配置して、作業員Bに補助させながら脚立の上で警報...
《解 説》
本件は、日本語や地理に通じておらず特段の所持金も持ち合わせていない外国人女性に、その旅券等を預かり、バーでホステス兼売春婦として働き借金返済の名目で金員を支払うことを約束させ、就労先のバーのママの住居に居住させるなどして、右女性をホステス兼売春婦として雇主に引き渡し、その返済が...
《解 説》
本判決は、すでに公判期日において証人として尋問を受けた者が検察官の取調を受けて証言と異なる供述をしその旨の供述調書が作成された後、改めて証人として喚問されていたところ証言前に死亡したという事案において、右調書に刑訴法三二一条一項二号前段を適用することができるとしたものである。
...
《解 説》
本件は、被告人が深夜普通貨物自動車を運転中、前方不注視の過失により、対向してきた被害者運転の自転車と正面衝突し、被害者を死亡させたとして公判請求された業務上過失致死の事案である。
本判決までの経過は判決理由の冒頭に詳しく記されているが、その概要は次のとおりである。
すなわち...
《解 説》
本件は、外務大臣がXには昭和五七年から朝鮮民主主義人民共和国の工作員と認められる人物と海外において接触し、その指示に従って情報収集活動をしていた等の事実があるとして、旅券法一三条一項五号(いわゆる国益公安条項)に基づき、発給ずみの一般旅券(数次往復用)の返納を命じたのに対し、X...