最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 キノホルムとスモンの因果関係が認められた事例 2 厚生大臣の医薬品審査義務の意義・内容 3 スモンの予見可能性があったとされた事例 4 厚生大臣のキノホルム剤製造許可等に過失があったとされた事例 5 製薬会社の医薬品安全性確保義務の意義と事例 6 慰藉料の算定にあたって財産上の損害を請求する意思のないことをも斟酌した事例 7 キノホルム剤によるスモン被害につき、国と製薬会社の責任を共同不法行為であるとした事例
営業につき他人からその名義の使用を許された者が営業活動上惹起された交通事故に基づく損害賠償義務者であることを前提として被害者との間で示談契約を締結した場合に商法23条の適用が否定された事例
先順位の担保権が設定されている不動産が譲渡担保の目的とされた場合において、譲渡担保権者が右先順位の担保権の被担保債権を弁済した場合における右債権に対する譲渡担保権者の償還請求権の有無(消極)
債権者が債務者から弁済充当の同意を得て取立委任を受けた第三債務者に対する債権の取立が時効完成後になされた場合における時効利益放棄の成否(消極)
借地上の建物の賃借人の建物の増築部分につき既存建物との附合を否定し、無断転貸を理由とする借地契約の解除が認められた事例
1 カトリック教会の司祭の地位確認の訴と法律上の争訟性の存否(消極) 2 宗教法人であるカトリック司教区の設置する特定教会の主任司祭の地位確認の訴と法律上の争訟性および確認の利益の存否(積極)
スポンサーの圧力によりテレビ局が公害番組の放送を中止した新聞の見出しがテレビ局の名誉を毀損する不法行為を構成するとし謝罪広告の掲載を命じた事例
任意競売事件において競落許可決定確定後に記録添付がなされたが、代金納付前に先行事件の基本たる抵当債務が弁済により消滅した場合と、競落人に対抗し得る賃借権
任意競売手続において代金支払期日が定められた場合、共同競落人の1人に対して代金支払期日の呼出をすることなく、適法に呼出された競落人だけが代金の支払を履行しないとして、再競売手続をなすことの適否(違法)
手形金の支払を命ずる仮執行宣言は支払命令の送達後に原因関係の消滅時効が完成した場合と右支払命令に対する請求異議の許否(否定)
1 共有者の内部関係において共有分の分割が完了している場合、その登記なくして第三者に対抗できるか(消極) 2 共有地の賃貸借の解除は共有者全員がなすことを要するか(消極)
被担保債権の範囲が保証取引による債権と表示されている根抵当権の設定前に成立していた貸金債権に被担保債権資格があるとされた事例
抵当権者は抵当目的物件である土地の譲受人がその地上に建物を建築することの禁止を求める仮処分を求めることができないとされた事例
発明の完成・未完成について判断した二つの事例 (A) 発明としての技術内容が不十分な出願について特許法36条4項・5項違反を根拠として拒絶するならばともかく、発明未完成という拒絶理由は特許法上の根拠を欠き、これをもって特許出願を拒絶することは違法である。 (B)1 優先権を主張するためには、優先権の基礎となる同盟国出願の発明がわが国出願の発明と同一性を有しなければならない。 2 同盟国出願の発明が完成しているかどうか、具体的に開示されているかどうかを審査することは、優先権の前提となる事実確認の事柄で、国内法によるべきである。 3 科学の分野では、類似化合物の発明のような場合を除き、一般的には、実施例またはそれに代る資料によって、化学反応の実在を裏付け、作用効果を確認しなければ、発明未完成か、開示不十分とする外ない。 4 特許法は、その性質上、特許権附与の要件として、当然、発明が完成されていることを前提としている。 5 優先権の基礎となる同盟国出願に対する審査としては、補正等の手段が許されないので、発明未完成か、開示不十分か明かでないときは、未完成発明としても誤りではない。
品質誤認の恐れがある商標と判断した審決を取消した事例と維持した二つの事例 (A) 商標「ハイチオール」は、外観・称呼上一体のものとするのが自然であり、その一部に含まれる「チオール」が化学用語であるとしても、極めて専門的なものに属し、ことさらその部分を分離して化学物質の観念を想起することも殆んどないとみられるから、品質のみを表わすものとも品質の誤認を生じさせる恐れもなく、商品の出所表示力・識別力に欠けるところはない(審決取消) (B) 商標「エビスロッド」は、その後半部「ロッド」が近時釣り具業界・釣り愛好家の間で、釣竿を意味する外来語として広く使用され、釣り竿の種類を表わす複合語の一部に用いられる場合も少なくないし、また前半部「エビス」を結合することによりその意味を失うことはないから、釣り竿以外の釣り具に使用すると釣り竿であるかのように商品の品質誤認の恐れがあり、登録適格に欠ける(審決維持)
特許を受ける権利共有者からする共同出願の場合における、審判請求の要件およびその補正の可否、ならびに訴訟での原告適格について判示した事例
商標権者の行為が商標法2条の使用に当らないとした上、商標不使用の事実を認定して不使用に基づく登録取消請求を斥けた審決を取消した事例
商標の類似を認定した二つの事例 (A) 商標「パインタイガー」からは、「タイガー(虎)」の称呼・観念をも生ずるから、「タイガー(虎)」の称呼・観念を生ずる各引用商標と類似するものとして、その登録を無効と判断した審決に誤りはない。 (B) 商標「シュシュ」と引用商標「ジュジュ」とは、近似した音節が語調を同じくする畳音の形態で繰返される二音節の称呼を生ずるので類似しており、非類似とした審決の判断は誤っている。
業務の委託を受けた会社が争議中のため委託会社みずからその委託業務を遂行中に、委託会社の社員が争議中の受託会社の労組を支援して委託会社の右業務を妨害した場合における右社員の委託会社就業規則上の責任
右折車の運転者に直進対向車が指定最高速度を時速10ないし20キロメートル程度超過して走行していることを予測すべき注意義務があるとされた事例