最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 違法な捜査起訴維持控訴申立による損害賠償請求権の消滅時効の起算点を刑事判決確定時とした事例 2 捜査起訴控訴申立等の違法有責性の判断基準を示した事例 3 鑑定書に対する検察官の価値判断を違法とする基準を示した事例 4 検察官が公訴取消無罪の論告をしないことが違法とされる基準を示した事例 5 血液型鑑定の違法性の判断基準を示した事例 6 違法鑑定と起訴により生じた損害との間に予見可能性なしとした事例 7 検察官の控訴申立が違法有責とされた事例
1 安田講堂占拠の違法性 2 加藤東大総長代行の退去要求の適法性 3 催涙ガスの使用の適法性 4 東大斗争の行為に超法規的違法性阻却事由があるか
無期限出向を命ぜられた工員が、会社のこの点についての措置を非難する文書を同僚に郵送したことは、就業規則に定める虚偽事項の申述等にあたらないとして出勤停止3日の懲戒処分は効力を生じないと判定し、会社に2万円の慰藉料の支払いを命じた事例
賃貸家屋の一部の無断転貸を理由に賃貸借契約が解除されたのちに右家屋を譲り受けた転借人の賃借人に対する明渡請求が許れないとされた事例
1 取締役でないのに取締役就任登記を承諾した者と商法14条の類推適用 2 商法14条の類推適用により取締役でないことを対抗できない登記簿上の取締役と同法266条の3所定の取締役としての責任
1 賃料の取立払の約定に基づく賃貸人の取立があったにも拘らず賃料支払を怠った賃借人の義務 2 賃料取立の約定に基づく賃貸人の取立があったにも拘らず賃借人が賃料の支払を怠ったため賃貸人がした催告の効力
1 抵当権実行による競売の無効により競落人が目的不動産の所有権を取得できない場合における競落人の代金配当受領者に対する不当利得の成否 2 右の場合に代金配当受領者が悪意の受益者となる時期
1 民法714条と失火ノ責任ニ関スル法律との関係 2 履行代用者の不法行為に基づく賃借家屋の損害と履行者本人(賃借人)の債務不履行責任との関係
被用者が使用者に無断で同乗を許した第三者(元被用者)に運転業務を委ね業務執行中、第三者の過失により他車と衝突し物損事故を起した場合につき、右使用者の使用者責任を認めた事例
時を異にする二重の頭部外傷事故につき、第1事故によって生じたと認められるものに限って相当因果関係を否定すべしとし、第2事故による損害のうち1割を控除した事例
1 ニューヨーク州法上のパートナーシップの当事者能力を民訴法46条にもとづき判定した事例 2 右パートナーシップの代表権の有無をニューヨーク州法によって判定した事例
1 株主総会決議無効確認の訴の被告適格者 2 株主総会決議無効確認の訴の請求棄却判決の効力 3 会社は、株主総会決議無効確認の訴の原告適格者であるか 4 財団法人は、評議員会決議・理事会決議の無効確認の訴の原告適格者であるか
1 解雇予告除外認定拒否処分は、抗告訴訟の対象となる行政処分か 2 使用者が、解雇予告手当を提供した上、解雇の意思表示をした場合、解雇予告除外認定拒否処分取消の訴の利益
1 歩道の設置決定に対する執行停止の申立が却下された事例 2 道路の西側に歩道設置による東側営業者の売上減少は、行政事件訴訟法25条2項にいう「回復の困難な損害」に該当するか
1 期間を3ヵ月とする臨時雇契約の効力、及び臨時雇の期間満了時において、上司が社員見習試用登用申請をなし、理事会の決裁を得て社員見習試用に採用する従業員の採用方法の解釈 2 学歴を詐称して入社した者、社員見習試用として採用しなかったことが相当であるとされた事例 3 約50日分6、7万円の賃金仮払の必要性なしとされた事例
労働組合の上部団体に対する争議中の生活資金の領収書に記載された「万一労働組合を裏切る行為をなした場合は、直ちに返還することを確約します。」旨の文言の解釈
国労出身候補者の参議院議員選挙における選挙運動支援のための政治昂揚臨時徴収組合費の徴収決議は、組合員の政治的信条の自由に牴触するから、これにもとづく組合費請求は許されないと判断した事例
1 交通整理の行なわれていない左右の見とおしのきかない交差点で、幅員が明らかに広い道路を通行する車両運転者の徐行義務 2 証人尋問調書の記載要件を欠いている場合の右調書の効力
自動車事故の被害者の死亡が、負傷の治療に当った医師の医療上の過誤による場合であっても、被告人の過失と被害者の死亡との間に因果関係があるとされた事例
1 被疑者がすでに20日間勾留を受けている場合において、同一事実につき再勾留することの適否 2 A・B両被疑事実について勾留請求がなされ、A事実のみについて勾留状が発せられた場合、検察官は準抗告できるか
1 私立大学の経営管理と教授会の自治との関係 ガードマンの雇傭の権限 2 大学における学生の自治の範囲 3 学長等の監禁が実質的違法性を欠くとものとして無罪とされた事例
有体動産の仮差押の場合、債権者の承諾がなく、差押物件の運搬に重大な困難もない場合にまで債務者に保管を任すことができるか
1 不動産の任意競売において一括競売を命じうる場合 2 不動産の任意競売において個別競売を相当とすると判定された事例
立退料の額の決定を裁判所に委ねたものと解し、申立額以上の立退料の支払を条件として正当事由にもとづく家屋賃貸借契約の解約が認められた事例
妻が内縁関係を不当破棄した後、夫に無断でその居宅に侵入し、自己の所有物を実家に持ち帰った場合において、住居侵入、窃盗を原因とする夫の慰藉料請求につき、精神的損害の発生を否定した事例
賃貸建物につき賃貸人の修繕義務の有無に争いがある場合、修繕義務があることを理由とする賃借人の賃料不払を契約当事者間における信頼関係を破壊する行為とはいえないとして、右賃料不払を理由とする契約解除の効力を否定した事例
夜間赤信号を無視して横断歩道付近を走り出した歩行者と接触した自動車の運転者に過失を認め、その過失割合を歩行者90パーセント、運転者10パーセントとした事例
死亡時19才の独身男子の得べかりし利益を算定するにあたって、本人および将来結婚した場合における妻子の生活費を含めた世帯生活費を本人の必要生活費として収入金額から控除すべきであるとして、収入の73パーセントを控除した事例
段ボールの製造・販売を業とする会社が、無免許運転業者に段ボールの運送を委託し(その業務の殆んどが同社からの委託業務)、車体に同社の名称を表示させていた場合に、右会社に運行供用者責任と使用者責任を認めた事例
1 勤務1年後に交通事故で死亡した満20才の公社職員の得べかりし利益を賃金センサスに基いて算出し、公社に勤務を続けることを前提として昇給、退職金を考慮すべきではないとした事例 2 公社が支払った葬儀費用のうち、職員業務災害補償規則により支払うべき金額は民法422条の類推で、それを超える分は民法702条で加害者に請求できるとした事例
婚姻関係が破綻状態にある夫甲が勝手に妻乙名義を用いて未成年の子丙との間で夫婦共同養子縁組をし、その届出が受理された以上、乙と丙との間の養子縁組が無効となっても、甲と丙との間の養子縁組までが無効となるものではないとされた事例
株式会社の代表取締役の職務停止ならびに代行者選任の仮処分決定後に、会社が取締役の任期満了を理由に順次甲・乙・丙の株主総会を開催し、取締役の選任ないし再任決議をし、選任せられた取締役において取締役会を開催し、右代行者を代表取締役に選任しているときは、右決議取消の訴がけい属中であっても、右仮処分決定後に事情の変更があったものとして、右仮処分決定を取り消した事例
1 右上腹部の腫瘤と保険契約における告知義務 2 保険会社が保険契約当時右事実を知らなかったことが保険会社の診査医の過失によるものでないとされた事例
出入国管理令第24条第1号に基く退去強制処分の執行停止申立が、回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があるときに該当し、かつ、本案について理由がないとみえるときに該当しないとして、認容された事例
刑の執行猶予期間の経過により計理士としての資格を回復した者は法定の期間経過後であっても計理士の登録を受け公認会計士の特例試験の受験資格を有することになるか
労働協約に従っての賃金請求中、そのいわゆる査定部分につき使用者の査定がなくても、受くべかりし査定額を詳細に認定した事例
「研削寸度表示装置」、に関する特許出願について、拒絶理由である第二引用例では不可能な左右摺動を本願発明は可能とした点から、拒絶相当とした判断を誤りとした事例
かすづけ肉などを指定商品とする「有明漬」という商標登録出願について、商品の産地を表示する商標であることを理由として、登録拒絶を相当とした事例
「合成ゴムと天然ゴムとの配合物の製法」に関する特許出願について、この配合物が二成分の性質の平均より優れた性質のものであるとの出願人の主張が排斥され、拒絶相当とした事例
「香気を発散する感圧粘着テープ」の実用新案登録について、事務用品と医療用ばんそうこうとの相違には格段の考案を要しないし、紙、、インク等に香気を発散する例もあり、拒絶審決相当とした事例
「細分された酸化物の製法」に関する特許出願について、引用例の方法に比して、格別顕著な作用効果ありとし拒絶審決を取り消した事例
「強化ポリエステル樹脂の成型法」に関する特許出願について、引例の記載から、セロハンの乾燥による収縮力を利用する技術と結びつけて容易に推考できるとして、拒絶審決を是認した事例
建築材料を指定材料とする「ダイヤユニカワックス」という商標登録出願について、既登録の「ダイヤ」と称呼観念を共通にするとして拒絶審決を是認した事例
「連続式動力掘さく機」に関する特許出願について、シャベルとアームとの協働作用が周知の構成であるから、コンベヤ枠体にアームの役割を負わせることは容易に考えられるとして拒絶審決を是認した事例
「チューブマット」の実用新案権に基づく差止請求において、イ号物件が、実用新案に係る物品の製造にのみ使用する物に該当しないとされた事例
債権の取立に際し共謀の上若干の恐喝手段を用いた場合において、債権者については右手段が未だ社会通念上一般に受忍すべき程度を逸脱したものとは認められないとして無罪を言渡した事例
自動車運転による過失致死事件において事故の惹起については第三者にも重大な過失ありとして一審の実刑判決を破棄し、執行猶予を言い渡した事例
業務上過失致死の事案において結果発生を予見すべき可能性のあったことにつき証明が十分でないとして一審の有罪判決を破棄して無罪を言い渡した事例
家事審判手続においては、家事事件の性質上元来管轄の規律が比較的ゆるやかであり、事件の特色に応じた合目的的処理を幅広く許していることに鑑みれば、移送審判の覇束力を認める要はないと解する
夫婦が離婚後過去の生活費を婚姻費用として一方に請求しうるかについては、民法が離婚後財産分与の請求を認めていることからして、過去の生活費の清算未了分についても、その一部として分担を求めるものと解する
後見人が被後見人のために受領した金銭の一部が使途不明であり横領の疑いがあることを理由に、職権により後見人を解任した事例
申立人の生活程度が普通以上で事件本人の日常生活に事欠くようなことがなく、事件本人が学齢期に達すれば就学し、その教育費を含めて養育費が多少増加する程度のことは事情の変更にあたらない
不動産等の相続財産は、相続開始後分割までに年月を経過し、その間遺産を組成するそれぞれの財産の騰落や不均衡を生ずることがあり得るので、その価格の鑑定は分割時を基準とすることがもっとも公平であり、かつ妥当であると解する
被相続人は相続人中の1人に生前贈与をしているが、右贈与は被相続人の農業経営の維持に協力した受贈者の労に報いるための贈与であることが認められるので、右譲渡は生計の資本としての贈与とは認められない
被相続人に対し相当多額の援助をしたとしても、それが妾関係維持のためである場合は、右出揖者を被相続人の特別縁故者と認めるのは相当でない
被相続人が申立人である宗教法人の住職であり、右宗教法人の住職の地位は被相続人に子孫があればその者が世襲したであろう関係にあること、物件である不動産は申立人の境内地に隣接し、一体として利用されていること等判示事情のもとにおいては、右申立人は被相続人の特別縁故者にあたると解するのが相当である
遺言の確認は、遺言が遺言者の真意に出たものであることを一応認定するに過ぎないものであって、遺言の効力を終局的に確定するものではないから、遺言の効力の終局的な確定は訴訟手続によってなされるべきものである
本来後見事務の執行は、未成年者保護等のため、公益的・社会的性格の強いものであることに鑑み、無報酬を原則とすべきものであるが、後見人または職務代行者にとって時間的労力的にかなりの負担と責務を負わしめるものであるから、被後見人の資力、後見事務の難易繁閑その他の事情にっては報酬を与えることができるものと解するのが相当である
履行命令は義務者においてその義務の履行が可能な場合に命ずるのが相当であり、義務者においてその義務を履行するに足る資力を欠いていて事実上履行不能の状態にあることが明白である場合は、履行を命ずることは相当でない