最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 現業国家公務員に対する懲戒処分につき処分事由の不存在を理由とする取消訴訟を提起するに当り、人事院に不利益審査の申立てをすることなく、公労委に不当労働行為救済申立てをしても、右は行政事件訴訟特例法にいう訴願を申立てたことにあたらないと判断して、処分事由不存在を理由とする取消訴訟につき訴えを却下した事例 2 右懲戒処分につき不当労働行為該当を理由としてその効力を争う訴訟形式は、その勤務関係が特別権力関係に属せず契約関係であることと公労法40条3項の規定あることを根拠に、公法上の当事者訴訟であると判断して、不当労働行為該当を理由とする取消訴訟につき訴えを却下して事例
1 郵政職員に対する配置換命令につき右職員が旧勤務場所で勤務すべき旨の仮処分命令を発した事例 2 郵政職員に対する配置換命令は私法上の契約にもとづくその変更申入れ解とした事例 3 労働契約変更の申入れも、申入れ内容の公正性、業務上の必要、労働者のうける不利益を考慮した上、労働者が承認拒否権を濫用したとみとめられる場合には、変更申入れ内容にそって契約が変更されると解した事例
民法258条によってなされる数個の共有物の現物分割が共有者においてそれぞれ各個の物の単独所有権を取得する方法によることが許されるとされた事例
不動産を買い受けた者が抵当権および停止条件付代物弁済契約上の権利を有するものとして抵当権設定登記および所有権移転請求権保全の仮登記を経由した場合と第三者
1 所有権に基づく土地明渡請求の訴提起と民法617条の解約申入の成否 2 一時使用の土地賃貸借につき訴訟中における無催告解除が認められた一事例
1 労働金庫支店長の行為と、商法42条の準用(積極) 2 労働金庫支店長がした金員借入行為に商法42条、38条1項を準用することができるか(積極) 3 金融業者が業としてなす金員貸付は商行為にあたるか(消極) 4 労働金庫の商人性(消極)
1 有限会社社員総会決議不存在確認の請求が予備的に同決議取消しの請求を含むと解釈された事例 2 右各請求における社員の補助参加の性格 3 届出印鑑と異なる印影による議決権行使委任状が有効とされた事例
1 懲戒権の根拠 2 従業員が刑事上の処罰を受けたことが就業規則および労働協約の懲戒規定たる「不名誉な行為をして会社の体面を著しく汚したとき」にあたらないとされた事例
交通事故の被害者と加害者との間で調停により確定された損害賠償責任は、強制保険の保険者たる保険会社を拘束するか(消極)
ドライブクラブ従業員による同会員へのレンタカー無断貸出中の事故につき、ドライブクラブの運行供用者責任が肯定された事例
被用者が業務執行のため使用者に無断で取引先の自動車を借受けて私用運転中起した事故につき、使用者の運行供用者責任が否定された事例
1 事業場内での政治活動を禁止する就業規則の効力 2 右禁止に違反して参院選投票依頼、特定政党賞揚等の政治活動をした労働者に対する解雇が処分の量定重きに失するとして無効とされた事例
1 意匠権登録抹消は行政庁の処分である 2 意匠権の登録抹消を求める訴訟の法律上の利益 3 原処分取消請求訴訟と裁決取消請求訴訟の出訴期間の遵守 4 登録料金不納付について特許庁長官から利害関係人への通知の法的意味
拳銃を用いて特定人を射殺した際、その銃弾が被害者を貫通してたまたま通行人に命中した場合、通行人に対する殺人未遂罪が成立するか(否定)
交通整理の行なわれていない見通しのきかない同幅員の交差点における直進車同志の衝突事故において、直進通過の注意義務を尽くしたとして無罪とした事例
建物の競売において、その最低競売価格を決定するにあたり建物敷地の使用権が存在しないものとして発せられた仮処分を考慮する必要があるか
注文者の所有地上に請負人が材料全部を提供して建築した建物の所有権が建築完成と同時に注文者に帰属したものと認められた事例
病床に臥している老婆の行動範囲が狭く限定されているとしても、それが拘束者の意思とは無関係に、もっぱら右老婆の精神的肉体的欠陥の故に生じている場合には、人身保護法にいう「拘束」には該当しないとされた事例
指名債権譲渡につき債務者の異議なき承諾が抗弁切断の効力を生ずるためには、抗弁事由の存在について譲受人の善意無過失を要するか
1 分譲地に通ずる私道(地目畑)を公道同様に通行できるとして売却した土地につき、契約書に記載がなくても、通行地役権設定契約が成立したと認められた事例 2 通行地役権は人の歩行が確保されるだけの範囲にとどまらない 3 他に通路がある場合と通行地役権存在訴訟を求める必要性の有無
1 タクシー運転手の急停車に誘因を与えた乗客の傷害事故につき、乗客に2割の過失割合が認められた事例 2 過剰診療の疑いにより治療費の一部が認容されなかった事例
1 鑑定のため原告が負担した費用を損害費目の一つとしては認めなかった事例 2 弁護士費用につき遅延損害金を認容しなかった事例
1 職業的付添人の付添ある場合にもなお近親者付添の病院への交通費を一部認めた事例 2 飼主入院中の飼犬飼育委託費の一部を自賠法三条によって認めた事例
1個の損害賠償請求において、遅延損害金請求の起算日が請求拡張の前後によって損害費目別に異なる場合、合計認容額が前の請求額の範囲を超えないときは、後の請求に係る認容額に対する遅延損害金の起算日を、拡張前の請求の起算日に求める意思が明白であると解すべきである
自らすすめて運転免許を取得させ、運転経験の少ないことを知悉している者の運転する車に同乗したうえ、先行車追越を運転者に提案し、これに応じた運転者の操作過失により、車が転落、そのために死亡した同乗者の過失割合を30%と認定した事例
1 葬儀費用を原告方が葬儀屋であることなどを考慮し、金10万円と認定した事例 2 自動二輪車の後部座席に同乗中死亡した被害者に、運転経験豊かであるにかゝわらず、危険を承知で、運転者より一度は拒絶されたのに、敢えて同乗し、危険箇所でスピードを落す指示をなんらなさなかった過失があるとし、55%の過失割合を認定した事例
1 小学三年生が停車中のバスの陰より飛出し、タクシーと衝突した事故において、被害者に30%の過失割合を認めた事例 2 加害者側より被害者側に交付された金員は、特別の事情のない限り、被害者自身への損害賠償の内払いと解するのが相当であるとされた事例
1 専属的請負業者の元請人に責任を認めた事例 2 幼児(4才)の飛出し事故に親の監護上の過失があるとして2割の過失相殺をなした事例 3 死亡した被害者自身の慰藉料を否定しその兄の慰藉料を認めた事例
1 広路より、その意思なきにかかわらず、右折の合図をしつつ、制限速度をこえる速度で、交差点に進入してきた自動二輪車と、これを認めつつ、自車が先に通過しうるものと判断し、狭路より交差点に進入した乗用車の衝突事故において、二輪車の過失4、乗用車の過失6と判示した事例 2 死亡者の兄弟固有の慰藉料請求を結局排斥した事例
狭路より無灯火で減速せず交差点に進入した自転車と、これを発見するや急停車の措置等をとるも及ばず衝突するに至った自動車に免責を認めた事例
交差点内で右折しようとし、後続車の過失で衝突され、対向車線に進入した形となっている被害車に、対向して来て衝突するに至った車に免責を認めた事例
いわゆる任意保険契約において、保険者の承認をえないで被害者と加害者が示談した場合、保険会社の填補すべき額は、裁判所が判断した適正な実損額の範囲に従うべきであるとした事例
いわゆる任意保険の保険金請求にあたり、保険者より主張された飲酒運転を事由とする免責条項該当の抗弁を、運転者が飲酒していた事実は認めつつ、そのため運転者は正常な運転ができないおそれのある状態になっていたとは認められないとして、排斥し、保険金の支払を命じた事例
建物の附属設備(造作)のみを譲渡した場合における租税特別措置法(昭和44年法律15号による改正前)65条の4第1項の適用の有無
1 政党が選挙運動をする自由と憲法21条 2 公認候補者の選挙運動と無所属候補者との間に生じうる若干の差異と憲法14条
1 国の行政機関相互間の所管事務に関する通達につき申し立てられた異議に対する決定は抗告訴訟の対象となるか 2 右決定に理由を附記することの要否
「収縮性婦人長靴下とその製造法」に関する特許出願について、出願人から提出された訂正書が採用された場合でもなお容易推考の域を出ないとの判断を示した事例
「塩素化ポリエチレンの製法」に関する特許出願につき拒絶理由である引例に示された高圧ポリエチレンの塩素化の技術から容易に考えられるとした審決の結論を是認した事例
菓子パンについての「エリザベス」という登録商標の無効を請求した事案において引用商標との指定商品の牴触、品質出所についての誤認混同、他人の商号の使用を理由とする審判請求人の主張が排斥された事例
「高衝撃性硬質ビニールシートの製法」に関する特許出願について出願人が主張した引用例のものと構成作用効果に関する相違点および数値限定の点が何れも排斥された事例
「研摩剤」等の商品に関する「DIVERSOL」という商標登録出願について、「ヂバゾール」という引用商標に類似するものとして登録拒絶を相当とした事例
「捲込扉装置」に関する登録実用新案について、イ号物件である防火シャッターと袖扉を開閉する箇所についての差異ありとする主張も、具体的に限定されていないとして、排斥さるべきものとした事例
「被覆金属板材料の製造方法」に関する特許出願について、出願人が引用例との相違点として挙げた被処理金属の種類および予備処理に関する主張が排斥された事例
「二層式衛生パイプ」に関する特許出願について、出願人の挙げるパイプの材質を紙とした点には特段の効果なく、また、公知例もあるとして、その主張が排斥された事例
「プロパン等液化ガス計量器」に関する実用新案登録出願について、引用例のものと比べても格別の特殊性なく、容易推考の域を脱しないとして拒絶相当の結論を是認した事例
「トウ拡開方法ならびにその装置」という特許出願について、引例が二対以上のものを具えているのに対し、本願発明が一対のものである点に、とくに効果上の差異なしとして拒絶相当とした事例
「ソルビン酸の溶解および安定化法」に関する特許出願について、拒絶理由である引用例と緩衝剤使用の目的および機能の点で相違するとして、拒絶相当として審決を取り消した事例
「飼料裁断機における束切り装置」に関する実用新案登録出願について、引用例との構造上の相違から、引用例には本願考案における「確実に結束体を切断する」作用効果がないとして審決の認定が誤りとされた事例
「コンデンサースピーカー」に関する実用新案登録出願について、適法な期間内に手続補正書が提出されたのを看過したため、審決が違法なりとして取り消された事例
不銹鋼その他を指定商品とする「タジマフロンティア18‐8」という商標登録出願について、「フロンティア」なる既登録商標の存在をもって登録拒絶を相当とした事例
「梱包方法」に関する特許出願について、拒絶理由として挙げられた引用例には、本願発明における、成形途上の緩衝性材料を使用する点が示されていないとして審決の判断が誤りとされた事例
「緩衝体」に関する特許出願について、審決ののち、その確定前本件出願を取り下げたため、審決は効力を失ったとして、審決取消を求める訴を却下した事例
文房具等を指定商品とする「スパイラルカレッヂ」という商標登録出願について既登録商標「カレッジ」があることをもって拒絶相当とした事例
「饋電線保持器」に関する実用新案の登録を無効とした審決について、本件実用新案は無効理由とした二つの引用例とはその構造および作用効果を全く異にするとし、審決を取り消した事例
1 婚外子の父の氏への変更によって、その父の妻および嫡出子の利益と衝突を起こす場合には、双方の利害を比較検討してそのいずれを保護するのが民法・家事審判法の精神に適合するかにより決するべきであり、いずれとも決しかねる場合には、婚外子は母の氏を称するという民法790条2項が解決の指針となるべきである 2 申立人の父は、20年間も妻と嫡出子を放置し、その間、女性関係から生じた紛争の尻ぬぐいを妻にさせ二女の婚期を失わせたなどの理由により、右妻や嫡出子が申出人の父に対し憎悪の感情を抱き、申立人を父の戸籍に入籍させることに反対している等判示事情のもとにおいては、申立人の氏を父の氏へ変更することの許可をすることは相当でない
事実上の養親により監護養育を受けている場合においては、子の父母相互間でいずれが親権者として適格であるかをまず判定し、さらに適格とされた親と事実上の養親とを比較し、そのいずれがより多く子に福祉をもたらすかを考察すべきであるが、その場合、右養親子関係を裂くことが子の将来に著しく悪影響をおよぼすおそれがあるとか、右申立がいわば権利の濫用に当る場合を除き、原則として血肉を分けた親の希望を叶えてやるのが相当であるとして、右親権者変更の申立を認容した事例
民法958条の3にいわゆる特別縁故者とは、被相続人の生前において特別の縁故関係にあった者に限定され、被相続人の死後、その葬儀、供養等をしたとしても、その事実は、生前の特別縁故関係の存否程度を推測させる事情となりうるに止り、それ自体は特別縁故性を具有するものではないとし、申立人による葬儀、供養は主として農村を支配する社会的習俗および同族感情に由来するものと考えられるから生前の特別縁故関係を推測させる事情としては稀薄であるとして申立を却下した事例
1 自筆証書の加除変更が遺言者以外の者によってなされ、また遺言者の署名を欠く場合において、右加除変更部分が遺言中僅少部分に止まり付随的補足的地位にあって、その部分を除外しても遺言の主要な趣旨は表現されており、右加除変更が遺言者の意思に従ってなされたものである場合は、加除変更がないものとしてなお効力を有するものと解すべきである 2 宗教法人たる寺院の後継住職の指定および遺言者の個人財産に属さない寺院財産の処分管理に関する事項は法定遺言事項に該当しないから、法律上遺言としての効力を有しない 3 遺言により寺院の後任住職および同寺の財産管理人の指名された者が立会人として当該遺言書に署名捺印しても、その事項は法定の遺言書に含まれないから、右立会のために遺言書の方式が当然に違法とはならない 4 遺言書中に右のような事項が含まれていても、法定遺言事項に関する部分が分離独立して遺言者の最終意思を看取するに足る表示行為として把握することができるような場合には、その法定遺言事項たる部分は独立して遺言者の最終意思を看取するに足る表示行為として把握することができるような場合には、その法定遺言事項たる部分は独立して遺言としての効力を有する
母方実家の家名を存続させ、その祭祀を行わせる目的で婚姻共同生活関係を終了させる意思がないのに、父母が協議離婚届出を出して母が復氏したうえ、妻子を有し独立の生計を営んでいる子から、右復氏した母の氏への変更許可を申し立てた事案について、個人の尊厳、両性の本質的平等の理念に背馳する結果をもたらさず、かつ民法791条1項の立法趣旨に反しないとして、右申立てを許可した事例
1 遺産の範囲は相続の開始により始めて確定するのであって、その相続放棄や分割協議は、そのとき以後における各相続人の意思によりなさるべきものであるから、当事者間で事前にこれらの意思表示をしても無効である 2 将来相続すべき物件に関する相続を停止条件とする贈与契約は、相続開始前における相殺放棄もしくは遺産分割協議と同じ結果をもたらすものであるところ、右相続放棄もしくは遺産分割協議は前判示一のとおり無効と解すべきであるから、右贈与契約も効力を認めることができない
前婚解消後300日以内に生まれた子について、母の非嫡出子としての届出がなされたところ、誤って受理されたためその旨の戸籍記載がある場合においても、その子の懐胎時期が前婚夫婦間で全く性的交渉がなく、夫婦の実態が完全に失われていることが客観的に明らかである期間内であるため、民法772条による嫡出推定を受けず、かえって、その身分関係が戸籍の記載と一致する場合には、錯誤を理由として戸籍の記載を前婚当事者の嫡出子とする旨の戸籍訂正することは許されない。
中華民国民法には、子の監護者の変更を認める旨の明示の規定はないが、同法1055条によれば、裁判離婚の場合、裁判所は約定の有無に拘らず、子の利益のため監護者を選定することができるのであるから、さきに調停において監護者の約定をしても、裁判所は子の利益のため監護者を変更することができる
官公庁の年末休暇日は法令によって休日とは指定されておらなくとも、官公庁に対する関係では、年始の休暇日と同様に、国民一般の慣行上の休日とされているというべきであるから、それは、民訴法156条2項の一般の休日に該当する