最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
1 序
2 弁論主義
(1)弁論主義の本質論について
(2)弁論主義の本来の役割について
3 事案解明義務
(1)事案解明義務に関する判決
(2)伊方原発事件最高裁判決の分析
(3)事案解明義務とはどのようなものであるか
[目次]
序
Ⅰ 比較法的に見た当事者の協力義務
1 フランス
2 オーストリア
3 スイス
Ⅱ ドイツにおける協力義務論~Kochの議論に基づいて
1 議論の出発点
2 問題点の所在
3 当事者支配と裁判官の権限の緊張関係
4 情報と公開
5 Kochの議論についての筆者の考察
6 参照条文
Ⅲ 日本法への示唆
1 事案解明義務,具体的事実陳述=証拠提出義務
2 Kochの議論からの示唆
3 筆者の検討
Ⅳ むすび
[目次]
はじめに
第1 会社関係訴訟と処分権主義・弁論主義の制限
第2 処分権主義(1)―訴えの取下げの可否
第3 処分権主義(2)―請求の放棄の可否
第4 処分権主義(3)―請求の認諾の可否
第5 処分権主義(4)―和解の可否
第6 弁論主義―自白の拘束力の有無
第7 弁論等の併合
第8 職権証拠調べの可否
第9 会計帳簿又は計算書類等の提出命令
地方自治法255条の2第1項1号の規定による審査請求に対する裁決について,原処分をした執行機関の所属する行政主体である都道府県は,取消訴訟を提起する適格を有するか
前訴で住居侵入,窃盗の訴因につき有罪の第1審判決が確定した場合において,後訴の訴因である常習特殊窃盗を構成する行為が前訴の第1審判決後にされたものであるときの前訴の確定判決による一事不再理効の範囲
両替機管理運営委託契約に基づき受託者が両替機内から回収し保管していた金員について,金銭の所有権者は占有者と一致すると解されるから,委託者が当該保管金の所有者ということはできず,委託者が両替準備金を振り込んだ口座は受託者の他の業務のためにも用いられており,振り込まれた両替準備金は他の金銭と混然一体となっていた等という事情のもとでは,両替準備金が信託財産であるとも認められないとされた事例
共同漁業権から派生する漁業行使権に基づく諫早湾干拓地潮受堤防排水門の開門請求を認容する確定判決に対する請求異議訴訟において,前訴の口頭弁論終結後の事情の変動等を踏まえて改めて利益衡量を行った結果,現時点において,上記確定判決に基づく強制執行は,権利濫用に当たり,又は,信義則に照らし,許されないとされた事例
内閣が憲法53条後段に基づく国会議員の臨時会召集要求を受けたのに直ちに臨時会の召集を決定しなかったという事実関係の下において,上記臨時会召集要求をした国会議員による,内閣が次に臨時会召集要求がなされた場合に臨時会を召集できるように召集決定をする義務を負っていることなどの確認を求める訴えは不適法であり,また,上記内閣の行為が違法であるとして慰謝料の支払を求める請求は理由がないとされた事例
別居中の夫婦間において,妻である原審申立人が,夫で開業医である原審相手方に対して婚姻費用分担金の支払を求めた事案において,義務者である原審相手方の収入が標準算定方式の上限を超えることから,原審が,同方式によらず,同居時の生活水準や生活費支出状況,別居後の家計収支及び生活状況等の諸般の事情を踏まえて婚姻費用の分担額を定めたのに対し,抗告審においては,同方式を維持した上で,高額所得者である原審相手方の基礎収入について,同人の総収入から控除する税金や社会保険料,職業費及び特別経費について,事業収入の特殊性を踏まえた数値を用い,更に一定の貯蓄分を控除して婚姻費用分担額を算定した事例
相手方(妻)が抗告人(夫)に対し,婚姻費用の分担金の支払を求めた事案において,婚姻費用分担額の算定にあたっては生活保護費を収入と評価することはできないとし,相手方の病歴や障害等級,就労実績,医師の見解,現在の状況等に鑑みて,現時点においては,相手方に潜在的稼働能力があるとは認められないとして,抗告人に婚姻費用の分担金の支払を命じることは相当であるとした事例
1 国民年金・厚生年金保険障害認定基準(平成28年6月1日改正を最後の改正とするもの)のうち代謝疾患による障害について定めた部分(本件認定基準)には合理性を欠く点はない
2 本件認定基準に沿って判断して,1型糖尿病患者である原告が障害等級2級に該当するとされた事例
被告1が被告2に施工図作成業務を委託し,被告2が被告3に同業務を再委託する形式をとりながら,被告1が被告3の労働者である原告に直接指揮命令を行い,原告の労務の提供を受けるという二重の労働者供給(二重派遣)の状態にあった本件において,判示の事情のもとでは,被告1及び被告2に,職業安定法44条違反があるとはいえ,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律40条の6を適用又は準用して被告1又は被告2と原告との直接雇用契約の成立を認めることはできず,被告らによる共同不法行為に基づく損害賠償請求も認められないとされた事例
1 書証として提出された電磁的記録について,裁判所が,デジタルデータそのものを解析し,その結果を踏まえて,当事者に対して釈明を求めた事例
2 民事訴訟における当事者の訴訟追行態度を慰謝料及び訴訟費用の算定に際して考慮した事例
コンビニエンスストア本部によるフランチャイズ契約の解除は,加盟店側の異常な接客対応やSNS上での本部に対する誹謗中傷を理由とするものであり,加盟店側が時短営業(非24時間営業)を強行したことを理由とするものではなく,優越的地位の濫用にも当たらないとして,建物の引渡し及び約定の損害賠償金等の支払を求める本部側の請求を認容し,契約上の地位確認等を求める加盟店側の請求を棄却した事例
マンションの区分所有者の配偶者である原告が,管理組合の理事長である被告に対し,管理規約に基づき,通帳等の閲覧を求めた事案において,管理規約が閲覧請求権を認める利害関係人とは,区分所有者たる組合員に準ずる管理規約上の地位を有する者であって,その地位に基づき管理組合に対して会計帳簿等の閲覧を請求する法律上の利害関係があると認められる者をいい,単にその閲覧につき事実上の利害関係を有するにすぎない者を含まないと解するのが相当であるとした上,管理規約の定めによれば,区分所有者の配偶者としてマンションに居住する原告は,マンションの管理について区分所有者たる組合員に準ずる地位を管理規約によって与えられているなどとして,原告の請求を認容した事例
1 安全配慮義務を負うものではないとされた事例
2 長期未収者を対象とした個別訪問による放送受信料の収納業務が弁護士法72条における「その他一般の法律事件」に当たらないとされた事例
相続財産である4筆の土地について,被相続人は,長年にわたり,地元の公共財産として申立人である市の公共の用に供してきており,将来的にもその現状が維持されることを望んでいたとして,申立人である市を特別縁故者と認めて4筆の土地をいずれも市に分与した事例
申立人である子が,相手方(日本国籍)に認知を求めた事案において,フィリピンの裁判所において母と前夫(いずれもフィリピン国籍)の婚姻を無効とする判決が確定しているところ,これにより同判決の確定前に出生した子である申立人と前夫との間の嫡出親子関係が遡及的に否定されるものではないが,同親子関係を証明するに足りるフィリピン家族法172条に規定される証拠がないことから,申立人と前夫との間の同親子関係を認めることはできないとした上で,申立人が相手方の子であることを認知する旨の合意に相当する審判がなされた事例
少年が,友人らと共謀の上,廃業したホテルに侵入し,ライターで点火して1室を全焼させるなどした建造物侵入,非現住建造物等放火保護事件ほか1件の事案において,犯行動機,態様等の犯情に加え,保護処分歴がないことや犯行後の情況,少年の性格,年齢及び環境等を考慮して刑事処分以外の措置を相当と認め,少年を2年の保護観察に付し,収容可能期間を1年間と定めた事例