最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,借主が貸金業者に対し,2度の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法所定の制限額を超えて利息として支払った部分を元本に充当すると過払金が発生していると主張して,不当利得返還請求権に基づき,過払金と商事法定利率の割合による民法704条前段所定の利息の支払を求めるなど...
《解 説》
1 本件は,被害者(被後見人)の成年後見人(被害者の甥)である被告人が,平成16年1月から平成17年9月まで26回にわたり,管理財産から合計1800万円余りを横領した事案であり,行為者が被害者の成年後見人である場合に,刑法255条が準用する同法244条(本件の場合は同条2項)の...
《解 説》
1 本件は,市立小学校の音楽専科の教諭であるXが,入学式の国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うことを内容とする校長の職務命令(以下「本件職務命令」という。)に従わなかったことを理由にYから戒告処分を受けたため,本件職務命令が思想及び良心の自由を保障した憲法19条に違反する...
《解 説》
1 本件は,原告が,社会保険庁長官に対し,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「行政機関個人情報保護法」という。)13条1項に基づいて社会保険庁の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求した(以下「本件開示請求」という。)のに対し,同長官が,原告に対し,開...
《解 説》
1 Xは,中国国籍を有する外国人であり,下記各処分を受けた時,17歳の高校1年生であった。Xは,9歳の時,Xの父(中国残留邦人の夫の実兄の子である。)が中国残留邦人の子であると偽って日本に入国した際に,妹と共に父母に連れられて来日し,被告入国審査官から上陸許可を受けて,日本に入...
《解 説》
1 事案の概要
(1) X(中国国籍の女性)は,平成13年に「留学」の在留資格で本邦に上陸し,平成17 年3 月には「人文知識・国際業務」(在留期間1年)へ在留資格が変更され,平成18年3月に在留期間が更新されていた。
Xは,在留資格の変更後である平成17年4月に,旅行会社...
《解 説》
1 本件事案の概要
Aは,初めての海外旅行に行くため旅券(パスポート)の発給申請をし,この交付を受けたが,これにはAが男性であるにもかかわらず,性別欄に女性を示す「F」と記載されていた。これは,発給申請書の性別欄の「女」にA自身が誤ってチェックしたものをそのまま機械が読みとっ...
《解 説》
1 Aは,産業廃棄物処分業を営んでいたところ,訓練中の自衛隊機がAの廃棄物処理施設機械設備(以下「本件廃棄物処理施設」という。)の近くに落下し,本件廃棄物処理施設に対する電力の供給が一次途絶し,約2時間停電した(以下「本件事故」という。)。Xは,Aとの間で,本件廃棄物処理施設に...
《解 説》
1 本件の捜索差押許可状2通(本件各令状)は,それぞれよど号ハイジャック事件の被疑者の1人に対する強盗致傷,国外移送略取・同移送,監禁等(いわゆるよど号事件)の事実を被疑事実とし,差し押さえるべき物を「動機,目的,背景,犯行手段・方法,主義・主張等を記載した日記(誌),ノート,...
《解 説》
1 本件は,被告の県税事務所長が,実際は原告が軽油を輸入・譲渡したにもかかわらず,軽油引取税の納入義務を免れるために,ダミー会社であるA有限会社(以下「A」という。)名義を使用して軽油を輸入・譲渡したように装ったとして,原告に対し,平成9年4月から平成10年12月までの各月分(...
《解 説》
1 本件は,滋賀県栗東市が,道路建設事業費(新幹線高架下の既存道路の拡幅工事費)のための財源に充てるとして,約43億円の地方債の起債を予定したところ,同市の住民であるXらが,起債は実質的には私企業であるJR東海が所有管理する予定の東海道新幹線新駅(仮称・びわこ栗東駅)建設に要す...
《解 説》
1 事案の概要
(1) Y市は,駅前に市立駐車場(本件駐車場)を設置し,Y市が約7割を出資する株式会社(本件会社)にその管理を委託していた。
Y市議会は,平成16年12月,本件駐車場に関して駐車場条例(本件条例)を制定したが,本件条例には,本件駐車場の管理をY市長が指定する...
《解 説》
1 本件事案の概要
紡績業などを営んでいたY会社は,平成12年10月,再生手続開始の申立てをして,同年11月15日,その決定を受けた。Y会社は,申立て当初は紡績部門の事業継続を表明していたが,決定を受けると,その直後から紡績部門の廃業を表明して,同月21日以降,Xらを含む紡績...
《解 説》
1 Yは,日本において銀行業を営む外国銀行である。Yの従業員であったAは,平成7年7月から平成9年4月までY渋谷支店及び横浜支店の支店長の地位にあったが,その後支店長の地位を離れ,平成13年,Yを退職した。Xらは,資金運用として,平成7年から平成14年にかけて,Aに対してXらの...
《解 説》
1 Aは株式会社Y1の代表者であったところ,Y2との間でY1の営業に関して「営業譲渡に関する覚書」と題する書面を取り交わし,一定の金員をAに交付した。その後,Y2は,自らY1の代表者に就任して経営に携わるようになった。他方,債権管理回収等を目的とする株式会社Xは,B銀行からY1...
《解 説》
1 原告は,自宅内で,父親と口論の末,もみ合い喧嘩をし,その後,倒れた父親は,約1時間後,搬送先の病院で死亡した(以下「本件事故」という。)。原告は,父親の腹部を足蹴りにして傷害を負わせたとの被疑事実につき,傷害被疑事件の被疑者として逮捕された(その後,罪名は傷害致死に切り替え...
《解 説》
1 本件は,大学入学試験を受験した受験生につき,学科試験が合格判定基準を満たしていたため大学が合格通知を出したが,その後特定の宗教団体と当該受験生との関係に起因する理由で当該受験生の入学を許可しなかったことにつき,そのような措置が違法であるとして提起された損害賠償請求事件である...
《解 説》
1 本件の事案の概要は,以下のとおりである。
医師であるYは,X1が経営する病院(控訴人病院)に勤務中,助手として関わった下顎骨骨折の手術(本件手術)の2日後に死亡した患者につき,約2年半後に新聞記者同席の下で患者の父親に面会し,本件手術において,執刀医であるX2がキルシュナ...
《解 説》
1 本件は,Sが,平成11年4月30日,自宅で倒れ,被告が経営していた病院(以下「被告病院」という。)に救急車で搬入されて入院したところ,同病院医師が,急性大動脈解離の合併症としての急性腹部大動脈閉塞との診断をし,人工血管導入等の血行再建術又は高次の医療機関への転送を行うべき注...
《解 説》
1 本件は,亡母Aの相続人で子である原告らが,同じく相続人で姉兄である被告らに対し,Aを遺言者とする遺言公正証書につき,遺言当時,Aは認知症により遺言能力がなかったと主張し,同遺言が無効であることの確認を求めた事案である。
2 本判決は,遺言の数年前からのAの入通院カルテ,介...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,「酸性水中油型乳化調味料」に関する本件発明1,2(本件発明2は,本件発明1の構成について,更に数値限定をした発明である。)についての特許の特許権者であるXが,特許異議申立てを受け,上記特許を取り消した特許庁の決定の取消しを求めた事案である。
Xは,①...
《解 説》
1 事案の概要は,直接判決文に当たられたいが,おおむね次のとおりである。
Xは,歩行中,訴外Aの運転する自動車(A車両)と衝突する交通事故(以下「本件事故」という。)によって負傷し,後遺障害を残すに至った者である。A車両については,Y2(損害保険会社)との間で自動車総合保険契...
《解 説》
1 本件は,家裁により,叔母A(成年被後見人)の成年後見人に選任されて,その財産管理等の業務に従事していた被告人が,保管中のA所有の現金を着服横領したという業務上横領の事案である。
2 本件の争点は,親族相盗例の適用の有無である。すなわち,刑法255 条,244条2項によれば...
《解 説》
1 本件は,全国農業協同組合連合会(以下「全農」という。)秋田県本部長である被告人A,同副本部長である被告人B,全農の関連会社であるP社の代表取締役専務である被告人Cが,全農秋田県本部職員らと共謀の上,P社の不良債権の隠ぺいに用いる現金を得るため,全農が秋田県内の農業協同組合(...