最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件は、中小企業等への金員の貸付けを業とする貸金業者であるYがした金銭消費貸借取引において、連帯保証人Xらが、利息制限法(以下「法」という。)所定の制限を超える利息等として支払われた部分を元本に充当すると過払金が生じているとして、Yに対し、不当利得返還請求権に...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、平成一三年三月に都立豊島病院において発生した、呼吸回路が閉塞して生後三か月の乳児が死亡した事故について、組み合せて使用された各医療器具の製造・輸入販売企業二社の製造物責任と呼吸回路を接続した医師を雇用していた東京都の使用者責任が問われた事件の第一審判決...
《解 説》
一 本件は、共有不動産について持分移転登記を経由しているが実際には実体上の権利を有していない者に対し、当該不動産の共有者の一部の者が、自己の共有持分割合自体については当該不実の持分移転登記によって侵害状態が生じていなくても、同登記の抹消登記手続を請求することができるかどうかが争...
《解 説》
一 本件のうち判示事項及び判決要旨で採り上げられたのは、複数の加害者の過失及び被害者の過失が競合する一つの交通事故において、加害者の一人の代りに被害者に対して損害賠償をした自動車交通共済協同組合が保険代位に基づいて他の加害者に対して求償義務の履行を求めた部分であり、その前提とし...
《解 説》
一 共同根抵当権の設定を受け、不動産競売を申し立てた原告は、競売申立書には元本のみを記載し、利息、損害金の記載をしなかった。執行裁判所は、原告に優先する債権者に配当した後の金銭から申立書に記載された元金相当分を原告に配当し、その残金を後順位者である被告に配当した。そこで、原告は...
《解 説》
一 原告は、アフガニスタン出身の男性で、平成七年一月から合計五回いずれも短期滞在の在留資格(在留期間九〇日)で日本に入国していたが、平成一〇年六月二八日、短期滞在の在留資格で日本に入国した後、同年八月ころから、アフガニスタンでタリバーンの攻勢が始まり、反タリバーン同盟(北部同盟...
《解 説》
本件は、東京拘置所長が在監者であり死刑確定者である原告に対してした私本購入の出願を不許可とした処分(以下「本件処分」という。)について、原告が本件処分は違法であり、違法な処分により精神的苦痛を受けたとして、被告に対し国家賠償法一条に基づく慰謝料請求をするものである。原告は、当初...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xらは、Y電鉄に勤務するバス運転手であり、これまで、K労働組合(以下「K労組」という)に所属していた。Xらは、Y電鉄提案に係る自動車事業の経営改善策を巡るK労組の対応に不満を持ち、X新労組を結成し、平成一三年一一月一五日、K労組を脱退した。...
《解 説》
一 訴外A(四六歳)は、平成八年一月二日、鳥取県西伯郡大山町所在の「大山国際スキー場」のゲレンデにおいて、スキーで滑走中、ゲレンデ内の松の木に衝突して死亡した。
そこで、Aの遺族であるXらは、(一)同ゲレンデをスキーで滑走していたY1に対し、Aの後方から近づいて、Aに、衝突な...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
1 Xら(①ないし④事件原告、⑤ないし⑧事件被告)は、訴外破産者山一證券株式会社(以下「破産会社」という)に雇用されていた者である。Y1(①ないし③事件被告、⑤事件ないし⑧事件被参加人)は、破産会社及びその関連会社の従業員の親睦、扶助を...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、原告らの父(被害者、七五歳)が交通事故により負傷し、さらに、その負傷により被告富山県の設置する病院(被告病院)に入院した際、同病院の医師及び看護婦らの過失により、食事中に食物をのどに詰まらせて窒息死したとして、原告らが、事故加害者に対しては自賠法三条に...
《解 説》
本件は、被相続人の相続人である妻(X)、子供ら(Yらはその一部)が、それぞれ被相続人の債務(債務はアないしウの三本あった。)を弁済したところ、XがYらに対し、Xがイ債務につき支払った分の法定相続分に応じた負担を求め、またYらはXに対し、Yらはア債務につき法定相続分を支払ったが、...
《解 説》
本件は、都市銀行として初めて破綻した北海道拓殖銀行の取締役であった被告らに対して、同銀行から債権を譲り受けた原告が、委任契約上の善管注意義務違反を理由に、損害賠償を請求する事案である。
被告らは、それぞれ、北海道拓殖銀行の取締役であった者であり、同銀行が巨額の融資を実行するに...
《解 説》
本件は、原告がパチンコ店を経営していた建物(以下「本件建物」という。)が火災にり災した(以下「本件火災」という。)ことから、原告が、同建物の設備及び什器等を目的として保険会社である被告との間で締結していた店舗総合保険契約(以下「本件契約」という。)に基づき、被告に対して保険金三...
《解 説》
一 本件は、「自動洗髪機」について特許権を共有する原告らが、被告による別紙イ号物件目録及びロ号物件目録記載の各物件の製造販売が同特許権を侵害するとして、被告に対し、民法七〇九条、特許法一〇二条二項に基づく損害賠償を請求するとともに、現在も製造販売を継続しているイ号物件目録記載の...
《解 説》
一 Xらは、斜面受圧板(法面〔のりめん〕工事において、法面に押圧力を付与して斜面の安定化を図るコンクリート製の製品)を開発した会社及びこの受圧板を用いた工法の普及を目的とする権利能力なき社団である。Yらは、同様な斜面受圧板を製造・販売等する企業及びYらの受圧板を用いた工法の普及...
《解 説》
本件は、常習累犯窃盗罪により三回にわたって服役した前科を有する被告人が、更に常習として、早朝、車庫内に駐車中の自動車内に置かれていたウエストバッグ内から現金約八万円を窃取したという常習累犯窃盗の事案である。
被告人は、本件犯行により得た現金を使って生活していたが、約一週間後の...
《解 説》
一 本判決は、株式会社が、同社の取締役であり、株主であった者から脅迫されて融資名目で三〇〇億円という多額の金銭を喝取されたということで話題となった、いわゆる「蛇の目ミシン株主代表訴訟」の控訴審判決である。その事実関係は、錯綜しているが、本判決及び原判決の確定したところによると、...