最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、日本原子力発電株式会社が茨城県那珂郡東海村の東海第二発電所に設置した原子炉について、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭五二法八〇号改正前。以下「規制法」という)二三条一項の規定に基づいて内閣総理大臣が昭和四七年一二月二三日にした原子炉設置許可処分...
《解 説》
一 本件は、在日韓国人であるXらが、日本軍の軍属として公務に従事中負傷し障害の状態になったとして、戦傷病者戦没者遺族等援護法(援護法)に基づき障害年金の請求をしたところ、厚生大臣が、Xらは戸籍法の適用を受けない者であるから援護法附則二項により援護法の適用を受けないとして請求を却...
《解 説》
一 本件は、市立中学校教諭のXが、市教育委員会が教職員定期健康診断の一環として実施した結核の有無に関するエックス線間接撮影の方法による検査(エックス線検査)を受診せず、校長が職務命令として発したエックス線検査受診命令を拒否したことなどを理由に減給処分をされたため、その取消しを求...
《解 説》
一 本件は、中小企業等協同組合法(以下「法」という)に基づいて設立された個人タクシー事業者の事業協同組合において、執行部に反対する組合員五名について除名決議をした組合が、被除名者五名に対して、その組合員たる地位の不存在の確認を求めたものである。内四名については一審で和解が成立し...
《解 説》
一 本件は、給与所得者であり、平成六年分から同一〇年分の所得税について計算方法に誤りのある確定申告書を提出した原告が、所轄の税務署長のした判示事項記載の各行為が違法であり、これにより精神的苦痛を受けたとして、国家賠償法一条一項に基づき慰藉料の支払を求めた事案である。
原告の計...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
A(昭和二五年生まれの男性)は、昭和四四年にB会社に雇用され、平成元年以降、同社大阪サービスセンターにおいて所長に次ぐ地位にある技師として、大型コンピューター納入先からの電話応対、保守要員の派遣・指示、部品手配、保守要員が作成した保守...
《解 説》
一 Aは、Y病院にて肺出血による呼吸不全により死亡した。Aの夫亡B及び両者の子Xは、Y病院の主治医から死体解剖保存法に基づくAの遺体の解剖と内臓及び脳の保存について承諾を求められ、これに応じた。そこで、Y病院病理学教室において、Aの遺体の解剖が行われた。その際、Aの内臓及び脳の...
《解 説》
一 Xは、かつて、会社を経営し、青果物の卸売業を営んでいた者であるが、平成一〇年二月、札幌市北区所在ビル内の「オークビレッジ・ワオ」を訪れ、二階のレストランで食事をした後、右店舗の階段の右端の手すりを持って下りようとしたところ、階段に付着した氷に足を滑らせ、肩や腰を打ち、その後...
《解 説》
一 Xは、工作機械の製造販売を業とする会社であるが、平成八年八月、Xが製造した本件①②③の貨物を、神戸港から韓国に輸出することにし、港湾運送業者であるY3に対し、輸出及び船荷み業務を依頼した。そして、本件①②貨物は、神戸新港の本件岸壁に運搬され、海運業者であるY1に引き渡され、...
《解 説》
一 本件の概要は以下のとおりである。
Xは信託銀行であり、Yは建築工事の請負等を目的とする会社である。平成四年八月、Xは不動産会社であるAと不動産管理信託契約を締結し、AはXに対してその契約に基づく信託受益権を八五億円で同額の買戻予約付きで売却した。その後、平成九年八月に右買...
《解 説》
一 京成電鉄は、平成元年から同三年にかけて伊豆熱川の土地をリゾート開発を目的として購入したが、現在に至るまで開発がなされておらず、その時価は大幅に下落している状態にある。同社の株主である原告は、右土地の購入について社内での十分な協議、検討もなく被告が実質的に独断専行し、さらに十...
《解 説》
本件は、被告である新聞社(監査特例法二二条一項の小会社)の株主である原告が、被告の開催した定時株主総会の招集手続及び決議方法に瑕疵があったとして右総会で承認された決議の取消しを求めた事案であって、被告の取締役が監査特例法二三条四項の規定に反して計算書類の附属明細書を被告の本店に...
《解 説》
一 本件は、債務者会社の株主である債権者らが、商法二八〇条ノ一〇の株主の新株発行差止請求権を被保全権利として、新株発行の差止めを求めた仮処分命令申立事件である。
債務者会社は資本金四億九八〇〇万円、発行する株式総数二四〇万株、発行済株式総数九九万六〇〇〇株で、株主の大半が創業...
《解 説》
一 A会社(証券会社)の平成九年六月二五日に開催された株主総会において、昭和五四年一一月にA会社の取締役に選任され平成八年一二月に退任したYに対し、退職慰労金を贈呈する旨の決議がされ、具体的な金額、贈呈の時期、方法などは、A会社の内規に従い、相当の範囲内で取締役会の協議に一任す...
《解 説》
一 原告は不動産の売買、仲介等を目的とする株式会社であり、被告の発行済株式総数の約一〇・〇五パーセントの株式を保有する株主である。
原告は、平成九年六月、被告に対し、書面で、過去五年分の税務申告書の写しを要求したが、被告がこれに応じないとして、本訴を提起し、被告に対し、その第...
《解 説》
一 本件は、火災により建物等に損害が発生したとして、原告が、被告に対し、被告との間の右建物等を目的とする火災保険契約に基づく保険金請求をしたところ、被告が、本件火災は原告又はその意を受けた者の故意により招致されたなどとして、免責を主張した事案である。
二 本判決は、①原告の財...
《解 説》
一 名古屋市内でパブを経営し、Xと同棲していた訴外Aは、平成四年六月ころ、訴外Bと交渉のうえ、メルセデスベンツ(以下「本件車両」という。)を代金二三七〇万円で購入し、右代金のうち二〇〇〇万円は他から借り、約五〇万円をXが出資し、残金はAの手持資金から支出した。
しかしAは、本...
《解 説》
一 Xは、商品券、ギフト券等有価証券の売買等を業とする会社であるが、その代表者であるAが、平成七年一〇月一七日深夜、自宅近くのコンビニエンスストアに買い物に行く途中、何者かに所持していた鞄(現金やカード在中)を奪われる事故にあったとし、動産総合保険契約を締結したY(保険会社)に...
《解 説》
一 Xは、平成八年七月当時、千葉県鴨川市内に別荘を所有していたが、同月一二日、右別荘から火災が発生し、別荘と別荘内の家財が焼失した。
Xは、平成八年四月、Y(保険会社)との間で、別荘内の家財を目的として住宅総合保険契約を締結していたので、Yに対し、本件火災により発生した家財に...
《解 説》
一 訴外Aは、平成七年九月一二日、訴外Bが運転するワゴン車の助手席に同乗して、国道一五六号を南下して、岐阜県大野郡白川村内の道路を走行中、進行方向右側にあった雪避けシェルターに衝突し、Bとともに死亡した。
そこで、Aの遺族であるXらは、Aが、Y(保険会社)との間で締結していた...
《解 説》
一 生命保険会社であるXらはY1を被保険者としてY1、Y2(実質的にはY1の経営する会社)と生命保険契約を締結したが、契約の公序良俗違反及び詐欺無効約款を理由として、Yらに対して生命保険契約に基づく債務不存在確認と既払の入院給付金相当額の返還を請求した。一審では、Xらが敗訴した...
《解 説》
一 XとY(保険会社)とは、平成九年六月二六日、保険者をY、被保険者をA、保険金受取人をXとする生命保険契約を締結した。右保険契約には、責任開始日から一年以内の被保険者の自殺については保険金を支払わない旨のいわゆる自殺免責条項の定めが付されていたところ、Aは、本件保険契約の責任...
《解 説》
一 M会社内にあるY1はM社の下請業者及びその従業員の福利厚生等を目的とする任意団体であり、Y2はM社の下請業者かつY1の会員、亡AはY2の従業員かつY1の準会員、Sは亡Aの内縁の妻であった者、Xは亡Aの相続人(亡Aの兄)である。
Y1は、昭和五六年二月、日本生命との間で、被...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、フレッドペリーの商標権者である原告が、並行輸入したフレッドペリーのポロシャツを販売した被告に対し、損害賠償等を請求した事案である。
被告は、並行輸入したポロシャツに付されたフレッドペリーの商標は、フレッドペリーのライセンシーであるオシア社(シンガポー...
《解 説》
一 平成一〇年、福島次郎(Y3)は、Y3と三島由紀夫との同性愛関係を含む交際等を克明に叙述することによって三島の一面を描こうとする創作意図の下に、自伝的な告白小説「三島由紀夫―剣と寒紅」(本件書籍)を執筆し、同書は文藝春秋社(Y1)から刊行された。本件書籍には、三島がY3宛に書...
《解 説》
一 本件は、ホテル一階駐車場に、ナンバープレートの登録番号と車種が一致しない不審車両を発見した警察官が、運転者等関係者に職務質問を行うため張り込み中、被告人が同車運転席に乗り込んだことから、捜査用車両三台で一斉に近付き、二台が被告人車の左右を挟む形で停止し、もう一台が前方を塞ぐ...
《解 説》
一 本判決は、刑訴法三二一条一項二号後段の書面として採用した検察官調書について、証拠能力は相反部分もしくは実質的に異なる部分及びこれと密接不可分な部分に限られるとした上、公判調書等の記載等からして、原判決は検察官調書の全部について証拠能力を認めて罪証に供したことは明らかであり、...
《解 説》
一 本件は、野菜農家である原告ら三七六名が、ダイオキシン問題を特集したテレビ報道(野菜がダイオキシンに汚染されているというもの)により、野菜の安全性に対する信頼が傷つけられ、原告らの社会的評価が低下したとして、番組を放送したテレビ局と、本件放送の元になった調査結果をテレビ局に提...