最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、通勤途上、オウム真理教の信者らに殺害された会社員Aの両親であるXらが、右災害が通勤災害に当たるとして、Y(労働基準監督署長)に遺族年金及び葬祭給付の支給を申請したところ、被告が不支給の処分をしたため、その取消しを求めた事案である。
二 Aは、オウム真理教の教祖から...
《解 説》
一 本件は、平成一一年四月一一日施行の千葉県議会議員選挙の八千代市選挙区における選挙人であるXが、千葉県議会議員の選挙区等に関する条例の一部が同一〇年一二月一五日に改正され、改正後の規定に基づいて右選挙が行われたが、右改正条例は公職選挙法(以下「法」という。)一五条八項に違反す...
《解 説》
一 本件は、親族間の不動産の所有権をめぐる争いである。Xの亡夫であるAとY1及びY2の三人は亡B・亡C夫妻の子らであり、Y3はY2の子である。係争不動産は、いずれも登記簿上Aの所有名義になっている本件各土地並びにいずれもその地上建物でY2の所有名義になっている本件建物一及びY1...
《解 説》
一 千葉県八千代市においては、職員の勤務時間に関する規則により、職員の勤務時間は午前八時三〇分から午後五時一五分までとされていたが、八千代市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例(職免条例)二条が、職員の職務専念義務を免除できる場合として、研修を受ける場合(一号)、厚生に関...
《解 説》
Xら二名は、Y2県警が平成八年七月八日K大の建物内で行った捜索に立会人となったところ、同建物内で鉄パイプ、金属バット等が発見され、その場でXらを含む五名が凶器準備集合罪で現行犯逮捕された。Xらは同月一〇日、A裁判官(Y1国)により勾留され、勾留が延長された後釈放された。Xらは、...
《解 説》
一 地方税法(以下「法」という。)七三の七第二号は、不動産取得税を課すことができない場合として、「法人の合併」と並んで「法人の政令で定める分割」による不動産の取得を掲げ、その委任を受けた地方税法施行令(以下「施行令」という。)三七の一四第一号は、「株式会社が分割して二以上の株式...
《解 説》
一 事案の概要については、原審判決を参照していないため、詳細は不明であるが、控訴人(原審原告)は、建物(以下「本件建物」という。)を新築したことを理由に、東京都中央都税事務所長から平成四年五月二七日付けで不動産取得税の賦課決定処分を受け、さらに、同年八月二〇日付けで不動産取得税...
《解 説》
一 本件は、茨城県民であるXが、茨城県公文書の開示に関する条例(昭和六一年三月二六日茨城県条例第二号)に基づき、知事及び副知事の交際費に関する支出帳票及び現金出納簿の開示を請求したところ、茨城県知事のYが右に対応する公文書である交際費経理簿のうち、「月日」「項目」「収入」「支出...
《解 説》
一 本件は、北九州市に事業所を有する製鉄会社の従業員二名(以下X1、X2とする)が、同人らを千葉県内の事業所に転勤させる旨の会社の転勤命令は、労働場所を北九州市に限定した労働契約ないし労使慣行に違反し、また合理性、必要性がなく、人事権の濫用に当たるなどと主張して、会社に対し右転...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは当時二〇歳の短大生であり、Yは海外における語学の研修旅行の計画・斡旋等を業とする会社である。Xは、平成八年七月末ころ、Yが企画し募集した語学研修講座(平成八年八月一九日から九月一三日までのアメリカ合衆国ボストンのサマーコース、以下「本件...
《解 説》
一 Xらは、平成四年九月、税理士であるYに対し、相続税の申告に関する事務処理を依頼し、Yの指導・助言に従って申告をしたところ、相続財産の一部を構成する土地の評価が過少であったこと及び相続財産の一部に申告漏れがあることを税務署から指摘されたため、修正申告を行ったが、これにより過少...
《解 説》
本件は、引受参加人が、脱退原告・被告間で締結された包括根保証契約に基づく保証債務履行請求権を脱退原告から譲り受けたとして、被告に対し右保証債務の履行を請求した事件であり、被告は、脱退原告が信用組合取引契約に基づき継続的に貸付を行っていた会社の代表取締役に新たに就任したことを契機...
《解 説》
一 本件は、医師に対する不法行為に基づく損害賠償請求と千葉市に対する国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求との主観的併合請求であるが、判例として紹介する価値があるのは前者のほうである。
二 前者の請求は、原告が、精神科医である被告に対し、被告が同被告経営の病院において、原告の...
《解 説》
一 Y1(Y2会社の代表取締役であった人物、現在はY2の清算人)及びY2会社(清算会社)は、X及びA(Xの夫でありY2会社の従業員であった人物)らが共謀して、①Y2会社の金員を横領した、②Y2会社の脱税事件に対する国税局の査察で虚偽の事実を述べて追徴課税・罰金を受けさせた、③①...
《解 説》
一 ①、②両事件のいずれも、同一のパソコン通信会社Y(K県の第三セクター)を相手に、同社が会員のIDを抹消し、会員契約を解除したのは違法、無効であると主張して、会員の地位の確認及び不法行為による損害賠償を求めた事案である。①事件判決は、地位確認請求を認容し、慰藉料請求を棄却した...
《解 説》
本件は天皇族Aの子X1及びX2が他の子Y1及び電鉄会社Y2に対し、AがY2から黙示的に贈与された土地建物をYらが共謀により処分したと主張して、不法行為に基づき、それぞれ内金として一億五五〇〇万円の損害賠償を求めた事案である。
背景事情は複雑であるが、要約するとおよそ次のとおり...
《解 説》
一 左大腿骨を骨折したAは、平成五年八月二一日、Y1の開設する病院の当直医の診察を受けた。同医師が、鎮痛のため、麻酔薬キシロカイン一〇ミリリットルを硬膜外注入したところ、Aはショック状態に陥ったが、昇圧剤等の投与により回復した。同医師は、これをカルテに記載し、医師指示票に、鎮痛...
《解 説》
一 XとYとは、Xの販売する損害保険について本件代理店委託契約を締結し、YはXの代理店として委託業務を行っていた。本件は、Xが、本件代理店委託契約が解除されたとして、Yに対し、本件代理店契約に基づきXからYに交付されていた保険料領収証綴等の本件各物件の返還を求めるとともに、仮処...
《解 説》
一 一般的に、特許権者が国内において特許製品を譲渡した場合には、特許製品については、特許権はその目的を達したものとして消尽し、もはや特許権の効力は、当該特許製品を使用し、譲渡し又は貸し渡す行為等には及ばないと解されている(いわゆる国内消尽)。本件は、使い捨て商品として流通に置か...
《解 説》
Xはスイス国の会社であり、X及びその企業グループは、銀行券等の製造に関する研究・開発、設計・製造、販売等を行っている。本件は、XないしXの前身である会社(Xら)が、国(Y)に対し、銀行券印刷機(本件印刷機)を販売し、右販売の際及びその後も銀行券印刷機に関する技術情報を提供したが...
《解 説》
一 本件は、アメリカ合衆国ハワイ地区連邦地方裁判所が、Yらが証拠開示手続への参加を怠ったことに対する制裁として、Yらに対しXに損害賠償金を支払うことを命じた懈怠判決について、XがYらに対し民事執行法二四条に基づき執行判決を求めた事案であり、本件判決はこれを認容したものである。
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《解 説》
一 担保権の実行としての競売手続においては、抵当権の設定前から当該不動産を賃借しているため本来であれば買受人に対してその賃借権を主張できる者であっても、引渡命令の対象となる場合があるものとされている。本件は、実行抵当権の設定前から当該不動産を賃借している者がその後設定された他の...
《解 説》
一 (一)A裁判所は、平成一〇年二月一六日、債権者甲の申立てにより、債務者(相手方)乙が第三債務者(抗告人)丙に対して有する和解金請求権八一〇万円中の七七七万円について仮差押命令を発し、同仮差押命令は、同月一七日、丙に送達された。
(二) A裁判所B支部は、同月二〇日、乙の申...
《解 説》
一 本件は、被告人が、(一)インターネット上にホームページを開設して、男女の性器等を露骨に撮影したわいせつ画像の性器部分に、画像処理ソフト「エフ・エル・マスク」を使用すれば取り外しができるマスクを付したうえで、プロバイダーのサーバーコンピューターに送信し、さらに右ソフトの利用方...
《解 説》
本件は、Y保険会社担当者の勧誘を受けて相続税対策として自己及び妻を被保険者として変額保険(合計保険料約一億四七九〇万円、死亡時の基本保険金計二億八〇〇〇万円)に加入したX(当時大学教授、元大学理事長)が、保険契約を解約しないまま、Y担当者(支社営業部支部長ら)の違法勧誘があった...