〔解 説〕
第1 事案の概要
1 本件は,普通地方公共団体の長等に対する損害賠償請求や第三者に対する不当利得返還請求の義務付けを求める地方自治法242条の2第1項4号所定のいわゆる4号訴訟の提起後,事実審口頭弁論終結前に,当該請求に係る債権を放棄する旨の議会の議決ないし条例の制定がされた場合...
〔解 説〕
1 本件は,大阪府大東市(以下「市」という。)の住民で市議会議員でもあるXが,市長であるYに対し,市の非常勤職員が退職する際に要綱に基づいて退職慰労金を支給していることは,条例の根拠を欠いているから,給与条例主義を定めた地方自治法204条の2等の規定に違反し,違法であると主張して...
〔解 説〕
1 本件は,被疑者の弁護人の人数超過許可決定に対して特別抗告が申し立てられた事件において,同決定に対しては刑訴法419条により高等裁判所に抗告の申立てをすることができる旨判示したものである。
2 弁護人の数については,刑訴法35条が,「裁判所は,裁判所の規則の定めるところにより...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,普通地方公共団体の長等に対する損害賠償請求や第三者に対する不当利得返還請求の義務付けを求める地方自治法242条の2第1項4号所定のいわゆる4号訴訟の提起後,事実審口頭弁論終結前に,当該請求に係る債権を放棄する旨の議会の議決ないし条例の制定がされた場...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) Xは,Y大学法人が運営する県立大学に勤務する教授であるところ,当時,県知事等の意向により大学関係者によるベンチャー企業の創設が進められており,その一環として,県関係者らの支援により,医薬品の研究・開発の受託業務等を事業の内容とするA社が設立され,Xはその代...
〔解 説〕
1 本件は,Xの監査役であるYが,Xの取締役であったX補助参加人らによる新株予約権の行使は,行使条件を変更する取締役会決議が無効であるにもかかわらずそれに従ってされたものであって,当初定められた行使条件に反するものであるから,上記新株予約権の行使による株式の発行は無効であると主張...
いわゆる東京大空襲によって被害を受けた者及びその遺族に対し,国が立法上及び行政上の補償を行わないことが憲法14条1項に違反しないとされた事例
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,控訴人が,控訴人各画像が掲載された書籍を発行及び頒布した行為は,本件各画像に係る被控訴人の著作権(複製権,譲渡権)及び著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権)の侵害に当たる旨主張して,①著作権法112条1項に基づき,控訴人各画像を削除しない控訴人書籍の発...
〔解 説〕
1 本件事案の概要
X(昭和11年生まれの男性)は,身体障害者等級1級の認定,障害者自立支援法・介護保険法に基づく介護給付を受けている筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者であり,平成19年3月ころ以降は,Y市内にある自宅で,妻A(昭和13年生まれ),2名の訪問介護員による24時間...
金融機関の取扱店舗となる支店を特定することなく、「複数の店舗に入金指定口座があるときは、第三債務者が随意に定める順序による」という順位を付した預金債権の差押命令の申立てが、差押債権の特定を欠き不適法であるとされた事例
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,抗告人(債権者)が,債務者が第三債務者に対して有する預金債権について,取扱い支店を,ヴァーチャル支店の債務者名義の複数の被振込専用口座からの債務者名義の入金指定口座がある本支店扱いとし,「複数の店舗に入金指定口座があるときは,第三債務者が随意に定める順序...
〔解 説〕
1 本判決は,覚せい剤の自己使用事犯で,被告人の尿中から覚せい剤が検出されていたが,被告人が,覚せい剤入りの飲み物をそれと知らずに飲んだ合理的疑いがあるとして無罪としたものである。
2 被告人の尿中から覚せい剤が検出されながら,無罪とされるケースとしては,大きく分けて,①被告人...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,現職の国会議員が,自己が代表を務める資金管理団体である陸山会の会計責任者及びその職務を補佐する者と共謀して,陸山会の収支報告書に虚偽の記入及び記載すべき事項の不記載をしたとして,共同正犯の責任を問われた政治資金規正法違反の事案である。
検察官の二度にわ...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 平成18年法律第69号により薬事法が改正され,それに伴い,平成21年厚生労働省令第10号により薬事法施行規則が改正され,同年6月1日から施行された。改正された施行規則の主要な内容は,第一類・第二類医薬品の販売と情報提供は有資格者の対面により行うべきこと(施...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,いわゆる二段階買収における第2段階の取引として,株式公開買付けの後に行われた,X(三洋電機株式会社)を株式交換完全子会社,A(パナソニック株式会社)を株式交換完全親会社とする株式交換について,Xの反対株主であるYが株式買取請求(会社法785条1項)をした...
〔解 説〕
1 本件は,Yの従業員であるXが,加害者集団から職場の同僚らを通じて嫌がらせの被害を受けているとして有給休暇を取得して出勤しなくなり,有給休暇を全て取得した後も約40日間にわたり欠勤を続けたところ,就業規則所定の懲戒事由である正当な理由のない無断欠勤があったとの理由で諭旨退職の懲...
〔解 説〕
1 本件は,船舶の曳航等を業とする株式会社であるXが,海事運輸業界における産業別労働組合であるA(全日本海員組合。Y補助参加人)の申立てに係る不当労働行為事件について当時の中国船員地方労働委員会から受けた救済命令(本件救済命令)の取消しを求めた事案である。
第1審では国が被告で...
〔解 説〕
1 本件は,自動車保険契約の無保険車傷害条項に基づく保険金(無保険車傷害保険金)につき,①これは損害の元本に対する遅延損害金を補するものか否か,②その支払債務に係る遅延損害金の利率は年5分か年6分かが問題となった事案である。無保険車傷害保険金とは,相手自動車が無保険自動車である場...
〔解 説〕
本件は,少年保護事件において,抗告審で付添人に選任されていない弁護士(家裁段階では付添人であったようである。)から再抗告の申立てがされた事案である。
付添人の選任は,審級ごとにしなければならないとされているところ(少年審判規則14条4項),本件では,再抗告を申し立てた弁護士は,...
〔解 説〕
第1 事案の概要
1 本件は,X(原告・被控訴人・上告人)が,Y(被告・控訴人・被上告人)に対し,Yが映画のDVD(本件商品)を輸入し,頒布する行為について,昭和25年公開の本件各映画の著作権を侵害すると主張して,①著作権法112条に基づき,本件商品の製造,輸入及び頒布の差止め並...