〔解 説〕
1 本件は,いわゆる形式的競売の一つである民法258条2項所定の競売を命ずる判決に基づく換価のための不動産競売(以下「共有物分割のための不動産競売」という。)の手続において,いわゆる無剰余取消しについて定めた民事執行法63条が準用されるかが問題となった事案である。
2 事実関係...
〔解 説〕
1 事案の概要
株式会社Zは,平成21年9月1日,新設会社を設立する会社分割を行い,新たに設立された新設会社Xに一切の事業を承継させた。
そこで,分割前の会社に貸金債権を有するYは,会社分割は詐害行為に当たるとして,詐害行為取消権に基づき,会社分割の取消しを求めるとともに,価...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,発明の名称を「電池式警報器」とする被告らの特許に対する原告の特許無効審判の請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした審決の取消しを求める事案である。
本件審決の理由は,要するに,本件発明は,①引用例1に記載された発明と周知技術に基づいて当業者が容...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) Yは,都市計画の決定について,都市計画法上の都市計画図書である「東京都都市計画高度地区(墨田区決定)計画図」(以下「本件都市計画本図」という。)を作成し,また,高度地区の変更に関する情報提供をするため,本件都市計画本図に基づいて「墨田区都市計画図」(以下「...
〔解 説〕
1 本件は,平成14年に発生した三菱自動車工業株式会社(三菱自工)製トラックの左前輪タイヤが,フロントホイールハブ(大型車両の車軸と前輪のタイヤホイール等を結合するための部品)の破損により脱落し,歩道上にいた母子ら3人に衝突して1名を死亡させるなどした事故(本件事故)に関し,その...
〔解 説〕
1 事案の概要
検察官は,被告人が情を知らない中古車販売業者らをして被害品であるパワーショベル(ユンボ)を運搬させて窃取したとの事実を訴因に掲げ,被告人の行為が窃盗の間接正犯に該当すると主張した。これに対し,被告人は,中古車販売業者らに被害品の搬出を依頼した事実はないとして,無...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)東京都においては,平成15年10月23日付けで東京都教育委員会(以下「都教委」という。)の教育長から東京都立の高等学校等(盲学校・ろう学校・養護学校〔平成19年4月以降は特別支援学校〕を含み,以下併せて「都立学校」という。)の各校長宛てに「入学式,卒業式等に...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Aの唯一の相続人であるXが,Aが訴訟追行を委任した弁護士Yに対し,委任事務処理義務及び説明義務の各違反が存したと主張して,債務不履行に基づく損害賠償及び委任契約の解除に基づく原状回復義務の履行として弁護士報酬等の支払を求めた事案である。
事案の概要は,...
〔解 説〕
1 本件は,当時高校生であった少年が自宅に放火をして,家族3名(母親及び弟妹)を殺害したという世間の耳目を引いた少年事件に関し,家庭裁判所から当該少年の精神鑑定を命ぜられた精神科医であった被告人が,ジャーナリストから取材等を受けるうちに,その要望を受けて,家庭裁判所から鑑定資料と...
〔解 説〕
1 本件は,裁判員裁判による第1審の無罪判決を,高裁が事実誤認を理由として破棄し,その判断の当否が争われた事案である。被告人は,空路マレーシアから帰国したが,空港税関の検査により,バッグの中のチョコレート缶から覚せい剤合計約1kgが発見され,覚せい剤営利目的輸入罪と関税法違反の罪...
〔解 説〕
1 本件は,被控訴人が運営する「楽天市場」との名称のインターネットショッピングモールにおいて,個別の出店者が,本件商標と類似する各標章を付した各商品を,各出店ページに販売のために展示したため,本件商標の商標権者である控訴人が,被控訴人に対し,上記各商品の展示・販売は控訴人の本件商...
〔解 説〕
1 本件は,高等裁判所の控訴棄却の確定判決に対する再審請求に関する特別抗告の事案である。
本件再審請求は,控訴棄却の確定判決に関する刑訴法436条1項各号所定の再審事由の主張がないため不適法であることは明らかなものであったところ(最二小決昭28.7.24刑集7巻7号1648頁参...
〔解 説〕
1 事案の概要
脱退原告は,たばこ及びその関係商品(たばこ等)並びにマッチを指定商品として3件の商標登録を出願したが,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判を請求した。 しかし,特許庁は,出願に係る商標(本願商標)からは「ビイエルシイケイ」という称呼が生じ,かつ,特定の観...
〔解 説〕
1 事案の概要
訴外Aは,大正14年ころ,浄土真宗本願寺派に属する宗教法人Yとの間で,寺院墓地内の墓地区画(以下「本件墓地」という。)の墓地使用権の設定契約を締結し,Aの子やその妻などが本件墓地に埋葬されたが,Xは,昭和46年3月,本件墓地の使用権を承継取得した。
Xは,Xの...
〔解 説〕
1 本件は,北海道砂川市がその所有する土地(以下「本件土地」という。)を神社施設(地域の集会場としても用いられている建物のほか,鳥居,祠,地神宮で構成される。)の敷地として無償で使用させていること(以下「本件利用提供行為」という。)は,憲法の定める政教分離原則に違反する行為であっ...
〔解 説〕
1 本件は,仮換地の指定の適法性,特に照応の原則違反の有無が争われた国家賠償請求訴訟である。Xら9名は福岡市(Y)の施行する土地区画整理事業の施行地区内に存する11階建てマンションの区分所有者でありその共用部分及び敷地を他の区分所有者とともに共有している。Yは,Xらを含む区分所有...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,日本漢字能力検定の実施等を業とする財団法人であり,日本漢字能力検定の検定対策用問題集(本件各書籍)を発行している。Y1は,教材の製作・販売等を目的とする株式会社であるが,Xの元理事長であるY2が代表取締役を務めている。Yらは,本件各書籍の印刷会社やXの理事...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,文京区小石川5丁目に所在する国の重要文化財である「旧磯野家住宅」(通称「銅(あかがね)御殿」)の近隣に居住する住民であるXらが,①銅御殿の隣地においてAが行った地上12階建のマンション(以下「本件マンション」という。)の建築(平成21年6月着工,平成23...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,新たに成年後見人に選任された弁護士が被成年後見人を代理して,前任の成年後見人が横領した金額に相当する賠償を国(家裁及び法務局)に求めた事案である。事実関係は次のとおりである。
Xは,平成13年12月交通事故により脳挫傷等の傷害を負い,意識障害,四肢麻痺...