〔解 説〕
1 はじめに
職業安定法は,労働者供給事業(同法4条6項によれば,供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させること。なお,労働者派遣法が制定された際,労働者派遣事業は,この定義から除外されている。)を,原則的に禁止している(同法44条)が,同法45条は,労働...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件事案の概要は次のとおりである。Y社は,各種情報提供サービス業務等を目的とする取締役会設置の株式会社であり,同社の代表取締役はXである。Y社は,平成20年12月5日,臨時株主総会(以下「本件株主総会」という。)を開催したが,当該総会で,Xら3名の取締役を解任し...
[解 説]
本件は,いわゆる耐震強度偽装事件において構造計算書の偽装された分譲マンションの購入者ら(Xら)が,そのマンションの建築確認及び完了検査を実施した建築基準法上の指定確認検査機関である株式会社(Y1)及び上記マンションの建築された区域における建築基準法所定の確認に関する事務をつかさど...
[解 説]
1 糸満漁港内において,未明に,亡A運航の漁船甲丸が,錨泊中の台船(本件台船)に衝突する事故(本件事故)が発生した。本件は,亡Aを相続した原告らが,本件事故は,本件台船をえい航していた引船の船長Bが,本件台船を糸満漁港内の航路筋に夜間無灯火となる状態で錨泊させたことにより発生した...
[解 説]
1 事案の概要
(1)原告は,平成8年,元勤務先の株式会社に対して,原告が実用新案登録出願中の考案について登録を受ける権利の一部を譲渡した対価等として,金銭の支払を求める訴訟(別件訴訟)を提起したところ,第1,2審において請求の一部を認容する判決が言い渡された(以下,別件訴訟に...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,歯科医師であるYの開設するY歯科クリニックでインプラント治療を受けたXが,Yに従前の診療経過に関する説明及びXのカルテの開示を求めたにもかかわらず,Yがこれを拒否したと主張して,Yに対し,診療契約の債務不履行(民法415条)又は不法行為(民法709条)に...
[解 説]
本判決は,控訴審が事実誤認を理由として1審判決を破棄したものであり,いわゆる被害者供述の信用性判断の参考事例の一つとして紹介するものである。
本件において,検察官は,被告人が携帯電話のサイトを通じて親しくなった被害少女と3回にわたり淫行を繰り返していたとして,そのうち最後の3回...
[解 説]
1 本件は,貨物自動車と自動二輪車の衝突事故で,びまん性脳損傷,外傷性水頭症等の後遺障害(自賠法施行令別表第1の1級1号相当)を負った自動二輪車の運転者(被害者)とその両親が,貨物自動車の運転者とその使用者である会社に対し,損害賠償を求めたものである。争点は,主として将来の介護費...
[解 説]
1 本件事案の概要は次のとおりである。
(1)K社は,平成18年1月当時,普通株式5128万3557株,A種類株式3000万株,B種類株式3000万株,C種類株式1億1513万1500株を発行していた。普通株式はXら多数の株主が保有していたが,C種類株式(議決権はあるが,利益配...
〔解 説〕
1 本件は,「NEW増田足」という名称のソフトウェア(原告ソフト)を顧客に提供する事業を行っている原告が,別紙ソフト目録記載のソフトウェア(被告ソフト)を制作,複製し,自己のホームページ上において顧客へ公衆送信する行為を行っている被告会社及びその唯一の取締役である被告Aに対し,被...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,都立学校の教職員又はその退職者ら(以下「教職員ら」という。)が,東京都教育委員会(以下「都教委」という。)が都立学校の校長に発出した「入学式,卒業式等において,教職員らは国旗に向かって起立し,国歌を斉唱し,国家斉唱はピアノ伴奏等により行うこと(以下「本件...
[解 説]
1 本件は,①事件・②事件・③事件とも,平成22年7月11日に実施された参議院議員通常選挙における参議院(選挙区選出)議員選挙について,平成18年法律第52号による改正後の公職選挙法14条1項,別表第3に係る選挙区及び議員定数の規定,すなわち,①事件・③事件判決にいう「本件定数配...
〔解 説〕
1 事案の概要
X(控訴人。第1審原告)は,発明の名称を「流し台のシンク」とする本件特許権を有している。Xは,Y(被控訴人。第1審被告)の製造,販売する被告製品のシンクが本件特許権を侵害すると主張し,本件特許権に基づき,被告製品のシンクの製造,譲渡等の差止め,損害賠償等を求める...
1 不動産競売事件における評価人は国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使に当る公務員」に該当しないとされた事例
2 不動産競売により売却された土地に、現況調査報告書及び物件明細書に記載のない土壌汚染が存在することが判明したとしても、執行官及び裁判所書記官に過失は認められないとされた事例
[解 説]
1 本件は,不動産競売により土地を取得したXが,同土地の土壌が汚染されていたにもかかわらず,評価人,執行官及び裁判所書記官がいずれも過失によって土壌汚染を看過し,評価書,現況調査報告書及び物件明細書に土壌汚染の事実が記載されなかったために損害を被ったとして,被告に対し,国家賠償法...
[解 説]
1 本件は,Xらが換気扇フィルター及びその製造方法に係る本件発明1ないし4の特許権者であるところ,Yが本件特許の無効審判請求をし,特許庁が,特許を無効とする審決をしたため,XらがYを被告として審決取消訴訟を提起した事案である。
本件発明1は,金属製フィルター枠と,その開口を覆っ...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,非小細胞肺がんの臨床病期Ⅳ期(再発。以下「ステージⅣ期」という。)であり,化学療法実施後に上記がんが再発したAが,Y1が開設するY病院において,抗がん剤の第Ⅱ相臨床試験(以下「本件治験」といい,同治験で投与された抗がん剤を「本件抗がん剤」という。なお,そ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が,名称を「2室容器入り経静脈用総合栄養輸液製剤」とする発明に係る被告の特許(請求項の数・1項,本件発明)について,2件の無効審判請求をしたが,特許庁において併合審理の上で請求不成立の審決がされたことから,その取消しを求めた事案である。
本件発明は...
[解 説]
1 事案の概要
(1)原告は,「全国軽自動車運送連合会(全軽連)」の名称で運送事業免許取得代行及び運送事業コンサルティング業を行っている会社である。本件において問題となった原告の業務は,原告があっせんする運送業務に従事することによって得られる利益を収受しうるとして相手方を誘引し...
〔解 説〕
1 事案の概要等
本件は,強盗計画に関与したがこれを通報したX(原告,被控訴人兼附帯控訴人)が,警察により,捜査協力として計画どおり共犯者と合流して被害者宅まで共犯者を連れて行くということをされた上,身柄拘束までされたほか,虚偽の報道発表がされた結果誤った新聞報道がされ,精神的...