《解 説》
1 事案の概要
Xの父であるAは11億円余りの国税を滞納していたところ,Aの妻でXの母であるBが死亡し,その相続人であるA,X及びXの弟であるCの3名が,亡Bの約2億円の遺産について遺産分割協議(本件遺産分割協議)をした結果,滞納者であるAがその相続分(2分の1)を大きく下回る約...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,「蛍光電子内視鏡システム」に関する特許権(以下「本件特許権」という。)を有する反訴原告(以下「原告」という。)が,反訴被告(以下「被告」という。)に対し,被告が製造,販売する「蛍光内視鏡観察システム」(以下「被告製品」という。)が本件特許権に係る発明(以...
平成15年法律第134号の附則第5条が定める経過措置の適用を受ける賃貸借が、改正法施行後に開始された不動産競売開始決定を原因とする差押登記後に期間満了により更新されたことから、賃借人が、当該更新を抵当権者に対抗できず、抵当権者に対抗できない賃貸借により抵当建物を使用することになったとしても、現在の民法395条が規定する建物明渡猶予制度の適用を受けることはないとされた事例
[解 説]
1 訴外A(平成13年生)は,平成16年4月1日,Yの設置する保育所に入所し,保育を受けていたところ,平成17年8月10日,保育所で所在不明となり,同日午後0時25分ころ,同保育所に設置されていた本棚の中で発見されたが,熱中症により死亡した。
そこで,Aの遺族であるXらは,Aの...
[解 説]
1 本件は,競売に付された建物(以下「本件建物」という。)の買受人である相手方の申立てに基づき,平成15年法律第134号(以下「改正法」という。)による改正前の民法395条が規定するいわゆる「短期賃貸借」(この賃貸借を以下「本件賃貸借」という。)により本件建物を占有・使用していた...
[解 説]
1 事案の概要
(1)本件は,妊娠高血圧症候群(以下,「PIH」という。)の管理目的で被告の開設する病院に入院したAが,HELLP症候群,子癇を発症した後に死亡したことについて,Aの遺族である原告らが,PIHに対する管理を怠った過失,帝王切開の実施が遅れた過失,帝王切開後の管理...
[解 説]
1 本件は,中国人留学生であり,犯行当時少年であった被告人が,親からの送金を無計画に費消するなどしたことから,生活費等を得るため,(1)他の中国人留学生1名と共謀の上,遊客を装ってホテルの客室に呼び出した女性から金銭及びキャッシュカードを強取しようと企て,被告人において,大阪市内...
[解 説]
1 事案の概要
(1)事実経過
ア 住宅メーカーであるAと建築内装材メーカーであるYは,共同研究基本契約書を取り交わし,住宅用床材である本件製品(クロス合板の表面に柄入りプリント強化紙[化粧シート]をはり合わせ,エンボス加工[表面を押し上げて浮かす加工]を施し,その上からUV...
[解 説]
1 Xは,平成16年1月25日,Yとの間で,痴呆対応型共同生活介護利用契約(以下「本件契約」という。)を締結し,同日から平成19年2月14日まで,Yの運営する本件施設に入居していた。
Xは,平成18年7月20日,本件施設のXの居室内にて転倒し,右大腿骨転子部骨折の傷害を負い(以...
[解 説]
1 事案の概要等
(1)本件は,平成21年5月21日施行になった裁判員制度下の全国第1号事件の控訴審判決である。事案は,被告人が,日頃から仲違いをしていた近隣の住人に対し,口論の末,サバイバルナイフで胸部等を突き刺して殺害したというものである。新聞報道によると,本件は,裁判員制...
[解 説]
1 事案の概要
本件の発端は,訴外会社が一般建設業の許可申請に当たり,建設業法7条2号所定の専任技術者をおいていないにもかかわらず,専任技術者が20日前から勤務している旨記載した虚偽の出勤簿を申請書に添付して県知事に提出し,県知事が同出勤簿が虚偽のものであることを看過して訴外会...
[解 説]
1 本件は建築確認について周辺住民が取消しを求めた抗告訴訟であり,行政訴訟をめぐってしばしば取り上げられる論点である違法性の承継が問題となった。違法性の承継を最高裁が正面から肯定した初めての事例ともいえ,実務的にも理論的にも大きな意味を有する。
2 東京都建築安全条例4条1項は...
[解 説]
1 事案の概要
(1)本件は,宮津市(以下「市」という。)が,丹後地区土地開発公社(以下「本件公社」という。)との間で,土地の先行取得の委託契約を締結し,これに基づいて本件公社が取得した同土地の買取りのための売買契約を締結したところ,市の住民であるXが,同土地は取得する必要のな...
[解 説]
1 事案の概要
(1)本件は,品川区議会(以下「区議会」という。)における会派である品川区議会公明党(以下「本件会派」という。)が交付を受けて視察旅行等の経費に充てた政務調査費の使途制限違反を問題とする住民監査請求に係る監査に際し,品川区(以下「区」という。)の監査委員が同会派...
《解 説》
1 本件は,自動車事故の被害者が,加害車両の保有者が不明であるため,自賠法72条1項前段に基づき,国に対し,政府の自動車損害賠償保障事業による損害のてん補を求める事案である。
政府の自動車損害賠償保障事業は,加害車両の保有者が不明であったり,無保険であるなどして,被害者が自賠法に...