市が発注した工事に関し談合したとされる業者らに対して市長が不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しないことが違法な怠る事実に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
《解 説》
1 事案の概要
本件は,尼崎市(以下「市」という。)の住民であるXらが,市が発注したごみ焼却施設の建設工事の指名競争入札において,Y1~Y5(以下「被告5社」という。)がY1を受注予定者とする談合をし,Y6もそれに協力した結果,Y1を構成員とする共同企業体(以下「本件共同企業...
《解 説》
1 本件は,公立小学校の2年生の男子であったXが,男性教員Cから違法な体罰を受け,これによりPTSDになったと主張して,当該小学校を設置管理するYに対し,国家賠償法1条1項に基づき,約350万円の損害賠償を求めた事案である。
2 本件の事実経過の概要は,以下のとおりである。
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《解 説》
1 本件は,YがAをひそかに殺害してその死体を隠匿したため,Aは長期間にわたって行方不明とされていたが,約26年後にYが自首して死体が発見されたという事案において,Aの相続人XのYに対する不法行為に基づく損害賠償請求権が,民法724条後段の規定により消滅したか否かが問題になった...
物件明細書中の「買受人が負担することとなる他人の権利」の欄において、賃借人として記載された法人と同一商号の法人が複数存在していたとしても、本件における物件明細書の記載のほか、評価書の記載も合わせれば、当該売却物件の権利関係に影響を及ぼす情報の提供としては十分であり、本件物件明細書の記載に重大な誤りがあるとはいえないと判断された事例
《解 説》
1 本件は,担保不動産競売事件において,目的不動産である本件各不動産の最高価買受申出人が,本件売却許可決定を受けたところ,本件各不動産のうち,本件建物についての物件明細書の記載に重大な誤りがあるとして(民執71条6号),本件売却許可決定の取消しを求め,執行抗告を申し立てた事案である...
[解 説]
1 本件の本案事件は,原告(相手方)Bが,母親である被告Yに対して,株式会社C・Dの株式(本件株式)の贈与を受けたとして,贈与契約(本件贈与契約)に基づき株券引渡等を求めた事案であり,Yのもう1人の子であり,Yから全財産を相続させる旨の公正証書遺言(本件遺言)の作成を受けていると...
《解 説》
1 Yは,我が国で自動車産業を営む主要な企業であり,Xらは,Yとの間で有期の労働契約を締結し,平成20年9月に契約期間を同年10月8日から平成21年4月7日までとして契約を更新し,栃木工場の生産現場で就労していた。Yは,平成20年11月17日,栃木工場のXらを含む155名,藤沢...
《解 説》
1 本件は,原告が,「ISU世界フィギュアスケート選手権大会2007東京」(本件大会)について,被告から,①東京都及び東京都議会との交渉,調整業務,②東京体育館の製氷費用の削減,補修費及び営業補償費の免除交渉,③東京体育館の借上げ料値下げ交渉(事前),④東京都との調整及び仕様調整に...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,被告との間で事業活動包括保険契約(以下「本件契約」という。)を締結していた原告が,原告の経営する自動車修理工場(以下「本件工場」という。)が火災に遭い,商品や什器が焼損する被害を被ったとして,保険金1億4000万円等の請求をしたのに対し,被告が同火災は原告...
[解 説]
1 本件は,共同住宅2棟及びそれらの敷地につき担保不動産収益執行が開始されたものの,原審(執行裁判所)が,うち共同住宅1棟及びその敷地(本件土地建物)について,民事執行法106条2項所定の「配当等に充てるべき金銭を生ずる見込み」がないとして,本件土地建物に係る手続を取り消したとこ...
1 土地賃借人と賃貸借土地所有権の取得時効の援用の可否 2 土地及び賃借権の取得時効完成後に当該賃貸借土地を強制競売により取得して所有権移転登記を了した者が,土地賃借人に対する関係で背信的悪意者に当たるとされた事例
[解 説]
1 本件は,インターネット専業の証券会社であるXが,多額の損失が発生した株式信用取引(以下,「本件取引」という。)が行われた株式信用取引口座(以下「本件口座」という。)の名義人であるYに対して差損金1億8401万1982円の支払を請求したところ,Yが,本件口座の開設や本件取引はY...
《解 説》
1 本件は,平成19年3月に強制競売(本件競売)の対象土地(本件土地。413番8)を売却により取得したXが,本件土地の隣接地(400番1の一部)を他から借地(本件賃貸借)して建物(本件建物)を所有し,その敷地を使用しているYらに対し,売却により取得した本件土地の一部にYら所有の本件...